マル激トーク・オン・ディマンド
ミツバチが知っていて人間が知らないこと
マル激トーク・オン・ディマンド 第431回(2009年07月11日)
ミツバチが知っていて人間が知らないこと
ゲスト:中村純氏(玉川大学ミツバチ科学研究センター主任教授)
 今年の春、農作物の花の受粉に使用されるミツバチの不足が全国各地で伝えられた。花粉交配用ミツバチは、特にイチゴやメロンなどのハウス栽培作物に欠かせないため、海外から繁殖のための女王蜂を輸入することで安定供給を図っていたが、輸入の8割を占める豪州産女王蜂に伝染病が発生し、輸入が止まったため需給に混乱が生じたことが、どうやら今回の日本におけるミツバチ不足の直接の原因だったようだ。
 しかし、ミツバチの大量死や減少は、日本だけでなく、世界各地で多発している。特に米国では、蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれるミツバチが巣箱から突然消えていなくなる現象が3年前から各地で発生し、農業生産に大きな打撃を与えている。
 ミツバチの消滅や大量死の原因には諸説あるが、ミツバチ研究の第一人者である中村純玉川大学ミツバチ科学研究センター主任教授は、全米で起こったCCDについては、人間がミツバチを農業用の資材として酷使したことで、ミツバチに過度なストレスがかかったことに原因があったとの見方を示す。アメリカでは花粉交配用のミツバチは農業生産に欠かせない家畜として、開花の時期に合わせて巣箱ごと全米各地をトラックで長距離移動させられる。しかも、単一作物が植え付けられた広大な農地での受粉作業は、ミツバチにとって栄養バランスの悪い食事以外の何ものでもない。移動の疲れに栄養不足など過重なストレスがかかったミツバチが、ダニ、ウイルス、農薬など既知の外敵への抵抗力を低下させていた可能性も否定できない。実際、アメリカではミツバチの栄養と衛生状態を改善した結果、今年はCCDの発生はほぼ治まっているという。
 ミツバチの大量死が顕著だったアメリカには、そのような特殊な事情があったと見られる一方で、アメリカほどではないものの、やはりミツバチの不足や減少が発生している日本や欧州では、ネオニコチノイド系農薬に原因の一端があるとの見方が有力だ。ネオニコチノイド系農薬は、人体に有害な有機リン系農薬に代わる新種の農薬として開発され、近年その使用が急激に増えている。人体への影響はないが、昆虫の神経系に打撃を与える特徴を持つとされる。欧州ではネオニコチノイド系農薬を使用した農地の周辺でミツバチの大量死が報告されたため、現在フランスやオランダなどでは全面禁止され、EU全体でも禁止の方向に向かっているという。
 日本ではカメムシ被害によってコメの等級が下がることを避けるために、稲田でネオニコチノイド系の農薬が広範に利用されるようになっている。カメムシ被害に遭った稲は、コメに微少な斑点がつく。しかし、食味上何の影響もない斑点米の僅かな混入でコメの価値が下がってしまうことを避けるためにネオニコチノイド系農薬が大量に使われ、ミツバチを含む生態系に多大なストレスを与えている現状は、果たして合理的と言えるだろうか。また、科学的には人体には影響しないとされるネオニコチノイドでも、一定量を超えて使用されれば、影響があるとの指摘もある。
 このように世界的なミツバチの大量死は、単純な因果関係で説明できないが、一つはっきりしていることは、農業が産業化し、ハウス栽培などでミツバチを工場の機械の一つのように扱うようになったことと無関係ではないことだ。アメリカでのミツバチの酷使はもとより、ネオニコチノイドについても、ミツバチの受粉期は農薬の散布を避けるなどの小さな工夫で、ミツバチへの影響を最小限に抑えられる可能性はある。昨今のミツバチ大量死は、農業においても生産性と効率のみを追求するあまり、ミツバチを農業資材としか見なくなった人間が、その程度の配慮さえできないまでに利己的になっていた現実を、訴えかけている。
 またネオニコチノイドも、「人体に影響がない」との能書きで近年一気に利用が広がっているが、仮に人体への影響がないことが100%本当であったとしても、それだけで大量使用することは、生態系の他の生物のことを全く無視しているとの誹りは免れない。それがミツバチに打撃を与え、更にそれが農業生産に影響を与えることで、結果的に回り回って人間に大きな不利益をもたらしていることになる。
 社会性動物であるミツバチは、女王蜂を中心に一つのコロニーを形成し、コロニー内では数千から数万の働き蜂が、それぞれ明確に決められた自分の役割分担を果たす。ミツバチはまた、高度なコミュニケーション能力を持ち、例えば8の字ダンスは良い蜜の在り処を他の蜂に伝える伝達手段なのだという。人間はそのような高度に進化したミツバチさえも、効率的農業生産の道具としてしか見られなくなっているようだ。
 地球の生態系では、被子植物の多くがミツバチの受粉に頼って生きている。互いが互いを必要とする生物相互関係の中でミツバチも植物も進化を遂げ、動的平衡が保たれてきた。その精妙なバランスを身勝手な論理で人間が崩したことが、ミツバチ消滅が起きた真の原因と考えるべきかもしれない。
 しかし、ミツバチの生態の逞しさや複雑さを見ていると、環境に対して開かれているが故に環境の影響を受けやすいミツバチよりも、環境を克服するために環境から自らを隔離し、生態系との相互関係を失ってしまった人間の方が、なぜか脆弱な存在にすら思えてくる。中村氏は、だからこそ人間はミツバチの視座を持つことが大切だと説く。人間を中心に据えるのではなく、他の生き物の立場に立って生態系のあるべき姿を再考すれば、生物多様性の本当の意味が自ずと見えてくるはずだと言うのだ。
 今世界でミツバチに起きていることや、ミツバチの類い希な習性や生態から、我々人間は何を学ぶべきかを、ミツバチ博士とともに考えた。
  • 児童ポルノ法改正: 行政の裁量拡大に無警戒な政治の惨状
  • なぜ今、供託金引き下げなのか

マル激トーク・オン・ディマンド 第405回(2009年01月07日)
だから男はみんなできそこないなんだ
ゲスト:福岡伸一氏(青山学院大学理工学部教授)

中村 純なかむら じゅん
(玉川大学ミツバチ科学研究センター主任教授)
1958年岐阜県生まれ。81年玉川大学農学部卒業。93年玉川大学大学院農学研究科博士課程修了。日本配合飼料勤務、青年海外協力隊のネパール派遣(養蜂指導)、玉川大学農学部助手、玉川大学学術研究所講師などを経て、04年より現職。農学博士。
この記事へのコメント

あらゆる場合において、科学的に難しい理屈や未開の知識を全部知らなくても、命への尊厳を持って全ての生き物たちと接することが大切だと信じています。また、そのほうが私は心地よく人生を過ごせます。

こんな当たり前のこと、さんざんガキの頃大人達に学ばさせられたし、実体験からもそれが大切だと納得して今を生きておりますが、弱肉強食お金主義の世の中は、なかなかそうなってませんね。

例えば、物作りのみを作り手同士で競うのであれば、それは正しい競争なのでしょうし、その事によって売り上げや社会的地位に差が出ても、おおいに納得できます。しかし、実際には品質の競争よりも、宣伝合戦を制した者がトップの売り上げを掴んでしまう現実があり、それがあらゆるところで弊害を生んでますね。本当によい物が必ずしも売れず、たいして質の高くないものがヒットしていたり。

この空回りをルールで是正すれば、作り手にとっても買い手にとっても幸せな市場が生まれるハズなんですけど、中抜きをしている売り手が簡単には利権を手放さないでしょうね。前原岡田の頃とは違う、強い民主党に結構期待しています。

利龍 | 2009年09月11日 04:29

とてもとても面白かったです。
このミツバチの動画を見たくて会員になりました。予想以上に引きこまれました。
もちろん他の動画も視聴致しましてとても興味深かったです。
その中で、このようなミツバチというテーマでじっくりと対談を聞くという機会はなかなか無いのもあり、
私にとってとても貴重でした。

れいこ | 2009年07月31日 00:11

[ Nコメについて ]

 宮台氏の 05:18 辺りの発言(「虐待された少女がいないということですよね」)が少し気になっていたのですが、どなたも指摘していないので、とりあえず書いておきます。

 児童ポルノ・児童性虐待の被害者になるのは、「少女」だけではなく、「少年」も含みます。確かに被害者となる「少女」の人数からすれば、(少なくとも明るみになっている分では)相対的に極少数ではありますが、ここで「虐待される対象は女の子だけだ」と思い込んでいるかのように聞こえる発言は、やや軽率だったのではないかと思います。

 宮台氏の研究者としての経歴からすれば、児童ポルノ・児童性虐待の被害者になるのは「少女」とお考えになるのも無理はないと思いますが、もう少し配慮のある発言であっても良かったのではないかと残念です。

田吾作2号 | 2009年07月25日 18:06

ミツバチがこんなに面白いとは知りませんでした。長い年月をかけて彼らは自分たちの社会、文化とも呼べる知恵をはぐくんできた事に、感動しました。今回のゲストの先生はお名前の通り「純」粋にミツバチを愛しておられるのが伝わってきました。文科系・社会科系の研究者とはまた違った、少年のような澄んだまなざしが印象的でした。素晴らしい方でした。
決して、目立つ分野でないかもしれませんが、こういったテーマを取り上げてくださるビデオニュースの素晴らしさを再認識しました。

繊細な大阪人 | 2009年07月21日 00:52

 あまり反応がないな・・・。

「仮説」についてですが、農薬が問題かもしれないという仮説を持つことはもちろん何の問題もありません。そういう監視は常に必要です。
 科学者は科学的真理を明らかにするために仮説を持ち、それを検証しようとするわけです。正しいことが証明させることもあるが、間違っている場合もあるし、間違っていてもそれは無駄ではなく、一つ可能性が消えて真理に近づけるわけです。あるいはその過程で別の面白いことが分かることも多い。まともな科学者は仮説には固執せず柔軟です。我を空しくして自然の声を聞くのが科学者です。

 問題は、神保氏が「何のためにそれを行っているか」なのです。その点について私は神保氏に対して疑念を持っています。氏が自然を理解しようとしているよりは、むしろ自分の信奉しているある思想(彼は無自覚かもしれない)に落とし込もうとしていると感じるのです。これは丸激のゲストで何人か出演したことのある「活動家」のような人には特に言えることです。

かぴばら | 2009年07月20日 23:49

>T.Sさん
>先に一言・・・神保さんコメント欄を私的に使ってしまってすみません。

すまないと思ったら、しなければいいのです。
これに私が応じれば、私までが私的に使っている事になります。
こういう無自覚さ、あるいは、一人良いカッコしーを私は幼稚と評したのです。
また、コメント書き手の人格云々は私の主たる関心ではありませんから、
このようなコメントは私にとっては多少とも迷惑です。

次に排除ですが、議論相手が沈黙する事を排除とはいいません。
私の場合、例え論破されたとしても、時間をかけて、自分の考えを再構成するのが常ですから、再構成に時間をかけているのか、あるいは、単に忙しいだけなのかかもしれません。

問題は私が素朴な感想や意見の表明を阻害した事があるかですが、記憶にはありません。
私が先に「ちょっかい」をかけたのは名無し○さん、○えるねすさん、○学生さんぐらいです。
まあ、彼らのコメントにはコメント欄の書き手の人格批判があるのが常ですから厳密に言えば、私が先とは言えないかもしれません。
以上でT.Sさんの印象論に応えました。

次に二度までも「傲慢」を辞書で調べましたかと聞くあなたにゲンナリしました。
本来、コメントにレスがついても、それに反応するかは個人の自由です。
増して、全ての問いかけに応える筋はありません。
他人を動かそうとする貴方の意思は私以上ですよ。
そのあなたから計算不可能性を云々されても、何だかなと思います。
また、私は、自身の考えの向上を主としていますので、相手の反応はあまり考慮していません。増して、相手を説得できるとも思っていませんが。

まあ、ゲンナリしながらも傲慢をウィキペディアで調べてみました。
パスカルによれば無信仰者はいかに無為と怠惰を克服しても傲慢に陥ると
説いているようです。
私の場合、貴方のようには「個人」を信じていませんから、その意味では
貴方の方が傲慢ですね。
と、言うように傲慢などは文脈しだいで自らにも降りかかってくるものです。

最後に『Turbulent Mirror』の要旨を聞かせてくれれば助かりますね。
私は英語の本を読むほどの力がありませんから。

まぐ | 2009年07月19日 12:26

にしさん
『全然ちげーよ』どころか、私の言葉足らずな部分を補足していただきありがとうございます。

にしさんの言う通りだと思います。

fsさんがコメントで最後に書いてましたが、人間は間違いなく自然の一部です。 人間だけ別に考えることはできません。
『愛』はちょっと奇麗事に聞こえますが、『畏敬の念』私は大事だと思います。
今の日本の社会性ではこれも奇麗事になってしまうのかな?(笑

T.S | 2009年07月19日 01:46

T.S さん
>フラクタルとカオスの関係性を知った上で・・・
このくだりで、TSさんの仰ってることに共感できた。私なりに言えば「自然の全体性を知り、その上で自然に対する畏敬の念を持つ」って感じでしょうか。「全然ちげーよ!!」って言われそうで怖いけど・・・(笑)。

また、科学リテラシーという、概念を用いて批判的コメントを書いている人々に一つだけ言わせて欲しいです。「あなたたちが思っているほど『科学』は一枚岩ではないよ」。

にし | 2009年07月19日 01:00

先に一言・・・神保さんコメント欄を私的に使ってしまってすみません。

まぐさん、自分が幼稚なことに気が付きませんか?? 私はあなたの言論行為を止めるつもりはありません。
まぐさん、『傲慢』は辞書で調べてくれましたか??

>私からちょっかいをかけた人間はごく限られているはずです。

何故ちょっかいを出すのでしょうか?
宮台先生の『野獣系でいこう』はまだ読んでないので読みましょう。

まぐさんにはJohn Briggs+F.David Peat『Turbulent Mirror』の熟読を進めます。

宮台先生の言葉を借りますが、もう少し計算不可能性について知るべきですよ。
それから以前の自分のコメントを読み返して下さい。
まぐさんが排除してるつもりじゃなくても、以前からあなたのコメントも読んでいる私としては、排除的に感じるので排除という単語を使ったまでです。

何故まぐさんは人格攻撃を受けるのでしょうかね〜???

T.S | 2009年07月19日 00:52

T.S さん、幼稚な物言いは止めてください。
私がいつ他の人を排除しましたか?
私からちょっかいをかけた人間はごく限られているはずです。
他の方々へは私は応答しているに過ぎません。

また、私が普通に遣り取りできるようになるまで、随分、人格攻撃を受けましたし、時間も掛かりました。
いまさら、貴方の稚拙な言い分に従い、私の言論行為を止めるつもりは、ありません。
あなたには宮台真司著の「野獣系でいこう」の熟読を勧めます。
少しは知的に逞しくなってください。

まぐ | 2009年07月18日 20:41

丸激で非線形(フラクタル理論とカオス理論など)の力学についてのゲストを呼んでもらいたいです。
今回の蜂の社会性も面白かったですし、以前の福岡伸一さんの回も面白かったです。(何故か福岡さんを批判する人が増えてる気がしまが・・・。)

面白い話をする人の話を聞いていて私的に共通してそうだなと思うのは、その人の思考のしかたがフラクタルとカオスの関係性を知った上で生物や社会やさらに大きな物を知った上で、人間にはこの世が計算不可能なことを知りつつ話している気がします。

ちなみに私は無神論者です。

それと↓まぐさん、以前から気になりますが、あなたはどれだけ完璧な人間なのですか??
あなたの思想と異なる人間は丸激から排除するつもりですか??

失礼な言い方かもしれませんが『傲慢』を辞書で調べてみては???

T.S | 2009年07月18日 11:27

科学的にほぼ万人に疑う余地のないほど証明されるということはかなりモデル化された仮定の世界においてしかできにくいと思います。科学者としてはわからない部分についてはわからないとして現状人類の得ている実験データや研究成果を見て”今は”私はこの理論(仮説)を”信じる”ということしかないのではないかと思います。信じるということになる過程でその人の”自然”に対する理解が作用しまたその理解を新たに進歩させてゆくことになるということがあるのである種のその人独特の世界観があるのは仕方ないとも思います。
番組としてはその人の信じる仮説についての科学的根拠とその人のバックグラウンドが伝わり、また科学者であれば所詮今の知見では信じているに過ぎないという自覚があると思うのでそうでなかもしれないと思う科学的根拠や他の人たちの立場も紹介してもらえればいいのかなあとおもいます。
あと、まぐさんの「安全性の考えかた」ページにある内容を踏まえつつ、新たな技術であれば、評価するパラメータの値がどれほどのものかわからない状況の中でその技術をどう扱うべきかを考えることや、かぴばらさんの指摘のような人間と自然で接し方が変わっているのであれば人間は自然の一部なのか別物なのか視点から考えることはこの番組では得意なところなのではないかと思いますので期待したいです。

fs | 2009年07月18日 08:52

2週間ほど前、郷里の青森県へ行き驚きました。
行く所行く所、幸福実現党のポスターだらけです。人口24万の八戸市、5万の十和田市、山の中と言ってもいい新郷村・・・笑います。

silenturbancrew | 2009年07月18日 05:47

丸激では司会の役回りに徹しているのに、ロールプレーの意味がわからない人たちにあれこれ勝手なことを言われて、神保さんが本当に気の毒です。

戸谷 | 2009年07月18日 03:33

あきさん、この掲示板は2ちゃんねるではありません。
アドレスにも書いてありますが農薬ネットという農薬研究者、農業者、それに消費者が参加しているサイトの付属掲示板です。その水準は例えば以下を読めばわかります。
http://nouyaku.net/tishiki/baransu.html
「安全性の考えかた」

次に、あきさんは掲示板自体は読んでいないと思います。
あの本の内容はむしろ、神保さんと宮台さんの無警戒な話に表れていますから。

まずは、掲示板自体を読むことを勧めます。

まぐ | 2009年07月17日 20:24

いつか書こうと思っていたことなのですが、話題になっているし、もうコメントも出尽くした金曜日なので書くことにします。長文になることをお許しください。

 問題は神保さんの科学問題を扱う態度についてです。今回はちゃんとした科学者にたしなめられたのですが、神保さんは科学のこと、とりわけ環境問題において自分が良く知らないことを最初から決め付けていると感じられることが多いのです。これは氏の信頼性を損なう可能性がありもったいないと思うのです。
 僕は全体としては神保氏の活動に敬意を持っていますし、応援しています。丸激は初回から全部見ていますが、政治や社会関連の見識には感心することが多いです。
 ところが、科学関連になると、丸激でも自身が批判している、二項対立にのっとった問題の単純化、全体を見ずに部分を問題にする、等の間違いを犯しています。
 ネオニコチノイドが問題かどうかとかいう細かいことを問題にしているのではありません。今回は細かいことは書きません。
 科学問題になるとなぜ、ジャーナリスティックな論理思考ができなくなるのか、それは単に科学の知識がないということだけでなく、思想的なものだと感じています。これは神保氏だけでなく、活動家のような人にも言える共通のものです。単にそういう本を読んだから、というようなことではないと思います。
 理由は完全には分かりませんが、「自然」に対する「素朴な感覚」があると思っています。それは、「人間は悪く、自然は無垢で正しい」「自然のままがいい」というようなもので、ここから当然、農薬や遺伝子組み換え植物、CO2、等に対する絶対的な拒否感が出てきます。(私は無条件にこれらを是と言っているのではありませんよ。念のため。)
 番組内でゲストが指摘していたように、ミツバチを含む家畜や作物はすでに「自然」ではありません。かといって全部人間が制御できるとも思いませんし、するべきと思っているわけでもありません。神保氏はミツバチが家畜化されたものだということもご存じなかったようですね。あまりにも無知で素朴な感覚で取材されることの危うさを感ずにはおられません。今回のようにゲストがまともなら、結果的にはOKでしょうが、この見識でテーマやゲストの選定をされていることの危うさを感じずにはおれません。
 最後に自分の考えを簡単に書いておきます。いわゆる、CO2が温暖化の原因であるという説に関しては私は懐疑派です。科学リテラシーのある人の中で懐疑派は多いです。よく分からないものを懐疑するのは科学的に当然です。懐疑はけしからんというのはファッショです。これを強引に政治問題にしたのは怪しい話と思うのが、ジャーナリストとしても普通ではないかと思います。
 もう一つは遺伝子組み換え植物ですが、私の周りの生物学者でこれが食品として危険だと思っている人は誰もいません。世間的に忌避されているのをいぶかしく思っている人が多く、最近ではさすがにこの状態が問題だと思う人が増え、直接の利害のない大学の研究者が科学啓蒙活動の話題として取り上げることも多くなりました。普通の作物には遺伝子は入っていないと思っている人もいるらしいのです(笑)。かといって、無条件に環境中にばら撒いていいと思っている人もいません。農薬も同じなのですが、問題はどういう適切な規制をするかということに落ち着くしかないと思っています。遺伝子組み換えは是か非かという「二項対立」ではなく、事実に基づく個々の検証しかありません。面倒くさく、カタルシスがありませんがそれしかありません。

かぴばら | 2009年07月17日 20:04

まぐさん、仮に今回の神保さんの情報源の中に、あなたが見つけてきた本があったのだとすれば、その本がどれほど売れているものか私は知りませんが、既にそういう本だ出され、2ちゃんでもスレが立ち、そういう情報がある程度広く出回っている以上、その内容の真偽を専門家である中村先生にぶつけるのは、ジャーナリストとしてはいたって自然なことだし、むしろ義務ではないですか。そのどこかいけないのかしら。

それを中村先生が否定されたのであれば、それは齟齬ではなく、そうしてもらうことが、神保さんの質問のもともとの目的だったのではないですか。

これはジャーナリズムの基本だと思いますが。

齟齬感と言うならば、私はむしろ、中村先生のネオニコチノイドについての歯切れの悪さに齟齬感を覚えました。本当はネオニコチノイドがもっと大きな問題であると言いたいのに、はっきりとそうは言いにくい理由でもあるのかと、少し心配になりました。

まぐさんの指摘の方向性に、やや違和感を覚える次第です。(ところで、2ちゃんのそのスレに専門家が多く集まっているというのは、何を根拠にそう判断されているのですか。)

あき | 2009年07月17日 15:57

神保さんと中村教授の話の齟齬感が気になり、ネットで調べ、以下を読んで氷解した。
http://nouyaku.net/cgi-bin/test/read.cgi/bbs/1236526778/
ミツバチの話題

どうも神保さんは以下のトンデモ本に影響されているようだ。

悪魔の新・農薬「ネオニコチノイド」
ミツバチの消えた沈黙の夏
環境ジャーナリスト
船瀬 俊介 著

掲示板には農薬関連の専門家や農業者が参加して、妥当性の高い論議がされているので一読を薦める。
船瀬批判(11,12,13,14,19,36,37,42,44のコメント)
岩手の養蜂家トラブルに関して
(93,106,107,108,110,113,114,154,156)
大量死の問題ではガーディアン誌のベンジャミンが書いた「A world without bees」の評価が高い。
(199、200)

また面白いのは、西洋ミツバチは人為的に育成されたため、ダニに対する耐性がない。それで巣箱にダニ剤の散布が必要になる。蜂に安全な農薬は高いため、安い農薬を使用して蜂を弱体化させていること。(222,225,226)

また、例えばアメリカのアーモンド畑では短期の完全受粉を目指すため、蜂箱を密集して置いている。この結果、蜂間の競争が激化して蜂に高いストレスを与えている。「蜂の蟹工船」は笑えぬ皮肉だ。(264)

それにしても神保氏の問題のある主張を中村教授が中和するという形で、結果的にはまあ妥当なレベルになった。
これが今回の評価。

まぐ | 2009年07月17日 00:26

民主党鳩山代表が、持ち込ませずを改めて「非核2原則」を提唱しだした。

対米従属から対米中立を目指すのだから当然でしょう。

対米従属に支えられた「平和主義」の存続を目指す社民党が、これに反対するのは当然。

さて今の日本人の民度で、非核2原則はどう評価されるか。。。

医学生 | 2009年07月16日 20:38

マル激でミツバチ??
って感じで見始めましたけど、実際なかなか面白かったです。
ミツバチってテーマ一つで色んな話があるんだなあ、と。

しかし、この回以上に宮台さんの口から
「テレビで見ました」
って発言を聞く事は無いでしょうねw

視聴者00 | 2009年07月15日 23:22

この方向性(自然科学という意味ではない)を期待します。あとはかぴばらさんが書かれている事以外何も言うことありません。

共産趣味 | 2009年07月14日 21:50

自分の拙い煽りの様なコメントに、ご丁寧に反応して頂きまして、すみません。

>stigmac
もうちょっと英語を勉強します。。

>無記名
おっしゃる通りですが、平時は、大学レベルの(文系のレベルは良く分かりませんが)お話を、前提や常識の上に語りまくっているのに、地上波も含め、理系の話になると、なぜ、お粥のような歯ごたえの無い軟らかい話ばかりなのでしょう。数式の1つも出てこない、定性的な話ばかりです。突っ込みも、相手の専門性に怖じ気づいて、おっかなびっくりな感じを受けます。うなづいて納得しているだけでは、意味が無いのでは。まともな議論をするには、勉強が大幅に足りていない印象を受けます。

番組自体は、善良で、良質でしたが、ややつまらなさを感じないでもありません。
しかし、中村先生の素晴らしさは、随所に感じられ、もっと詳しいお話を伺いたいと思いました。
どなたか書かれていましたが、福岡先生の回は頂けなかったと思いますし、並列で並べられるのもどうかと思います。
(文系の方が、あれが理系の標準だと誤解される恐れがあります。)

uhe@理系 | 2009年07月14日 17:30

皆様と同じく楽しませていただきました。
確かに神保さんが「ミツバチやります!」と気合が入っていた訳がわかりました。

日本ミツバチの蜂玉の動画です。
感動しますよ
http://www.youtube.com/watch?v=LLWZHg_TjA0&hl=ja

西洋ミツバチはスズメバチに食い散らかされている動画もありました。

ついに政権交代か?という状況になりましたのでしばらく政治的なネタが続くのかもしれませんが、こんなネタもまたお願いします。

神保さん、宮台さん、これからもがんばってください!

mitt | 2009年07月14日 15:56

大変に好奇心そそがれました。教科書、図鑑またはETVなどとは別物です! 神保氏のうまい要約がよかったですねぇ−またネイチャー企画物やってください

ローリー | 2009年07月14日 11:11

神保さんが妙に力を込めて
「次回はミツバチやります!」とおっしゃっていた意味が分かりました。ミツバチの生体や社会性がたいへん面白くて、特に後半は釘付けでした。

ミツバチが減っていると聞いていたのでイチゴの出来が心配していたのですが、今年は去年よりたくさん実りました。最近は林業が立ち行かなくなって周辺の山(こちら秩父にほど近い山間部です)は荒れ放題なのですが、ミツバチには住み良い『森』になっているのかもしれませんね。もしかしたら。

Kyoちゃん | 2009年07月13日 22:14

私は沖縄出身なのですが、おそらく沖縄は野生化した西洋ミツバチが多くいるのではないかと思います。

夏になると庭の花にいくらでも西洋ミツバチがやってきますし、学校の帰り道でも雑草の花に多くの西洋ミツバチがいます。

自分が知る範囲では、近隣に養蜂家もいないので。

チェン | 2009年07月13日 14:24

蜂たちは全員姉妹だから多様性のない社会なのでしょうか。社会と呼べるかどうかも微妙ですね。全員血縁で女王と3/4以上遺伝子を共有しているわけですから。
人間社会に結び付けて考えるのは難しそうに思います。

匿各 | 2009年07月13日 14:21

 ウン! とても良かった。

 半分くらいは既知の事柄だったけど、なんか良質のナスジオや
ディスチャンの番組を見た様な知的興奮を覚えました。

 この先生も良いねえ、変な気負いもなく、ミツバチの視点をサラリと語る、シビレますねえ。

 もう少し、ミツバチの映像が見易く、量も多い方が良かったように思う

junk-salvage | 2009年07月13日 13:07

神保さん制作のドキュメンタリー映画のテーマは「食の連鎖」なのでしょうか。
楽しみにしています。

dd | 2009年07月13日 02:30

悪い意味ではなく、娯楽番組的に楽しく視聴できた。ツッコミどころ満載のミツバチの神秘の生態に、神保氏のツッコミ力がいかんなく発揮されたようだ。一番楽しめたのは神保氏のようだ。この番組もミツバチの生態のような、絶妙なバランスで出来ていると思う。☆3つです。

35歳 無職 | 2009年07月12日 23:54

uhe@理系さん

>前半は、うんうん、そうだろうな、それでどうなるの、って感じで、後半は、大体、高校までには習う内容でしたね。

自分には常識でも、人にはそうではないと言うことですよ。
教科書の内容も、時代によって違いますからね。

無記名 | 2009年07月12日 23:43

わたくしとしては、ミツバチや他の生物の立場で考えるという視点は大事だなぁと思いました。それによって、別のアングルを得ることが出来ますから。

もちろん、他の生物の立場で「考えることは可能」だという意味ではないです。できるだけ他の生物の立場で「考えようとする」という意味です。絶対的他者性の存在は共感能力の無意味性を意味しないって話と同じです。

ニシ | 2009年07月12日 22:09

>uhe@理系さん

そういうの「科学についてのリテラシー」とは言いません。単に「科学についての知識と情報」でしょう。まあ、文系リテラシーの問題ですが……

久しぶりのマル激ならではという内容で面白かったじゃん。

stigmac | 2009年07月12日 22:03

今回の人選は素晴らしく好感が待てました。マル激(特に神保さん)は、自然科学に弱い印象が強いので、以降同様な、あるいは、もっと深い取り組みに期待しています。対人と対自然の空間深度の差を感じました。

toto | 2009年07月12日 20:28

ミツバチと人間が、それぞれ最高度に発展した社会性をもっている種というのが興味深いです。ミツバチは花と助け合いの関係を作るのに成功したけれど、人間は・・・。それから、野菜・果物の生産にミツバチが消耗品として使われているとは知りませんでした。ベジタリアンも、動物の酷使に無関係とは言えませんね。

ところで米に付くカメムシをネットで調べました。町で見かける、親指の爪くらいあるやつではないですね。幅1mm位の小さなものでした。

それにしても、身近な食べ物について、生産・流通過程をほとんど知らないことに気が付きました。これからは気にしていこうと思います。添加物については、すでにチェックを厳しくしています!

かんぽ | 2009年07月12日 20:13

今回はとてもよかったです。
福岡某のように、変な世界観に入り込まず、自然に入り込み、そこの声を誠実に聞く姿勢。
科学者として信頼できる先生でした。

山内先生以来の、まともな生物学者の登場でよかったです。

生物教師 | 2009年07月12日 18:58

 ゲストが一線の研究者で、心配していた内容ではなかったです。神保さんの取材動機はやはり農薬悪人説だったようで、懸念した甲斐はあったようですが、最終的には良かったです。やはりゲストの人選は大事ですね。僕にとっては驚くほど新しいことはなかったですが、丸激にしては珍しい良質な科学啓蒙の番組になっていたと思います。
 細かいことを指摘すると、農薬の話をするのなら、以前の農薬と比べて、経済効果、環境への影響、などいろんな面で総合的に論じる必要があります。以前のものは使用量も多く毒性も高く、番組で指摘されたように、問題が少なかったのではなく運用方がこなれていただけという可能性があります。DNA鑑定の話でも同じなのですが、特定の問題だけを狭い範囲だけでピックアップすると、新しい技術のバッシングになりがちになってしまいます。
 もう一つ、ミツバチから見た視点というのはゲストの方はミツバチに対する愛情からの発言なので、見方を広げるという意味では否定はしませんが、人間がミツバチや他の生物の立場になれると思うのは少し違うかなと思います。宮台さんの環境と言っても保全したものも含めて人為的なものしかないという立場に立つ方が生産的だと思います。
 

かぴばら | 2009年07月12日 15:12

解約しようかな、
って思ってたけど・・・

やめました( ^ω^)

ねこ | 2009年07月12日 15:11

大変勉強になりました。。高校の時、生物の授業で習った限りでは、蜂の活動って、もっと正確で完全に統率のとれたものだという認識でした。別の言い方をすると、偶然性は全く介在せず、必然性だけで回っているものだという認識でした。。

しかし、例えば、女王蜂が同時に数匹生まれてしまったり、八の字ダンスにも誤差が生じたりするんですね。
とはいっても、その誤差を「平均値」という方法で修正したり、女王蜂も、結局は一匹に絞り込まれたり、そうやって、偶然的なミスを偶然的に修正して、結局は全体が統制され、うまく回っているんですね。

偶然と偶然との「ぶつかりあい」の中から、必然性=調和が生み出される。。。

つまるところ、これが「動的平衡」というやつなんだと。より理解が深まりました!
やはり研究者の生の話を聞くということは大切なことだと思いました。

| 2009年07月12日 13:54

日本記者クラブの鳩山代表の会見はフリーさんお断りだったんでしょうか?
ノーカット動画が見れるとありがたいんですけど・・・
やはり会見オープンを表明する鳩山代表の会見でも記者クラブ主催だとフリーは門前払いなんでしょうか。

匿各 | 2009年07月12日 10:58

前半は、うんうん、そうだろうな、それでどうなるの、って感じで、後半は、大体、高校までには習う内容でしたね。
というか、こんな内容がコンテンツになりうるとは、びっくりです。
もっと、社会学に引きつけた議論があるかと思えばそれも無し。
世間的に、こんなに科学についてのリテラシーが低いのかと思いました。

uhe@理系 | 2009年07月12日 10:48

足るを知る日本蜜蜂ってエコ時代の生き方を示唆しているようで感心しました。

zaru | 2009年07月12日 09:02

ハチのことぜんぜん知らなかったので考えさせられました。ミツバチかわいい。

匿名 | 2009年07月12日 07:20

神経球が針をグイグイ動かして皮膚内部に食い込ませる極悪システムにシビれました。
流しながら寝ようと思ってましたが、面白くて一気に全部見てしまいました!

ウール | 2009年07月12日 06:15

う〜ん。面白かったです。
ハチの敏感さと人間の鈍感さ。
まさに「ミツバチが知っていて人間が知らないこと」ですね。

神保さんが子どものように興味津々で質問されているのも見ていて楽しかったです(宮台先生はオタク話のとき活き活きされてますね)。
こういう回は個人的には好きです。

z-si | 2009年07月12日 03:41

すごく面白かったです。食糧生産はもうエコとか自然とは切り離して考える対象なんだなと思いました。「人以前には山火事でもなければお目にかかれなかった”火”を今人間がガスコンロでコントロールしてる」というようなレベルで、生き延びるために豚牛蜂米をコントロールしなきゃいかん、ということだと思います。

リクエストです。

エコの話ですが、生態系を含めたいわゆる”自然”というのはもともとカオスで、例えば何億年も生きながらえて適応してきた種が絶滅してしまうような大災害があったり、端的に惑星自体やその属する系が生存不可能な環境に変化したりと、人間の視点から見れば無茶苦茶なことが普通に起きるのが”リアル”なんだと思います。ハルマゲドン的な意味じゃなく、スピリチュアルな意味でもなく、ある熱量が偶然今自分という形につなぎとめられていること(宮台さんは奇跡と言っていました)という事実性と、自分らの日常の問題(政治だったり経済だったり)とのギャップがあるように感じます。そのギャップを埋めるユニバーサルなフレームを持てない限り、そこから派生する問題、例えばレイシズムでもジェンダーでも民主主義でも貧困でもエコでも選挙でも、それを語るそばから取りこぼしています。社会と世界のつじつまが合わせるとか、もしくはつじつまなんかあわねーんだよとか、そういうことを語るゲストの番組が見てみたいです。

akira | 2009年07月12日 01:47

お米の等級の話がおもしろかったです。
JAが悪いのか農水省が悪いのか・・・。
この手の食料の話は、また別の機会にぜひにやってください。

おっちゃん | 2009年07月11日 23:54

最新の回だけ背景がクリーム色なのは、目立つようにということだと思うのですが、逆にちょっと見にくいかもしれないです。
慣れてないだけですかね。

ビデオニュースがあれば新聞なんていらない | 2009年07月11日 21:07
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