2015年7月25日
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イラク戦争の検証報告書の開示を求めて提訴

三木由希子氏(NPO「情報公開クリアリングハウス」理事長)
ニュース・コメンタリー (2015年07月25日)

 昨年12月の特定秘密保護法の施行に続いて、現在国会では武力行使の適用基準を大幅に緩和する安全保障関連法案の審議が行われるなど、安全保障関連の法の改編が急ピッチで進んでいるが、その一方で明らかに後手に回っているのが、安全保障に関連した政府情報の情報公開制度の整備だ。

 外交や安全保障関連の情報の開示には一定の制約があることはやむを得ないが、それを大義名分にすることで、安全保障分野の行政情報が聖域化しているきらいがある。

 特に特定秘密保護法の施行で広範囲の秘密指定が可能になり、自国が攻撃を受けていない場合も武力行使が可能になる可能性が現実味を増してきた今、安全保障関連の行政情報をいかに開示させ、市民社会が適正な法の運用を監視していくかは、喫緊の課題となっている。

 そうした中、行政情報の情報公開に取り組むNPO「情報公開クリアリングハウス」が7月16日、外務省が行ったイラク戦争検証報告書などの不開示決定の取り消し等を求める訴訟を、東京地裁に提起した。

 民主党政権下の2011 年 8 月、松本剛明外相の指示によって外務省内でイラク戦争に関する対応の検証が行われ、その結果が2012 年 12 月に「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)」と題する報告書の取りまとめられた。しかし、報告書そのものは公開されず、同年 12 月 12 日付で、わずか4ページの「報告の主なポイント」と題した文書だけが公表された。

 情報公開クリアリングハウスでは2015年1月12日、外務省に対して情報公開法に基づき「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)」報告書全文と検証実施のために用いられた文書、インタビューの記録」の情報公開請求書を行った。しかし、外務省は同年2月12日、関連文書を一部開示したものの、報告書本体は非開示としたため、同NPOではこれを不服として、このたび非開示決定の取消等を求めて東京地裁に提訴したというもの。

 2002年3月、当時の小泉総理がアメリカによるイラクへの武力攻撃に対する支持を表明した。しかし、この攻撃には根拠となる国連決議がなく、また武力行使の根拠となった大量破壊兵器の存在やイスラム原理主義過激派組織「アルカイダ」との関係も確認されなかったため、武力攻撃の正当性が国際社会で問題になった。

 イラク攻撃については、アメリカを始め、イギリス、オーストラリア、オランダ、などで独立した委員会による検証が行われ、その結果が公表されているが、日本では外務省内部で検証が行われたのみで、その結果も公表されていない。

 情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、「検証報告書そのものと、検証過程にかかる文書を情報公開請求した。報告書の主なポイントしか公表されていないため、何が検討されたかも、また報告書が何ページあったかも、わからない」と語った。

 ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が、三木理事長に提訴の目的や意義などを聞いた。

三木 由希子みき ゆきこ
(情報公開クリアリングハウス理事長)
1972年東京都生まれ。96年横浜市立大卒。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年のNPO法人情報公開クリアリングハウスを設立、室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『高校生からわかる 政治のしくみと議員のしごと』。
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