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2018年3月23日
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強制不妊手術の被害者を救済しなければならない

新里宏二氏(弁護士)
マル激トーク・オン・ディマンド・プラス 第5回(2018年3月23日)

 1996年まで存続していた優生保護法のもとで、こどもを持つ権利を本人の同意なしに奪われ、心身に傷を負った宮城県の被害者が今年1月、国に対して損害賠償請求を起こしたことをきっかけに、同様の動きが全国各地に広がっている。国の統計では、1万6,000人あまりが強制不妊手術を受けており、うち7割は女性とされる。

 旧優生保護法は1948年に議員立法でつくられた法律で、その第1条には「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的とすることが明記されている。別表には遺伝性とされる疾病や障害の名前が列挙され、「その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるとき」は、本人の同意がないまま都道府県優生保護審査会の審査によって行うこととされていた。

 しかし、1996年の法律改正から提訴まで、なぜ20年もの時間を要したのか。これまでも被害を訴える女性はいたが、提訴のために必要となる証拠が入手できていなかった。

 数年前に被害者女性から相談を受け、酷い人権侵害があったことを知った弁護士の新里宏二氏は、直ちに救済に向けて動き出した。2015年に日弁連に人権救済の申立てを行い、日弁連は2017年2月、「補償等の適切な措置を求める」意見書を提出したが、国は「法律のもとで合法的に行われた」とする立場を崩そうとしなかった。しかし、この動きを知った別の被害者が、宮城県への情報公開示請求によって優生手術が行われた証拠を獲得し、今年1月の提訴につながったのだった。

 情報公開によって明らかになった優生手術の実態は驚くべきものだった。その被害女性の優生手術の理由は「遺伝性精神薄弱」となっていたが、実際はその女性の障害は1歳のときに受けた手術の際の麻酔事故によるもので、遺伝とは無関係だった。旧優生保護法はそれ自体が、個人の尊厳や自己決定権を踏みにじるものだが、その運用もかなり杜撰なものだった。

 現実には、1万6,000人余りとされる都道府県の優生審査会を経て行われた強制不妊手術のほかに、本人が同意したとされる不妊手術にも実質的には強制的に行われたもの、さらに、子宮摘出手術など優生保護法の範囲さえ逸脱した本人の意思に基づかない手術が数多くあったものと考えられ、その詳細はまだわかっていない。

 新里氏は、まずきちんとした調査が必要だと訴える。現在、各都道府県が調査を始めているが、自治体によって温度差があり国が率先して行うことが求められている。

 優生保護法は1996年に母体保護法に改正されたが、その経緯のなかで、旧法のもとで被害を受けた人たちへの謝罪もなく、その違法性が総括されることなく今に至っている。多くの障害ある人たちの命を奪った2年前の相模原事件は、社会のなかにいまだに優生思想が根強く残っていることを露わにした。だからこそ、今、きちんとした謝罪と救済が必要だと新里氏は語る。

 旧優生保護法弁護団団長の新里宏二氏に、何が問題だったのか、今、やるべきことは何かなどを、ジャーナリストの迫田朋子が聞いた。

新里 宏二(にいさと こうじ)
弁護士
1952年岩手県生まれ。75年中央大学法学部法律学科卒業。80年司法試験合格。83年弁護士登録。86年新里・鈴木法律事務所を設立。専門は借金・多重債務問題、消費者被害。強制不妊手術国家賠償請求訴訟(仙台地裁)弁護団長。共著に『武富士の闇を暴く』、『多重債務被害救済の実務』など。

 

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