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マル激トーク・オン・ディマンド 第25巻(第251〜260回収録)詳細
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収録日 2006年1月20日(PART1:1時間8分 PART2:56分)
麻原彰晃裁判の異常事態が問うもの
ゲスト 松井武弁護士(松本智津夫被告弁護人)

オウム真理教教祖の麻原彰晃こと松本智津夫被告の裁判がのっぴきならない状況を迎えている。一審判決から2年、弁護団は一度も被告と意思の疎通を図ることができていないというのだ。そのため一審に対する控訴趣意書が作成できず、このままでは控訴が棄却され、一審の死刑がいつ確定してもおかしくない状況にある。
  松本被告は2004年の2月に一審で死刑判決を受けた。しかし、弁護団が控訴し、松本被告は半年以内に控訴趣意書の提出を求められていた。しかし、控訴審から弁護を担当することになった松井武弁護士は、2年間、松本被告とは一切意思の疎通がでないため、控訴趣意書を作成することは不可能と断言する。
  松井氏によると、一審判決の後およそ半年間、被告とは一度も接見することもできず、ようやく接見ができるようになった2004年の夏以降も、松本被告は接見の場に車椅子でつれて来られてはいるが、明らかに心身の喪失状態にあり、全く弁護人と意思の疎通はできていない。今の松本被告には、とてもではないが訴訟能力があるとは言えないと松井弁護士は言うのだ。
  ところが東京高裁はここまで、弁護人の主張に全く耳を貸さず、医師の鑑定の必要すら認めようとしない。高裁は控訴趣意書の提出期限を延長はしたものの、当初の予定通り裁判を進めると強く主張している。提出期限もすでに過ぎているという。
  多くの犠牲者を出し社会を震撼させた一連の大事件の首謀者として、松本被告の責任を明らかにすることは、被害者や関係者のみならず、社会全体にとっても非常に重要な意味を持っている。しかし、その一方で、明らかに訴訟能力を有さない被告を刑に処することに、どのような意味があるのだろうか。控訴趣意書さえも作成できないほど重篤な健康状態にある被告を、医療鑑定も行わないまま死刑に処することに問題はないのか。裁判所はなぜ医療鑑定を拒み、この問題を早期に判決まで持ち込もうとしているのか。一方で、被告の病気が実は仮病である可能性はないのか。また、死刑となる可能性が非常に高い被告に、医療的措置を施す意味とは何なのか。 松本被告の弁護人をつとめ、被告と170回以上に及ぶ接見を行ってきたにもかかわらず、被告とは一度たりと意思の疎通を図ることはできなかったと主張する松井弁護士とともに、この裁判における適正なデュープロセスとは何なのかを考えた。
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収録日 2006年1月28日(1時間31分)
ライブドア事件が問う 「日本は本当にアメリカ型の市場システムでいいのか?!」

ゲスト 上村達男氏(早稲田大学法学部教授)

ライブドア事件では、株式分割や投資事業組合などを使った複雑な錬金スキームが明らかになるにつれ、買収を繰り返す中で急成長してきたIT企業の裏の顔が次第に明かになりつつある。
  しかし、早稲田大学の上村教授は、今回の事件はライブドアという一企業の問題ではなく、日本の証券市場の監視体制の問題点が顕在化したケースと説く。アメリカ式の原則自由の市場制度を導入した以上、本来日本はアメリカ並の厳しい市場監視システムを同時に整備しなければならなかった。しかし、自由化推進の掛け声や景気回復を求める声に押され、日本では規制緩和ばかりが先行し、市場の監視システムがこれに追いついてこなかった。今回の事件は規制緩和ばかりを優先させたことの当然の帰結だったというのだ。
  実際日本の市場監視システムはアメリカの足元にも及ばないほど甘い。アメリカではSEC(証券取引委員会)が、盗聴やおとり捜査などの強大な捜査権限に加え、やましい行為の一切合切を許さない包括規定などが整備され、市場の公正さを乱す行為に対しては極度に厳しい措置が取られる。原則自由にはそのような強大な監視システムが前提となるが、日本ではその点が余りにも未整備だというのだ。
  また、そもそも日本がそのようなアメリカ式の市場制度に既に舵を切っていることを、私たち日本人の多くがどれほど認識しているかについても疑問が残る。ヨーロッパでは市場の節度を重んじる立場から、アメリカとは一線を画し、一定の規制を残す道を選択しているが、果たして日本は意識的にアメリカ式を選択したのだろうか。
  アメリカのような弱肉強食文化の伝統を持たない日本に、アメリカ型の市場システムは本当に根付くのか。他にどのような選択肢があるのか。上村教授とともに、ライブドア事件が明らかにした、日本の証券市場の現状と今度の課題を考えた。
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収録日 2006年2月3日(PART1:1時間2分 PART2:33分)
なぜ特捜なのか。 なぜライブドアなのか
ゲスト 堀田力氏(弁護士、元東京地検特捜部検事)

政治がらみの疑獄事件の追及で名を馳せてきた特捜部が、ライブドアを電撃的捜査の標的に選んだことが、さまざまな憶測を呼んでいる。知名度こそ抜群だったとはいえ、所詮は新興の中小企業に過ぎないライブドアを、ある意味では形式犯罪とも言える粉飾決算や偽計取引の容疑で特捜が乗り出すことに対しては、違和感を覚える人が少なくないからだ。
  政治家や暴力団の関与の可能性を取り沙汰する声がある一方で、「目標時価総額世界一」を公言するライブドアを行き過ぎた新自由主義シンボルと位置づけ、拝金主義的風潮への戒めに特捜が乗り出したなどとまことしやかに語る評者もいる。
  しかし、かつて特捜検事としてロッキード事件を捜査した経験を持つ堀田氏は、今回の捜査に検察の恣意性はないとの見方を示す。特捜部内には汚職を専門に扱う特殊班とは別にもともと経済部があり、これまでにも今回と類似した事案を捜査対象としてきているという理由からだ。
  それでは、特捜検察の暴走を懸念する声は杞憂に過ぎないのか。
  取材に応じたジャーナリストの魚住昭氏は、今回の検察により強制捜査が世論の要請を受けたものではなかった点に警戒が必要だと警鐘を鳴らす。向かうところ敵無しの感が強い検察に、自ら政治的な判断を下すことを許すのは危険だというのだ。
  確かに、刑事裁判の有罪率が99%と先進国で突出して高い日本では、検察による逮捕は有罪と同意語になっている。メディアは一斉に犯罪者扱いを始め、裁判も始まらないうちから既決囚と同じ矯正施設で厳しい環境の下に置かれる。逮捕と同時に事実上の服役が始まっている言っても過言ではない。
  しかし、堀田氏はそのような制度も、検察の高い使命感や正義感に支えられ、全体としてはバランスの取れた制度になっていると主張する。
  なぜ検察はライブドアを標的にしたのか。なぜ特捜でなければならなかったのか。検察に対するチェック機能はどこが果たすべきで、そのチェック機能は働いているのか。堀田氏とともに法文化の観点から検察のあり方を改めて考えた。
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収録日 2006年2月11日(PART1:49分 PART2:39分)
耐震偽装の深層 安全な建物とは何なのか
ゲスト 多田英之氏(日本免震研究センター代表、 一級建築士)

耐震強度偽装問題は、ここにきて姉歯建築士が構造計算をした建物以外にも偽装が及んでいた可能性が取り沙汰され、問題は更に広がる様相を呈している。地震国の日本にとって耐震偽装問題は、住まいの安全性の根本を揺るがる問題だけに、その深刻さはとどまるところを知らない。
  しかし、一級建築士として50年以上の経験を誇る多田氏は、そもそも建物の地震に対する強度を耐震強度という画一的な尺度で測ること自体に無理があったと主張する。地震が建物に与える影響は複雑であり、また、そのようないい加減な基準に正当性を与えている建築基準法そのものに問題があると言うのだ。
  建物の真の耐震性などというものは、実際に地震が起きてみなければ分からない性格を多分に含んでいる。にもかかわらず行政は、建築基準法に基づく全国一律な基準を課すことで、その権限を膨張させてきた。今回の偽装問題は、耐震強度という概念の限界を露呈すると同時に、行政にそれを担保する基本的な能力が欠けていることを明らかにしたと、多田氏は指摘する。
  しかし、もしそうだとすると建物の安全性はどのように担保されるべきものなのか。我々はどうすれば安全な家を見分けることができるのか。耐震に代わる基準は無いのか。日本きっての免震の権威でもある多田氏とともに、耐震偽装問題の本質について考えた。
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収録日 2006年2月12日 (PART1:1時間7分 PART2:52分)
マル激トーク・オン・ディマンド 『ネット社会の未来像』出版記念特別番組
サイバー社会の人間学


マル激の著作としては第三弾となる『ネット社会の未来像』の出版とマル激第250回放送を記念した特別番組として、2月12日に池袋西武リブロで行われた宮台・神保両氏による公開トークイベントを一挙ノーカット放送。  ライブドア問題からBSE、耐震偽装問題、女系天皇問題、そして検索エンジンの検閲問題に至るまで、過去半年分のゲストを交えての争点を今日はゲスト無しで2人が一刀両断する。
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収録日 2006年2月23日 (PART1:1時間21分 PART2:48分)
日米偽装同盟はここから始まった
ゲスト 西山太吉氏(元毎日新聞記者)

1972年の沖縄返還の際、返還される米軍施設の原状回復費をめぐり、両国の合意文書では米側が負担するとなっていながら、実は日本政府が負担するとの 密約が存在していたことが、25年ぶりに公開された米国の公文書によって明ら かになった。
  当時その密約の存在をすっぱ抜きながら、機密文書の入手方法が法に触れると して有罪判決を受け、筆を置いた伝説のジャーナリストが、元毎日新聞外務省担 当キャップの西山太吉氏だ。30年間この問題を封印し続けてきた西山氏が、米国での公文書公開を機に、事件について重い口を開いた。米国の公文書で氏の報道が正しかったことが証明された今も、まだ日本政府が密約の存在を否定してい ることが許せなかったからだ。
  実際、西山事件には、昨今取り沙汰される「国家の罠」の匂いもプンプンする 。裁判の方向性を「政府による詐欺事件」から「女性スキャンダル」に変質させ た最大の要因は、検察による巧みな情報操作だった。当初は言論弾圧事件として メディアは政府と戦う姿勢を見せていたが、公判で検察が西山氏が外務省の女性 職員に「密かに情を通じて秘密文書を持ち出させた」と起訴状に記したため、こ の問題は一気に週刊誌やワイドショーの格好のネタとなり、当初西山氏を擁護し ていたメディア各社も腰が引けてしまったという。
  「検察は政府の意向を受けて、意図的にこの国家犯罪を女性スキャンダルに塗 り替え、メディアもその流れに乗った。これは国家とメディアが手を携えて隠蔽 した国家犯罪以外の何物でもない」と西山氏は怒りを露わにする。そして、西山氏はついに政府を相手取り、名誉毀損を求めた損害賠償の提訴に踏み切った。
  西山氏が、「現在のアピアランス(見せかけ)だけの日米同盟の端緒が、あ の密約にあったと」指摘する沖縄密約とは何だったのか。それが現在の沖縄や日 米関係にどう影響しているのか、そしてなぜあの時日本は密約事件の報道を正当 に扱えなかったのか。公判出席のために上京中の西山氏とともに考えた。
マル激トーク・オン・ディマンド(第257回) >>電子書店パピレスで映像版を購入>>OnGenで音声版を購入
収録日 2006年3月3日 (PART1:1時間20分 PART2:1時間37分)
なぜ日本は拒否できないのか
ゲスト 関岡英之氏(ノンフィクション作家)

建築基準法、独占禁止法、会社法に商法に証券取引法、そして国際会計基準の導入と郵政民営化。いずれも過去10年の間に日本が行ってきた大改革だ。こうした一連の制度改革によって、日本は国の形が大きく変質したと言っていいだろう。しかし、これらの改革のほとんど全てが、実はアメリカ政府が毎年日本に提出している構造改革要望書に記されているものばかりであるという事実を、我々はどう受け止めるべきなのだろうか。
  『拒否できない日本』の著者関岡英之氏は、日本の主要な改革の背後にはことごとくアメリカの意向が働いていると指摘する。そして、アメリカ政府や政府に圧力をかける業界団体は、その事実を公文書やウェッブサイトなどで堂々と公表しているという。
  しかし、アメリカ政府が自分たちにとって都合のいい制度変更を求めること自体は、本来それほど不思議なことではない。問題はなぜ日本がアメリカの要求をことごとく受け入れてしまっているのかだ。
  確かにアメリカの求める改革の中には、より大きな自由や透明度を求めるものも多く、一定の普遍性を持つため、反論しにくい面はある。しかし、その背後にある「小さな政府」や「自由競争至上主義」などの思想は、アングロサクソン固有の特殊な価値に他ならない。それが日本人を幸せにできると考える根拠はどこにも無いと関岡氏は指摘する。
  外圧を利用して国内で優位な立場に立とうとする役人や経済人、学者などはこれまでも時代の節目節目に登場してきた。しかし、現在日本が進めている改革は価値観やライフスタイルの本質的な変質を日本人に迫るものになりつつあるため、その影響は計り知れない。
  日本はこのままアメリカの意に沿う形で国のあり方を変えていって本当にいいのか。一体誰がその手先となっているのか。なぜわれわれはそれを拒絶できないのか。そして、それを受け入れ続けた時、その影響はわれわれにどのような形ではね返ってくるのか。関岡氏とともに、一連の「改革」の本質とその問題点を考えた。
マル激トーク・オン・ディマンド(第258回) >>電子書店パピレスで映像版を購入>>OnGenで音声版を購入
収録日 2006年3月10日 (PART1:1時間6分 PART2:42分)
どん底民主党に復活のシナリオはあるか
ゲスト 伊藤惇夫氏(政治アナリスト・元民主党事務局長)

先のメール問題は前原民主党に取り返しのつかない深い傷を残した。4点セットをとことん追求するはずだった通常国会も、難なく予算は衆院を通過し、参院の審議でも野党側に勢いはない。
  しかし、それにしてもなぜ最大野党ともあろうものが、あのような初歩的なミスを犯してしまったのか。元民主党事務局長の伊藤惇夫氏は、メール問題で民主党にもともと内在する政党としての基本的な弱点が一気に露呈したと指摘する。
  それは、もともと民主党が自民党のような政党としての研修・教育機能を持たない不完全な政党であることであり、また巷間囁かれる通りの寄せ集め所帯だからでもある。
  しかし、伊藤氏は自民党も、元々議員の修行の場だった派閥が弱体化したことで、今後民主党同様の問題を抱える可能性があると指摘する。  また伊藤氏は、自民党が前原政権を最後まで追い込まなかったことについて、「55年体制の復活を狙っているのではないか」と説く。民主党がかつての社会党のように万年野党の地位に甘んじてくれるのが、自民党にとっては一番好都合であり、そのためには執拗以上に民主党を追い込むべきではないとの判断が働いたのではないかと言うのだ。もしそれが真実だとすると、今回のメール問題も、そして民主党の現状も、もはや一野党の問題にとどまらない、日本の憲政の危機と言って過言ではないだろうか。
  なぜ民主党は肝心な時につまずくのか。民主党に復活のシナリオはあるのか。民主党が弱体化することが日本全体にどのような影響を及ぼすのか。自民、民主両党の裏の裏まで知り尽くした伊藤氏とともに、民主党の処方箋を考えた。
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収録日 2006年3月17日 (PART1:1時間4分 PART2:1時間15分)
もう牛肉を食べても本当に大丈夫か
ゲスト 福岡伸一氏(青山学院大学理工学部化学・生命科学科教授)

米国からの牛肉輸入再開への圧力が強まっている。米政府は背骨の混入は特殊なケースであるとする一方で、現在の日本の安全基準が国際基準と比しても突出して厳しいことを指摘し、早期の輸入再開が実現した後には、輸入基準の緩和を求める姿勢を明確に打ち出している。
  全頭検査と全月齢の牛からのSRM除去を義務づけている現在の日本の安全基準は、はるかに多くの狂牛病(BSE)感染牛を出しているEU基準と比べても遙かに厳しい。しかし、プリオン病発症のメカニズムを研究する福岡伸一氏は、人類はまだ狂牛病の病原体すら特定できていないのが実情で、狂牛病については不明な事だらけであるとした上で、プリオンが病原体でることを前提とする昨今の安全基準緩和論は危険であると説く。
  事実、1990年代に突如として米国のプルシナー博士が提唱したプリオン病原体説は、未だにコッホの病原体の三原則すら満たしておらず、理論的にも飛躍が多い。プリオンはあくまで病原体の足跡であって、病原体そのものではない可能性が排除できないのだ。しかし、プルシナーによってプリオン説を裏付ける状況証拠が続々と提示される一方で、ウイルス説やバクテリア説を裏付ける有力なデータが出てこなかったために、プリオン説があたかも定説であるかのような扱いを受けるに至った。そして、97年にプルシナーがノーベル賞を受賞したことで、プリオン説に異議を唱えること自体がタブー化しているというのが実情なのだ。
  「狂牛病は人類が自然の摂理に反した行為を行った結果生まれた病気であることを、今一度再認識すべきだ。」福岡氏はそう指摘し、狂牛病を抑えることと同時に、なぜそのような病気が発生したのかについて、その根本原因を考える必要性を強調する。
  プリオン説はどの程度説得力があるものなのか、もしプリオンが病原体ではないとすれば、現在の安全対策で安全性は担保できているのか。狂牛病が鳴らしている警鐘とは何なのか。福岡氏とともに考えた。
マル激トーク・オン・ディマンド(第260回) >>電子書店パピレスで映像版を購入>>OnGenで音声版を購入
収録日 2006年3月23日(PART1:1時間1分 PART2:56分)
希望格差社会を生き抜くために
ゲスト 山田昌弘氏 (『希望格差社会』著者・ 東京学芸大学教授)

日本は戦後50年あまりにわたり、常に明るい未来像を抱くことが可能な国だった。常に、親の世代よりも幸せになれる、今よりも将来の方が生活が豊かになるとの楽観的な前提にたって将来を見通すことができたし、実際にそれを実現させてきた。しかし、1990年代後半を境に、将来への展望が開けない時代に突入したと山田氏は指摘する、将来に希望を持つことができず、さまざまなリスクから逃れることができない。そして、努力をしても報われることが期待できないと感じ、現実にそれが報われない人たちが急増しているというのだ。
  実際に、さまざまなデータは、この事実を裏付けている。既に日本は将来の希望を持てる一握りの勝者と、希望が持てない多くの敗者に二極分化した希望格差社会に突入したと、山田氏は説く。
  この現実は、社会がより豊かになれば必ず今よりもっと幸せになれると私たちの多くが信じ込んできた、根源的な価値観を根底から揺るがしている。努力をしても報われないのなら、努力をする人は減る。希望が持てず、リスクばかり背負わされる重圧に耐えきれず、自殺する人も増える。かと思うと、蛸壺的な小さな世界に閉じこもって生きようとする人が増える。
  しかし、これが公共政策や個人の努力では解決できない根深い問題であることが、この問題をより深刻なものにしていると山田氏は指摘する。
  『パラサイトシングル』などの造語の発案でも知られる山田氏とともに、希望格差社会を生き抜くために、政策面で何が可能か、また個人や家族レベルでは何ができるかなどを考えた。
 
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