2006年5月24日
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私が重大犯罪の被告を弁護しなければならない理由

安田好弘氏(弁護士)
マル激トーク・オン・ディマンド 第269回

 今週の丸激ではここ近年視聴者からのリクエストが最も多かった安田好弘弁護士をゲストに迎えた。
 今更言を待たないが、安田氏は山口県光市の母子殺害事件の被告や、和歌山カレー事件の林真須美被告、ヒューザーの小嶋進社長など、世間を騒がせた重大事件の被告人の弁護に当たる。世間を騒がせたと言うよりも、マスコミによる激しいバッシングを受けたと言った方がより正確かもしれない。
 また、かつてはオウム真理教の麻原彰晃の主任弁護人を引き受けるも、オウム真理教がサリンを製造していることを知りながら地下鉄サリン事件を防げなかった警察の責任を追及する姿勢を見せると、ほどなく強制執行妨害なる容疑で逮捕(その後一審無罪も、検察が控訴し現在も係争中)されるなどの曰く付きの経歴の持ち主でもある。また、自身は死刑廃止運動の中心的な役割も演じる。
 その安田氏は、世間から凶悪犯扱いされる被告の弁護を引き受ける理由として、「マスコミバッシングによって正当な裁判を受ける機会を与えられていない」ことを理由にあげる。安田氏の厳しい追及によって、新宿西口バス放火事件など、過去に下級審の判決の軽減に成功したケースも多い。
 安田氏はまた、マスコミから極悪人のレッテルを貼られた人間を、正当な裁判もないまま葬ってしまおうとする昨今の風潮を民主主義の危機として、強く危惧する。また、そうした風潮が、近代法の前提たる推定無罪原則からの司法の逸脱を許しているとして、世論に迎合する司法の堕落ぶりも批判する。
 しかし、自分自身が権力からつけ狙われ、また金銭的な報酬も期待できない被告の弁護をなぜ安田氏は引き受け続けるのか。そのエネルギーの源泉はどこにあるのか。安田氏はなぜ死刑制度に強く反対するのか。このように困難で重要な役割を、たった一人の弁護士に背負わせているという事実が、日本の市民社会の何を反映しているのか。安田氏とともに、考えた。

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