2013年12月7日
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成立した「国のカタチ」を問う法案の背後に民意はあるか

 今国会はNSCの設置法と特定秘密保護法ばかりに注目が集まったが、実は他にもわれわれの国のカタチを問うような重要な法律が多く成立した。
 それは国会の捻れが解消したことで、決められない政治から決められる政治への転換を示すものであったかもしれない。しかし、同時に、そうした決定によって日本がどこに向かうのかについての国民的な議論がないまま、あるいは多くの国民にはそうした認識すらないまま、ある特定の方向に向かっていることを決定づけるものとして、歴史に刻まれる可能性もある国会だったと言えるかもしれない。
 それは、困窮者を誰が支えるのかという社会のあり方の根幹に関わる生活保護制度に変更を加える生活保護法改正と生活困窮者自立支援法、やや遠回りながら電気市場の自由化を推し進める電気事業法の改正、防災対策の名の下に公共投資の拡大を可能にする国土強靱化基本法、一部例外を除いて薬のネット販売を可能にする薬事法の改正、アメリカで盛んな被害者によるクラスアクションを可能にする集団訴訟法、婚外子の相続差別を廃止する民法改正等々である。
 一方で、ここ5年来の懸案だった「障害者の権利に関する条約」の批准承認を全会一致で通したことなどは、先進国としては世界から遅れ気味だった障害者の権利問題での一定の前進として評価できる。ただ、条約の批准にあたって大きな課題でもあった障害者の権利を保障するための具体的な手立てについては、未だに有識者による検討段階であることも、今国会のやりとりの中で明らかになっている。
 何も決められない政治よりも決められる政治の方がいい面はあるだろう。しかし、国の方向性を問うような決定をするためには、主権者たる国民の意思をすくい上げるようなさまざまな制度が担保されている必要がある。それが欠けたままの「決められる政治」は与党による数の横暴であり単なる独断専行でしかない。
 果たして日本には、そのような形で民意を吸い上げていくようなインフラが本当に整っていると言えるのか。今国会で成立した数々の法案が指し示す日本の現状とその向かう先にあるものを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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