フィンランド生まれのツルネン・マルテイ氏は、42年前、宣教師として日本にやってきた。39歳で日本に帰化をして、52歳で湯河原町議会議員に当選し、政治の世界へ飛び込んだ。4度の国政選挙への挑戦は、いずれも次点に終わったが、2002年、議員辞職に伴う繰り上げで念願の参議院議員となり、昨年7月の参議院選挙で再選された。
外国人の彼の目に映る日本の国会は、欧州の議会と比較すると、かなり奇妙な世界だとツルネン議員は言う。演説中に乱れ飛ぶ汚い野次や、本会議中でも居眠りする議員たちに、「今は仕事の時間でしょ?」と苦言を呈したくなることも多い。また、党利党略による駆け引きが多く、政策本位での論争が少ないため、国民に議員の主張がわかりにくいのも大きな問題という。
しかし今の日本には、地球環境や農業、教育など、政治が決断を迫られている問題が山積している。ツルネン氏は、日本のために必要な政策は超党派で推進すべきという立場から、所属する民主党だけでなく、自民党や共産党にも声をかけてさまざまな勉強会を行ってきた。
172名の超党派議員が参加する「有機農業推進議員連盟」は、その努力が大きく実を結んだもので、この議連が提出した「有機農業推進法」は、06年に全会一致で成立した。
ツルネン氏は大規模農家を基準とした農業政策を固持する農林水産省からは、この法案のような発想は出てこなかったと語り、この成果を「奇跡的」と喜ぶ。そして、この成功事例を、環境問題や食糧自給率問題などにも活かし、官僚とは違う視点から超党派でさまざまな法案を成立させていきたいと意欲を語る。
特に農業問題に力を入れるツルネン氏は、農業は一国の安全保障に関わる問題で、日本という国のあり方につながる重要な問題だと説き、世界的な穀物高騰や毒入り餃子をはじめとする輸入食品の安全性などを考えれば、現在の39%にとどまる食糧自給率を10年で60%まで上げるようにしたいと語る。
和装スーツに身を包んだツルネン氏に、農業問題から、食糧自給率問題、フィンランドの教育政策、在日外国人選挙権問題、そして、民主党が抱える弱点について、問うた。
弦念丸呈(ツルネンマルテイ)つるねん まるてい
(民主党・参議院議員)
1940年フィンランド北カレリア生まれ。64年社会福祉カレッジ卒業。67年キリスト教会宣教師として来日。79年日本に帰化。92年湯河原町議会に当選。95年より衆院、参院選に3度出馬しいずれも落選。01年参院選で次点。02年議員の辞職に伴い繰り上げ当選。07年参院再選。当選参院2回(神奈川選挙区)。