マル激トーク・オン・ディマンド 第345回(2007年11月10日)
江戸の遺伝子とは何か
ゲスト:徳川恒孝氏(徳川宗家第18代当主)
グローバル化が進み、日本的なものが失われつつある現在、逆に日本人らしさや、日本の良さを見出し、日本の古きよき伝統を再興しようと言う動きも活発化している。だが、清廉で、公徳心にあふれ、勤勉で、礼儀正しく、自然への感性が高く、きれい好き。「古き良き日本人の美徳」として頭に浮かぶものの多くは、実は江戸の文化にそのルーツを見いだすことができる。にもかかわらず、現在にいたるまで江戸は、明治維新で薩長が徳川幕府を倒して新政府を樹立して以来、十分に正当な評価を得てきたとは言えないのではないだろうか。
そうした認識の上に立ち、今週は家康公から18代目の徳川宗家当主であり、財団法人徳川記念財団の理事長でもある徳川恒孝氏をゲストに迎え、今も日本人の心に染みついた江戸のDNAとは何なのかを探ってみた。
渡航経験が豊富な徳川氏は、「江戸」に対しての、日本と海外の評価のギャップに何度も驚かされたと言う。日本では、江戸時代といえば、武士が一切の権力を握った封建制度下で、士農工商の身分差に縛られた自由のない暗黒時代という評価が一般的だ。一方、海外では、265年という世界史上まれな長い平和と繁栄を維持し、次の政府へ平和的禅譲を成し遂げたというユニークな時代として高く評価されている。「日本の発展は明治から」という色眼鏡をかけていない海外の研究者にとっては、パリやロンドンが50万都市だったころに、人口100万人を越える文化都市に発展していた江戸とは、大いなる謎であり、「なぜ、繁栄の基礎を築いた徳川家康公の銅像が東京にはないのか?」とたびたび尋ねられたと徳川氏は語る。
事実、江戸は、その当時、世界随一の文化都市であり、髪の毛までリサイクルする環境循環型社会であり、全国からあらゆる人とものが集まる物流拠点であったと徳川氏は語る。そして、日本に蔓延する「鎖国政策で世界から孤立」や「思想統制が厳しく、出版業は振るわなかった」、「自然災害の連続で農民は飢えの恐怖に怯えていた」、「各藩の分立で国内の自由な往来は困難」などの江戸時代についての悪いイメージの多くは誤解であると、例を挙げて反証し、江戸の社会の豊かな側面を描き出す。
では、その繁栄を支えた江戸幕府260年の体制の安定は、なぜ、維持できたのか?
幕府の巧みな統治システムはもちろんだが、徳川氏は、支配階級の高い倫理感と、町人・農民にまで浸透していた「公儀」という役割分担が、その謎を解く鍵ではないかと指摘する。そして、21世紀の現在を生きる日本人にも、その精神は密かに受け継がれ、「江戸の遺伝子」として残っているというのだ。
良くも悪くも“日本人らしさ”として語られる江戸のDNAとは何なのかを、徳川氏と議論した。
徳川 恒孝とくがわ つねなり
(徳川宗家第代18代当主・財団法人徳川記念財団理事長)
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1940年東京都生まれ。64年学習院大学政経学部政治学科卒業。同年、日本郵船に入社。取締役欧州大洋州事業部長、副社長などを経て、02年より顧問に。03年、財団法人徳川記念財団を設立し、初代理事長に就任。07年、WWF(世界自然保護基金)ジャパン副会長に就任し現在にいたる。著書に『江戸の遺伝子』。 |
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この記事へのコメント
低温殺菌の牛乳がどうとかものすごい早口でいうのはやめてほしい。なんどもいっていることだし、話題にあまり関係ないという理由もあるのでしょう。しかし、こちらもよくおぼえてないし、いうのならはっきりいってほしいのですが。
sima |
2008年02月11日 16:04
いい勉強になりましたが、重要なことが抜け落ちているような、それは江戸時代は同性愛さえも許容されるというか、当たり前に捉えられていたほど社会が性に関して自由だったということ。性に対しての締め付けが厳しくなかったこと。
これはアメリカ人の歴史学者が指摘したことです。近代化により同性愛などは悪とされましたが、ご存知の通り、それって西洋の受け売りだったんですよね。そういうことも議論すればもっと深みがあったと思うのですが、URLにそのことについて書いたアメリカ人の本の書評を紹介します。丸劇で作者を呼んで話しをさせてみれば。日本人以上に日本を知っていますよ。
http://www.news.janjan.jp/culture/0701/0701037552/1.php
海形マサシ |
2008年02月02日 23:23
「秀吉」って呼び捨てにしてるのは、
ちょっとというか、インテリジェンスや感情的な側面からは、ちょっと、というか、かなり強烈にひっかかりました。少なくとも、主筋なわけでしょう。会津というファクターが現当主というのは、好感を持ったのに。ちょっと、空気読めよ、って感じだったので、敢えて苦言しておきます。呼び捨てにすると、簒奪者、というキーワードがはねあがってくるだけですから。
名古屋市東区徳川町在住者より。
まるお |
2007年12月22日 23:45
「秀吉」って呼び捨てにしてるのは、
ちょっとというか、インテリジェンスや感情的な側面からは、ちょっと、というか、かなり強烈にひっかかりました。少なくとも、主筋なわけでしょう。会津というファクターが現当主というのは、好感を持ったのに。ちょっと、空気読めよ、って感じだったので、敢えて苦言しておきます。呼び捨てにすると、簒奪者、というキーワードがはねあがってくるだけですから。
名古屋市東区徳川町在住者より。
まるお |
2007年12月22日 23:43
大変貴重な映像でした。インスピレーションを有難うございます
愛国心、愛郷(コク)心を培うのが今回の御対談の趣旨であるなら、その目的は達成された
でしょう。
ゴッドファーザー(当然主観に基づく独断です)漁史のお告げを受けてこのコメントを献納致す次第に候。文体が多少変わりますが、御了承下さい。以下。
一点だけ、反論させて頂きます。日本国民(臣民かな?)の自由のために。
日本人は外敵に侵略された事が無いという言及について。
元寇はどうでしょうか。
あるいは白村江の戦についてはどうでしょうか。
******
偉大なる日本国民へ。同胞へ。
恐怖心を超えたところに自由はやってくるであろう。ドラクロワの絵画に言及しようとは思わない。
分かるはずだ。
前掲書(ポスト京都編拙稿参照)"Heat"の出版社 South End Pressのキャッチコピーを引けば↓
Read. Write. Revolt.
だそうです。どのようなRevoltかはその人の自由連想であろう。
以下に「道具」を紹介させて頂きます。
大芝英雄著「豊前王朝」同時代社、2004年2月初刊第1刷。¥1600+税(定価)
縄文の末裔の一人より。
Andreu |
2007年11月29日 00:43
今回のマル激面白かったですねぇ。
恥ずかしながら、江戸文化方面は
"ちょんまげ"とか"時代劇"程度の知識しかなかったので
江戸文化への興味をそそられる面白い内容だったと思います。
ごちそうさまでした。
ちなみに、どうでもいいですが
後半で徳川さんがメディアについて
「こんなこと言って良いのかわからないのですが・・・」と
かなり遠慮がちに喋ってるトコロに神保さんが
「いやもうそれはバカマスコミがですね・・・」と
カブせていったのがウケました(笑)
Wakayama |
2007年11月26日 13:33
>DTさん
いまはむかし、私が大学生だった頃に「明治東京の都市計画」を題材にレポートと発表をしまして、その時に江戸と東京の比較をする必要が出てきてかじりました。
とりあえず基本通り大学図書館で関係がありそうな書籍をかたっぱしから読んだので、今では記憶が曖昧で書籍名全てをあげる事はできません。
加えて、上述した通り江戸時代を直接取り上げたわけでもないので、参考になるかどうかも分かりません。申し訳ない。
憶えている範囲で私が名著と思ったり、印象深かった本をいくつかあげておきます。
『明治の東京計画』 藤森照信 岩波書店
『近代読者の成立』 前田愛 岩波現代文庫
『乱歩と東京』 松山 巖 ちくま学芸文庫
『明治東京下層生活誌』 中川清 岩波書店
『清潔の近代』 小野芳郎 講談社選書メチエ
『江戸お留守居役の日記』
『対馬藩江戸家老』
『長崎聞き役日記』 山本 博文 講談社学術文庫
『アースダイバー』 中沢新一 講談社
前田愛の研究には優れたものが多いと感じました。
『アースダイバー』は細かい部分を検討していくと論理的矛盾が出てくるように思います。切り口は面白い。
おまーん |
2007年11月18日 10:41
おまーん さま へ
江戸時代についてちょっとかじった程度と言っていらっしゃるようですが、何でどのように知っているかを参考までに教えてただけると、参考になります。
江戸の再評価をしている本を読もうかと考えていたのですが、それだけでは、良くないように感じましたので。
DT |
2007年11月17日 02:54
江戸は武家ばかりの都市でした。
江戸は地方の武家がそれぞれ信仰神を持ちこんでくるため、宗教都市でした。
江戸は木戸制と太鼓橋と運河で流通を制限していました。
夜は隣町まで移動できない。木戸で移動を制限されていましたから。移動は許可制ですから、伊勢に遊びに行くにはお武家様の許可が必要です。
江戸は武家のための都市で、軍事都市という側面は見落とせません。
江戸では色街だけでなく、物理的、社会的な様々な「壁」がそこかしこに有って、人や物の移動を制限していました。
日本の識字率が上がったのは個室で本を黙読するようになってから。
高さのある建築物を作るのに制限があった。
番組中で言っていたように厳罰主義ですから、上から下まで秩序を乱す行動を取れない、息苦しい世界だったことでしょう。はけ口を求めて様々な「反秩序行為」が行われます。芸能しかり、犯罪しかり。
それに対し、幕府は様々に規制を行います。出版の禁止・興行の禁止・宗教の禁止、調べたら事例は無数にあります。理由が「秩序紊乱」とか「奢侈に流れているから」とかザラですよ。
町人には温情的だった、と言っていますが、それだけ政府に権力が集中していたからでしょう。民間など、いつでも好きなように処分できるわけですから。
江戸は疫病が多かったです。番組中で紹介されていた水道が感染源だった事も当然多々あったことでしょう。
江戸は火事が頻繁に起こっています。規模も数万人が死んだり、数千戸が焼けたりと被害が大きいです。
馬が物流の基礎なので、街道沿いは馬糞臭かった様です。街道沿いで商売している人達はずっと街道沿いにいるわけですから、当然馬糞臭かったことでしょう。黄門様とか。
貧困については例えば口減らしについてどう考えているのか。あるいは飢饉が起こると餓死者が万単位で出ていると記録にありますが、それについてはどうか。
武家が倫理的だった?いい物食いたがって、いい物着たがって、色街で遊びたがってたに決まってるじゃないですか。色街で接待や会合が行われていた事例だって有りますよ。武家は金に触っていなかった?どれだけナイーブなんですか(笑)。
この放送は「徳川時代は良くない」というフィクションに「徳川時代は良い」というフィクションで対抗しているのでしょう。そういう主張が好きな人にはいいでしょうが、江戸時代についてちょっとかじった程度の私でも、首を傾げる発言が多かったです。
「武士道」なるものが明治以降に作られたフィクションである、とする説を信じるならば、江戸時代を美化し、それを「現在」に当てはめようとするする発想は極めて「近代的」と見る事もできます。
私は別に明治以降の近代化路線がいいとは思わないし、戦中も高度経済成長期もバブルも今もいいとは思わないけれど、江戸時代もいいとは思えません。
小沢の例の会見についても同じ様な感想を持ちました。「アメリカのけつなめ」だかが特にいいとは思わないけど、小沢が言ってることが特に魅力的とも思えない。
宮台氏の言っている事の何がいいのか、いまいちよく分かりませんわ。
おまーん |
2007年11月15日 11:40
すごく勉強になりました。
自分で考える力(技術)を身つけるのは大切だと痛感します。
日本人は明らかにナイーブだと思われがちですが、この特殊性がどういうふうに培われてきたかは興味深いところです。
宗教は原因じゃなくって結果
鶏卵論もありますが、と聞いてなるほどな、と思いました。
食と風土が基本なのかな。
寺子屋的な教育方法は賛成です。
今の時代絶対うけいれられないだろうなとは思いますが、ついていけない子が無理に進学してよけいついていけず、人生を棒に振るのって、残酷です。
日本人って議論が苦手なのは、
いつの時代からなんでしょう?
もし機会があったら、最近話題のマクロビ食事法について、食が人格、よって文化を形成といった角度からお話伺えたら光栄です。
kayo |
2007年11月12日 18:28
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2007年11月12日 05:04
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