公認会計士は、なぜ特捜検察と戦うのか
マル激トーク・オン・ディマンド 第363回(2008年03月16日)
公認会計士は、なぜ特捜検察と戦うのか
ゲスト:細野祐二氏(公認会計士)
 検察も裁判所も、一体どうなってしまったのだろうか。
 公認会計士の細野祐二氏は、顧問を務める害虫駆除会社「キャッツ」の粉飾決算に関与した容疑で、04年、東京地検特捜部に逮捕された。これに対し細野氏は、「適法な会計処理だった」と無実を訴え、検察の調書へのサインを拒否し続けた。その結果、細野氏の勾留は190日間に及んだ。
 細野氏が勾留されている間、同時に逮捕されたキャッツ社長以下会社関係者は一様に細野氏の共謀を証言したため、東京地裁は細野氏の粉飾への関与を認定し、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を下した。
 しかし、一審判決後、ようやく釈放された細野氏が会社役員等に証言の内容を質して回ったところ、いずれも検察が用意したストーリーに沿った嘘の証言をさせられていたことを知る。検察は減刑などの恩恵をちらつかせて、嘘の証言をさせていたと言うのだ。
 細野氏の控訴審では、既に細野氏以外の裁判は刑が確定していたため、関係者は一様に一審の証言を覆し、細野氏の関与を否定した。そのため一審で有罪の根拠となった証拠は、ことごとく否定されていた。一審で検察と取引をした会社幹部らが、細野氏に不利な証言をするために40回以上ものリハーサルを検察にやらされていた事実までが浮かび上がった。しかし、高裁は細野氏の控訴を棄却した。
 元検事で桐蔭横浜大学教授の郷原信郎氏は、一審では典型的な特捜捜査に基づく綿密なストーリーが構築され有罪を勝ち取ったが、そのストーリーが二審では否定されてしまったため、もし二審で高裁が無罪と言い渡すことになると、特捜捜査そのものが否定されたことになる。裁判所はそう考え、決断を見送ったのではないかと、不可解な高裁判決の理由を推察する。
 「高裁の一公判部にその決定は重すぎるかもしれない。そういうことは最高裁で決めてくれと考えても不思議はない」と郷原氏は言う。
 細野氏が逮捕された当時は、りそな銀行や足利銀行の不正会計処理が明らかになり、その処理を見逃した監査法人や公認会計士への風当たりが強くなっていた。社会の規範を示す使命を負った特捜検察としては、公認会計士の細野氏を逮捕することで一罰百戒を狙った可能性が高い。細野氏自身も、取調べの段階から、「何としても私をとりたい」という特捜検察の思惑を感じたと言う。
 どうも、検察も高裁も、真実や公正などはそっちのけで、それぞれ自分たちのお家の事情で動いているだけのように見えてならないのだ。
 そもそも、金融市場のグローバル化が急速に進む中、これまでの古典的な特捜の捜査手法で、市場の規律を本当に守っていけるのだろうか。この事件は、特捜スタイルの捜査と経済犯罪の相性の悪さを象徴する事件と見ることもできるのではないか。そして、細野氏がその犠牲者となっている可能性があるのではないか。
 今回は、ベストセラーとなっている著書「公認会計士vs特捜検察」の著者で現在キャッツ事件の被告として最高裁に上告中の細野氏から、事件の真相とここまでの検察との戦いについて内実まで踏み込んだ話を聞くとともに、経済ジャーナリストの町田徹を交え、市場の規律を守る手段としての特捜捜査のあり方などを議論した。

スペシャルリポート(2008年3月13日)
郷原信郎氏インタビュー

細野 祐二ほその ゆうじ
(公認会計士)
1953年三重県生まれ。78年早稲田大学政経学部卒業。82年公認会計士登録。78年よりKPMG日本に入所し、会計監査および、コンサルタント業務に従事。06年公認会計士細野祐二事務所開設。04年、キャッツ事件にからみ有価証券報告書虚偽記載容疑で逮捕・起訴。06年東京地裁で懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受ける。07年東京高裁は控訴棄却。現在、最高裁に上告し、係争中。著書に「公認会計士vs特捜検察」
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公認会計士は、なぜ特捜検察と戦うのか(ビデオニュース・ドットコム) http:/... 特捜検察はでっち上げ・・・
(リアルの現在)|2008年03月17日 11:56
この記事へのコメント

権力は腐敗する。
絶対的権力は絶対に腐敗する。
それが頭の中にあるならば、権力に対するチェック体制はむしろ、権力側から出なければおかしいのではないか。

こんちゃん | 2008年05月01日 00:47

俺が司法官僚だったら、ホリエモンから一億もらえば「減刑」、数億円もらえたら「無罪」「不起訴」ものだな、ホクホクの笑顔でwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

w | 2008年03月28日 04:52

ホリエモンがとくにそうだけど、ものすごい資金を投入して、アホな司法官僚も(被告に都合よく)買収できないのかなーw

お金で何でも買えるw | 2008年03月28日 04:47

ああいう風に細野氏を取り調べざるを得ない人(現場にいる末端の官僚?)。いやでも仕事上の義務でやってるだけ。だとすると、特捜の上半分の責任なのかな?

いや | 2008年03月28日 04:21

細野氏にもうちょっと人脈があれば、おもしろかったのになw
高圧的に威嚇する取調べ官がいるらしいけど、その上司(の上司)、あるいは、他の強力な権力にコネがあれば、違った展開になってただろうし、細野氏も犠牲者にならずにすんだかもなw
東南アジアや中国なみの腐敗官僚だと思って、賄賂とコネで決着をつけるのもいいな、近代法が通じないからw

毒をもって毒を制す? | 2008年03月28日 04:09

カリスマディーラー藤巻健史氏も複式簿記の効用を強調してた気がする。非常に強力かつ有効な道具というか技術かも。会計・金融関係者だけでなく役人も複式簿記を身につけた方がいいな。もっとも、蚊系(とくに法)は魯鈍だから、無理かwwwwwww

京大理学部卒地方公務員の「あ」 | 2008年03月28日 03:49

「蚊系(とくに法学部)は魯鈍」w
「本当に法学部には教養がない」ww
「[司法試験パスのガリ勉君や図書館オタも含めた]法学部ってほんとにバカが多いな。いずれああいう連中が、[司法]官僚になったり、一流企業の社長になったりするんだぜ。たまらん世の中だよな」www

ああ、法学部出身の俺もなwwww | 2008年03月28日 03:34

この番組の視聴者の中には結構専門バカの方がいらっしゃるようだ
世の中の常識に真っ向から反するような議論の展開には辟易している
司法界には何故このような人が多いのだろうか?

seigi | 2008年03月25日 20:36

現実の捜査能力からすると、厳密に刑訴法の理念通りにやるならば、ほとんど無罪になってしまう。
従って、不適正な捜査を許容して有罪にすることで犯罪を抑止するか、犯罪をやってもほとんど無罪放免になってやり得であるということにするか、どちらかの選択になる。では、どちらがよりよいか。
また、そのような現状を変えるには、操作能力を向上させる必要があるので、そのためには、どうすべきか。
この二点を議論すべきであって、捜査手法の不適正自体の議論は、無用である。

一言 | 2008年03月25日 05:15

通りすがり 氏の発言について。
氏の発言は、現状の説明ですね。
全面的に正しいとは、思わないけど、それもあるという意味では、賛成になる。

しかし、前提を是としてように見えるのは、ちょっと残念。
その前提を踏まえた上で、その前提に反対すべき。

DT | 2008年03月20日 21:55

宮台氏の「高度に政治性ゆえに」云々の「使用方法」が法律学的には議論のレベルがときどき間違ってると思う(言わんとしている行政国家現象については理解できるが)。もっとも社会学的には正しいのかもしれない。
最近、頻繁に使用されているようなので、ご検討してほしい。

あと、ラジオなどで時々法科大学院制度を持ち上げているゆであるが、制度としては完全に失敗だったとの意見が支配的になりつつある。宮台氏もあまり関心のない分野かもしれないが、もう一歩踏み込んでロースクール制度の問題点に理解を示して欲しい。そして昨今の法曹増員を制限するべきだとの意見(鳩山法務大臣、各弁護士会)についてどのようなスタンスをお持ちなのかお教えいただければと思います。
司法という国の不可欠の分野なので、是非ご議論頂きたい。

ここをクリック

lsm | 2008年03月20日 16:33

当初にSECSの不興を買った話からして、つくづく行政国家の体を思い知らされます。また郷原先生のお話も、社会の急激な変化についていけていない検察の仕組みが良くわかって非常に興味深く拝見しました。検察には法務省民事局で経済関係法規を立案したり、金融庁付き、SECS付きで、マーケットや会計に通暁した検事も一定数いるはずで、事実そういった人材が経済事案のために特捜に配属されたりしていますが、結局主流派になれずに弾かれてしまうのかなー、と勝手に推測しました。その点、郷原先生の「特捜はボート型組織」というご説明はなるほどそうかと思いました。「マーケットに明るい思考する検事」にとっては思考停止した「超ドメ」「マッチョ」な特捜部は居心地悪いでしょうし、さらに「わかりやすい構図でないと決済が下りない」というのお話も、なんともまあ、へたれマスコミの番組提案会議じゃないんだからと思いつつ、あり得る話だからガックリきますね。それくらいなら市場や会計に明るい検事は弁護士に転身したほうが年収も5〜10倍になりますからね・・・。それ以上に問題なのは昔からのお家芸とはいえ裁判所の腰抜けぶり。最高裁も腰抜けですから、細野さんの汚名はもしかすると雪げないかも知れませんが、それでも細野さんの胆力に敬服するともに、戦う姿勢を学ばせて頂きました。細野さんが早期に屈していれば出てこなかった話な訳で、細野さんのような方こそ社会規範変革の功労者ではないでしょうか。

上尾 | 2008年03月18日 12:37

”通りすがり”氏は検察関係者ではないか?
もしそうであれば自分の立場を明示した上で発言すべきです
一般市民をよそおってあんなひどい発言をすることは許されません

seigi | 2008年03月18日 09:25

最近の丸劇は、色々試行錯誤の途中みたいですね。
今回は町田氏中心に番組を進めたのはわかります、マンネリ脱却のひとつの策としてはわかりますが、宮台氏があまりに(前半なんかほとんど出番無し)極端過ぎでは?
たまには町田氏だけでの「丸劇」も視野においての放送だったのでしょうか?
なんにせよ、番組をよくしようとする試行錯誤は見る側としても歓迎ですけど、今回のやり方はちょっと不自然に感じました。


通りすがりさんへ:
>社会を回すために刑事事件の有罪率は100%でなければならない。

そのようにして、社会が「回ってる気になる(させる)」ことで、社会が本当にまわるならそれでもいいんでしょうけど、今現実に、「回ってないよね?」というのが見えてきているので、異論も出てきているのでは?
「順調に社会が回ってる気分」になるために、誰かが犠牲にならないといけない、それがしょうがない、というのはちょっと同意できません。

しかも、その犠牲を出したにもかかわらず、実際には社会が回ってない場合、無駄な犠牲ということになりますし。

具体的には、犯罪で誰かが、真犯人とは違う人が捕まったとします。
それで、その人が本当は犯人でないにも関わらず、有罪になりました。
社会はそれで安心するかもしれませんが、真犯人は野放しです、新たな同様の事件を起こし、取り返しのつかない結果を引き起こしてしまうかもしれません。
それってちゃんと「回って」るんでしょうか?

それに
通りすがりさんの意見だと、通りすがりさんが(日常であり得る話&わかりやすい例をあげると)”痴漢”の濡れ衣を着せられたとしても、あなたは

>日本の中国化阻止という大義のためには警察・検察の無謬性神話はなんとしても維持されなければならない

為に、自分が100%無罪でも「有罪」を受け入れないといけない話になりません?
それ、OKなんでしょうか?

そもそも、”日本の世論のニヒリズム”の蔓延を阻止するためには、とんでもないこと(ミスや不正)を公権力がやったとしてもそれを全て受け入れること、なんかじゃなくて、公権力自体がもっともっと、明らかなミスや不正と見られるものをなくしていって、国民の信用を深めることだと思います。

>警察・検察無謬性神話維持のために、本来はメディアも「国策捜査」の犠牲者については絶>対タブーとして取り上げて記事にしてはいけないのだ。
全体主義国家がご希望ですか?
私はイヤだなぁ。

Nao | 2008年03月18日 01:02

所詮検察は会計実務に関しては素人同然だから、このようなずさんな捜査になるんだろう。

でなかったら、経理からアングラな連中に資産が流出し、それを監査役も見抜くことができずに株価が暴落し、会社自体が消滅してしまったゼクーの問題でも、このような騒ぎになったはず。

? | 2008年03月17日 23:54

むしろその無謬性神話こそ諦観的なニヒリズムを土台にしているのでは?

匿名 | 2008年03月17日 20:13

「通りすがり」さんへ
バカ言っちゃあ困る。正義は正義で如何なる理由があろうとも曲げられないというのが世間常識ではないか
このビデオを本当にしっかり聴視したのか?
「だから残念ながら、細野氏には黙って有罪になって頂くよりない」とは、とんでもなくふざけた言い分だ

100%勇気 | 2008年03月17日 15:48

とても残念なことだが、日本人の大半は警察と検察の無謬性を心の底から信じている。唯一神への信仰に近い。だから無罪判決が出ることに対しては、警察の杜撰な捜査・検察の無茶な公判への態度に対して批判などはほとんど出ない。犯罪者で極悪人たる被告の権利を擁護し、どうやって量刑を減刑するかということで頭がいっぱいの市民の素朴が正義感から徹底的に乖離した非常識な判事が無罪などというありえない判断をしたという論理になる。
もし警察・検察の無謬性神話が崩壊するような事態になったら、日本の世論はニヒリズムが支配するだろう。すなわち「公徳心」が存在しなくなる、すなわち日本が中国化するということだ。日本社会を回す=ニヒリズムの充満を阻止=日本の中国化阻止という大義のためには警察・検察の無謬性神話はなんとしても維持されなければならない。だから、粉飾決算をしたしないという話なのではなく、検察が起訴した以上は有罪にならなければ、日本社会が維持できないのだ。
だから残念ながら、細野氏には黙って有罪になって頂くよりない。警察・検察無謬性神話維持のために、本来はメディアも「国策捜査」の犠牲者については絶対タブーとして取り上げて記事にしてはいけないのだ。
社会を回すために刑事事件の有罪率は100%でなければならない。

通りすがり | 2008年03月17日 11:43

三点。

1 とても面白かったです。司法を学んでいるので、興味深い点の実際的な面を見ることが出来ました。

2 公判廷での証人の証言は「採用されるか否か」というよりも「心証に影響させるかどうか」という方が近いのではないでしょうか?つまり、証言は証拠として用いるけど、犯罪成立を妨げる効果をほとんど認めないという意味です。証拠力(証明力)を否定しているのであって、証拠能力がないというのとは異なるのかなとの印象を持ちました。

3 検察官が殺人罪で起訴したが、裁判所が傷害致死の心証を持った場合には、検察官の訴因を変更させることが裁判所には出来ますし、訴因を縮小して認定することも出来ます。その発想の応用として、Aという共謀は無くとも、Bという共謀がありうる以上、Bがあったことを前提とした裁判をすることは、裁判官の「心理」として分かってしまう自分が怖いです。普段勉強しているモノの考え方自体の恐ろしさですね。
 検面調書の話も、同様に、相変わらず恐ろしいものだなと思いました。

こぴ | 2008年03月17日 02:45

私もいわゆる士業と呼ばれる仕事をしているが、会計士すら検察に睨まれればまるでヘビに睨まれたカエルのようになってしまうのだから、恐ろしい。

よく、国内で粉飾決算で会計士が責任を問われたケースとして三田工業事件と並べて論じられているところをよく見かけるが、キャッツの問題は性質はかなり異なることなのだから軽々に論ずべきではないのだと思う。

? | 2008年03月16日 23:52

複式簿記3級ぐらいなら
粉飾じゃないってわかりそーな
もんだよね 義憤を感じました。

匿名 | 2008年03月16日 16:42
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