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2017年9月14日
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今こそ科学者が社会的責任を果たさなければならない時だ

安斎育郎氏(立命館大学名誉教授)
マル激トーク・オン・ディマンド・プラス 第4回(2017年9月14日)

 2011年の福島第一原発の事故は科学技術に対する過信に警鐘を鳴らす契機となった。また、現在日本学術会議などで、科学者が防衛省の研究を請け負うことで間接的にせよ軍事研究に参画することの是非が盛んに議論されているのは周知のところだ。

 科学者は自身の専門分野に閉じこもるのではなく、より大きな社会的責任を果たさなければならないとの認識はようやく広がり始めているようだが、その果たし方についてはまだ議論が始まったばかりだ。

 そうした中、独自の方法で社会的責任を果たそうとしている科学者がいる。放射線防護学の専門家で立命館大学名誉教授の安斎育郎氏だ。

 安斎氏は原発事故直後から、福島県の民家やその周辺の空間線量を測定し、部分的に放射線量が高くなっている場所の除染方法のアドバイスをしたり、事故以降、給食に使用する野菜を放射能測定器で計測し続けている保育所からいつまで続けるべきか相談に乗るなどの活動を今も続けている。この「福島プロジェクト」をボランティアで続けることで住民の不安に応えることが、放射線防護学専門の科学者としての安斎氏なりの社会的な責任の取り方だ。

 安斎氏はこの活動を通じて学問的に裏付けのある客観的な情報を伝えることで、福島の住民自身が「事態を侮らず過度に恐れず理性的に」判断を下す一助となることを目指しているという。

 東大工学部原子力工学科の第一期生として、当時最先端の夢のエネルギーだった原子力工学を志した安斎氏だったが、研究を進めるうちに原子力の技術の危険性に目覚め、放射線防護学の分野を選んだという。しかし、国ぐるみで原発政策が推進される中、1972年の日本学術会議で、原発の安全基準の問題点を指摘する講演を行ったことで、安斎氏は反国家的との烙印を押され、研究者としては厳しい道を進むことを余儀なくされる。

 その後も原発立地自治体の住民たちと話し合う中で、単なる放射線の安全性の問題を超えた、立地自治体に暮らす個々人が抱える悩みや疑問についても触れる機会を得たという安斎氏は、科学者は自分の専門分野だけにとらわれていてはならないと考えるようになったと語る。

 放射線防護の専門家であると同時に、科学研究のあり方全体について考察を続けてきた安斎氏にジャーナリストの迫田朋子が聞いた。

 
安斎 育郎(あんざい いくろう)
立命館大学名誉教授
1940年東京都生まれ。64年 東京大学工学部原子力工学科卒業。69年同大学大学院工学系研究科原子力工学専門課程博士課程修了。工学博士。東大医学部・放射線健康管理学教室助手、立命館大学経済学部教授、国際関係学部教授などを歴任。著書に『福島原発事故』、『原発と環境』など。

 

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