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マル激トーク・オン・ディマンド 第34巻(第341〜350回収録)詳細
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収録日 2007年10月11日(PART1:48分 PART2:53分)
攻めの民主に死角はないか

ゲスト:福山哲郎氏(参議院議員)

 参院で主導権を握った民主党は、すでに6本の法案と11本の質問主意書を提出し、国政調査権を盾に、政府・自民党への攻勢を強めている。今国会で最大の焦点とみられていたテロ特措法延長問題も、空母キティホークへの給油をめぐる疑惑などが持ち上がり、政府与党はさらに窮地に追い込まれる展開となっている。まさに民主党は絶好調だったが、予算委員会でテロ特措法の審議がまさに始まろうとする直前、民主党の小沢一郎代表が、10月10日発売の月刊誌『世界』に寄稿した論文が、大きな物議を醸している。
 その論文で小沢氏は、民主党が政権をとれば、国連中心主義の立場から、アフガニスタンの治安維持軍に自衛隊を参加させる意思を表明した。小沢氏の主張では、国連決議でオーソライズされた平和活動に参加することは、たとえ武力行使を伴ったとしても憲法に抵触しない、というもの。しかし、この主張が、自衛目的以外の武力行使を排除したこれまでの日本政府の憲法解釈から大きく飛躍したものであることは、誰の目にも明らかだ。
 小沢氏の論文が、テロ特措法の延長に反対するばかりで、対案を出さないとの批判をかわす目的で出されたことは理解できる。しかし、民主党が政権をとれば、国連決議があれば武力行使にも参加するとまで踏み込んだことに対しては、民主党内部からも戸惑いの声が上がっている。民主党有利で進むはずだった今国会も、下手をするとこの論文ひとつで民主党が守勢に立たされる可能性も否定できない。また、党内にさまざまな意見を抱える民主党にとっては、これが分裂の火種になる可能性もある。
 しかし、参院の政策責任者として、政府を追い詰める先頭に立つ民主党の福山哲郎氏は、政権獲得が見えてきたこの時期だからこそ、あえて民主党内部に対して、小沢氏はこの論文を突きつけたのではないかと読み解く。民主党が抱えている矛盾や内部対立、特に安全保障政策での不一致は、民主党が政権についた際には大きな枷になりかねない。あえて今の時期に各議員に「党の方針に従えるかどうか?」を問い、解散総選挙前に覚悟を求めたのではないかと語る。
 実際、小沢氏は10日の記者会見で、論文の内容は党の方針と一致しており、その方針がいやな議員は「離党する以外ない」とまで言いきっている。
 福山氏はまた、小沢論文は、小沢氏が次の選挙に自身の政治生命をすべてかけていることの表れではないかとも言う。40年に及ぶ小沢氏の政治生活の中で、最後に自分が理想とする国家像の実現をあの論文に託したと見ることもできる。
 週明けからはじまる参議院での国会論戦を前に、参院民主党のキーマン福山氏をゲストに、小沢論文の衝撃や民主党の今後の国会運営などを議論した。
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収録日 2007年10月19日(PART1:58分 PART2:49分)
日本のアフガン支援論争のどこがまちがっているのか

ゲスト:伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院地域文化研究科教授)

 テロ特措法の延長期限を今月末に控え、日本のアフガニスタン対テロ戦争支援をめぐる議論が大詰めを迎えている。来週には与党の海上給油に絞った新法の議論が始まる見込みだが、議論は国会承認の有無や石油のイラク戦争への転用の有無ばかりに集中し、どんどん矮小化されているようにさえ見える。
 また、参院で第一党となった民主党も、いったんは小沢代表が政権をとった場合はISAF(国際治安支援部隊)に参加したい意向を明らかにして物議を醸したが、その後、あれは民生分野を念頭に置いたものだったと、明らかなトーンダウンをするなど、混乱を続けている。
 どうやらここまでの議論は米国への忠誠を示し続けたい自民と、比重を徐々に国連に移していきたい小沢民主党の二者択一の枠内で進んでいるようにも見える。
 しかし、これまで幾多の紛争地で国連の治安回復や武装解除に取り組んできた伊勢崎賢治氏は、アフガニスタンの現状を踏まえると、どちらの選択肢も的外れであると一蹴する。理由は、いずれを選択しても、アフガニスタンの安定と戦争終結には結びつかないことが明らかだからだ。
 アフガニスタンの武装解除の実質的な責任者だった伊勢崎氏は、現在のアフガニスタンの最大の問題は、治安の悪化にあると指摘する。アメリカとその有志連合が展開するテロ掃討作戦のOEF(不朽の自由作戦)も、国連決議に基づいて各国が展開するISAF(国際治安支援部隊)やPRT(地方復興チーム)も、タリバン政権崩壊後に行われたSSR(治安分野改革)が崩壊したために、機能不全に陥っているというのだ。
 SSRの目的は、アフガニスタンに警察を作り、国軍を編成させ、司法を機能させ、アフガニスタン人自身に治安を維持させることだった。日本も、SSRの一端を担い、伊勢崎氏を顧問に迎えた外務省のチームが、軍閥の武装解除を行い成功している。しかし、ブッシュ政権の政治的な都合で、警察組織を拙速に立ち上げようとした結果、軍閥がそのまま警察に組み入れられ、警察の皮をかぶったマフィアが跋扈する事態を招いてしまった。この警察のマフィア化問題を解決しなければ、いかなる軍事援助もいたずらに犠牲者を増やすばかりで効果はあがらないというのが伊勢崎氏の主張だ。
 伊勢崎氏はまた、日本にはその分野、つまり非軍事の分野でも、貢献できることが少なくないとも言う。現在アフガニスタンはOEFによる二次被害(一般市民への被害)が広がる中、米軍をはじめとするOEF参加国に対する市民の怨念が蓄積している。しかし、アフガニスタンから遠くの彼方にあるインド洋での無料ガソリンスタンドしかやっていないため、アフガニスタン国内では日本は加害者ではないという「美しい誤解」があると伊勢崎氏は言う。警察の強化や軍閥との交渉など、アフガンでも手を汚していない(と誤解されている)日本だからこそ、貢献できる非軍事部門の活動は多いと伊勢崎氏は指摘する。
 SSR分野で貢献することは、日米同盟の観点からも意味が大きいと伊勢崎氏は主張する。それは今アメリカが一番困っているのがSSRの崩壊問題に他ならず、その分野で日本が貢献することの方が、無料ガソリンスタンドよりはるかにアメリカのみならず、国際社会からも高く評価される活動だとの理由からだ。
 そろそろ日本も自立的に自国の行うべき支援を考える時に来ているのではないかと主張する伊勢崎氏とともに、本質を踏まえない無料ガソリンスタンド論争を排し、真に日本ができる貢献とは何があるかを考えた。
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収録日 2007年10月28日(PART1:50分 PART2:55分)
私がデブをやめた理由

ゲスト:岡田斗司夫氏(作家・評論家)

 今回のマル激は、近著『いつまでもデブと思うなよ』が36万部を突破した、通称「オタキング」こと、作家・岡田斗司夫氏をゲストに迎えた。
 岡田氏は、「オタキング」の名にふさわしい体重100キロを越える巨体がトレードマークだったが、自らが提唱する「レコーディング・ダイエット」により、1年間で約50キロの減量に成功し、現在65キロのスリムな体型を維持している。スタジオに現れた岡田氏は、旧知の仲の宮台真司が「一瞬、誰だかわからなかった」と驚くほど、変貌を遂げていた。
 50キロのダイエットはさぞかし辛い体験と思いきや、岡田氏は、ダイエット自体は決して苦しくはなく、むしろ楽しくワクワクする経験だったと語る。
 岡田氏のダイエットのきっかけは、グルメ本の企画のために、自らの食生活をすべて記録しはじめたことだった。それが次第にカロリーまで詳細に記録するレコーディング・ダイエットへと発展した。いざ1日のカロリーを基礎代謝の1500キロカロリーに抑える段階にきても、詳細に食生活とカロリーを記録することで、自分の食生活を強く意識することができているため、食事制限はそれほど苦しくならない。それがレコーディングダイエットの要諦となる。
 ダイエットを経験して初めてわかった重要なことが、いくつかあると岡田氏は言う。その一つが、「デブは、デブであり続けるために、日々並々ならぬ努力をしている」という意外な事実だった。太っている人は、太るための食生活を日々無意識の内に送っており、マスコミで垂れ流されるグルメ情報や、次々登場する新商品のCM、見栄え優先でカロリー高めの惣菜など、日本の社会構造がそれを支えている。漫然と情報の洪水に浸って抗わないでいると、太らざるを得ないような社会に我々は生きていることに気づかなければならないと、岡田氏は指摘する。
 岡田氏はまた、自分が痩せたことで、周囲の自分に対する扱いが大きく変わるのを目の当たりにして、日本がいかに「見た目主義社会」に変貌しているかを痛感したという。家柄主義、学歴主義、ブランド主義と変遷を続けた日本が、いまや前代未聞の「見た目主義社会」に突入していると、実体験に基づいて指摘する岡田氏の言葉は重い。
 究極の減量法「レコーディング・ダイエット」を入り口に、日本社会が抱えるさまざまな問題と見た目がすべてを決する日本の今、そして見た目主義の次に来るものなどを、深く語り合った。
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収録日 2007年11月04日(PART1:64分 PART2:45分)
教科書検定の正体とは

ゲスト:浪本勝年氏(立正大学心理学部教授)

 教科書検定によって、沖縄戦における集団自決の記述が、あたかも軍の関与が無かったかのように修正された問題は、沖縄県民からの猛烈な抗議の前に、出版社からの自主的な修正という形で収束が図られようとしている。しかし、今年出された検定意見自体は今後も効力を持ち続け、教科書検定のシステム自体も、幾多の問題を抱えることが明らかになったにもかかわらず、そのまま存続されそうな雲行きだ。
 教科書検定問題を長年研究し、教科書検定の違憲性を争った家永教科書裁判にも原告側の証人として出廷している浪本勝年氏は、今回の問題も教科書検定を通じた学校教科書への政治介入の一例に他ならないとして、現在の教科書検定のあり方を厳しく批判する。
 今回は、沖縄県民の怒りの激しさと、たまたま参議院選で与党が大敗し、安倍政権が掲げてきた修正主義史観的な傾向にストップがかかったことにより、結果的に検定の内容が覆されるという異例の展開となった。しかし、現在の検定システムが存続する限り、教科書への政治介入と、文部科学省の恣意的な検定の運用は、今後も日本の公教育を多いに歪め続けることになるだろうと、浪本氏は危惧する。
 今回は、教科書検定の密室性と文科省の恣意的な運用、とりわけ文科省の一役人に過ぎないはずの検定調査官が書いた調査書が、そのまま検定意見となり、識者による審議会がそれをまったく制御できていないという、検定システムの根本的な欠陥が白日の下にさらされた。また、調査官の人事権や採用基準も至って恣意的なため、現在の検定制度のもとでは、特定の歴史観に偏った調査官の意見に沿う形で教科書が修正されてしまう危険性もあることが確認された。
 しかし、にもかかわらず、今のところそのシステムは温存される方向にあるという。今後も、その時々の政治状況によって、検定基準が恣意的に運用されることは避けられないということだ。
 そもそも教科書検定は何のために行われているのか。それは本当に必要なものなのか。他の先進各国では、どのような基準で教科書を採用しているのか。そもそもなぜ文科省は検定を通じて教科書をコントロールしたがるのか。そこにはどのような政治的、イデオロギー的背景があるのか。
 今回明らかになった教科書検定の問題を、いい加減な決着で終わらせないためにも、浪本氏とともに検定制度の実態を検証し、その問題点を徹底的に考えてみた。
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収録日 2007年11月10日(PART1:74分 PART2:52分)
江戸の遺伝子とは何か

ゲスト:徳川恒孝氏(徳川宗家第18代当主)

 グローバル化が進み、日本的なものが失われつつある現在、逆に日本人らしさや、日本の良さを見出し、日本の古きよき伝統を再興しようと言う動きも活発化している。だが、清廉で、公徳心にあふれ、勤勉で、礼儀正しく、自然への感性が高く、きれい好き。「古き良き日本人の美徳」として頭に浮かぶものの多くは、実は江戸の文化にそのルーツを見いだすことができる。にもかかわらず、現在にいたるまで江戸は、明治維新で薩長が徳川幕府を倒して新政府を樹立して以来、十分に正当な評価を得てきたとは言えないのではないだろうか。
 そうした認識の上に立ち、今週は家康公から18代目の徳川宗家当主であり、財団法人徳川記念財団の理事長でもある徳川恒孝氏をゲストに迎え、今も日本人の心に染みついた江戸のDNAとは何なのかを探ってみた。
 渡航経験が豊富な徳川氏は、「江戸」に対しての、日本と海外の評価のギャップに何度も驚かされたと言う。日本では、江戸時代といえば、武士が一切の権力を握った封建制度下で、士農工商の身分差に縛られた自由のない暗黒時代という評価が一般的だ。一方、海外では、265年という世界史上まれな長い平和と繁栄を維持し、次の政府へ平和的禅譲を成し遂げたというユニークな時代として高く評価されている。「日本の発展は明治から」という色眼鏡をかけていない海外の研究者にとっては、パリやロンドンが50万都市だったころに、人口100万人を越える文化都市に発展していた江戸とは、大いなる謎であり、「なぜ、繁栄の基礎を築いた徳川家康公の銅像が東京にはないのか?」とたびたび尋ねられたと徳川氏は語る。
 事実、江戸は、その当時、世界随一の文化都市であり、髪の毛までリサイクルする環境循環型社会であり、全国からあらゆる人とものが集まる物流拠点であったと徳川氏は語る。そして、日本に蔓延する「鎖国政策で世界から孤立」や「思想統制が厳しく、出版業は振るわなかった」、「自然災害の連続で農民は飢えの恐怖に怯えていた」、「各藩の分立で国内の自由な往来は困難」などの江戸時代についての悪いイメージの多くは誤解であると、例を挙げて反証し、江戸の社会の豊かな側面を描き出す。
 では、その繁栄を支えた江戸幕府260年の体制の安定は、なぜ、維持できたのか?
 幕府の巧みな統治システムはもちろんだが、徳川氏は、支配階級の高い倫理感と、町人・農民にまで浸透していた「公儀」という役割分担が、その謎を解く鍵ではないかと指摘する。そして、21世紀の現在を生きる日本人にも、その精神は密かに受け継がれ、「江戸の遺伝子」として残っているというのだ。
 良くも悪くも“日本人らしさ”として語られる江戸のDNAとは何なのかを、徳川氏と議論した。
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収録日 2007年11月18日(PART1:48分 PART2:55分)
なぜ防衛調達は腐敗を繰り返すのか

ゲスト:須田慎一郎氏(ジャーナリスト)

 防衛装備品の調達をめぐり再び腐食の構造が浮き彫りになりつつある。
 防衛専門商社山田洋行の役員から法外な接待を受けていたことが明らかになった守屋武昌前事務次官は、二度目となる今週の国会への証人喚問の席で、自身とともに山田洋行から接待を受けた二人の政治家の名前を明かした。名前をあげられた額賀福志郎財務大臣と久間章生元防衛大臣は即座に疑惑への関わりを否定したが、今後山田洋行を舞台とする贈収賄疑惑は、政治家まで司直の手が及ぶかどうかをめぐる攻防戦になると見られている。
 防衛利権に詳しいジャーナリストの須田慎一郎氏は、今回の山田洋行事件を「初めて検察が、念願だった防衛利権にメスを入れることができるかもしれないケース」として注目する。安全保障を理由にこれまで司直の手が及びにくかった防衛利権だが、今回の疑惑では、山田洋行の内紛が発端にあるため、大量の内部情報が流出している。今度こそ政治家を検挙したいとの特捜部の思いは強いだろうと須田氏は説く。
 確かに1000億円を超える税金が投入されるCX(次期輸送機)の選定をめぐる疑獄事件が、たとえ守屋氏がいかに大物次官と呼ばれたとしても、一介の公務員の権限で動かせるものではない。背後の有力政治家などの大きな力が働いていたと考えるほうが自然だろう。
 しかし、見誤ってはいけないのは、この疑惑の本筋は、単なる装備品の利権をめぐる政治家たちの暗躍ではなく、実際は、沖縄の普天間基地移設や海兵隊のグアム移転をめぐる所謂「沖縄利権」にある点であると、須田氏は注意を喚起する。
 もともと次官候補ではなかった守屋氏を事務次官に引き上げ、普天間の移転を含むさまざまな沖縄利権を経世会から引き剥がす番頭役に仕立てたのは、小泉政権であり小泉首相本人であったと須田氏は解説する。
 今回、守屋氏が名前をあげた二人の政治家は、いずれも旧経世会出身者である。須田氏は、今回の山田洋行事件の背後には沖縄防衛利権があり、守屋氏が槍玉に挙げられている背景には、普天間基地の移転をめぐる沖縄利権における経世会の巻き返しがあるというのが須田氏の見立てだ。もとより経世会の支配下で進められていた海上フロート案が、小泉政権下ではV字滑走路案に変わっている。守屋氏があえて久間、額賀両代議士の名前をあげたのは、「これ以上自分を刺すと、私もいろいろ喋りますよ」という、守屋氏から経世会に対する恫喝だったのではないかと須田氏は言う。
 それにしてもなぜ防衛調達は腐敗を繰り返すのか。チェックする仕組みは考えられないのか。噴出するさまざまな疑惑の中で、何に注目しなければならないかを須田氏とともに考えた。
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収録日 2007年11月24日(PART1:63分 PART2:61分)
動き始めたポスト京都と日本の役割

ゲスト:小西雅子氏(WWF気候変動オフィサー)

 11月17日、スペインのバレンシアで開かれた国連気候変動に関する政府間パネル(以下IPCC)の総会で、第4次統合報告書が承認された。2001年以来となるIPCCのこの報告書は、4000人におよぶ科学者が「地球温暖化」に対して、科学的なデータに基づいて、検討を続けてきた地球温暖化に関する科学的分析の集大成で、今後の各国が政策決定する際の根拠となるものだ。
 今回の報告書では、地球温暖化の原因が人為的なものであることが、ほぼ断定されている。また、予想を超える早いペースで温暖化は進んでおり、このまま対策なしに放置すれば、今後地球全体の平均気温は最大で4度、海面も最大で59センチ上昇するなど、地球温暖化が、人類共通の全地球的な危機であることが、科学的に合意された。
 しかし、日本での反応は鈍い。WWFで地球温暖化の問題を担当する小西雅子氏は、バレンシアでの総会にもオブザーバーとして参加したが、日本政府が今回の報告書をまとめるために果たした貢献の大きさには一定の評価を与えつつ、温暖化を防止するための施策という面では、日本は大きく世界に遅れをとっていると嘆く。
 「シナリオは全て提示された。後は政治が決断して実行に移すだけ」と、小西氏は言う。だが、多くの面で日本は、欧米に大きく遅れをとっている。脱炭素化社会へ向けた取り組みでも、欧米ではこれをビジネスチャンスとして捉えしたたかに準備を進めているが、日本では肝心の産業界が長期的な施策に及び腰なため、政治も動こうとしない。そしてその根底には、環境意識そのものは高まっていても、それが政治的な行動となって現れてこない日本の一般国民の民度の問題も見逃せない。
 12月3日からインドネシアのバリではじまる国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP13)では、IPCCの報告書を根拠にして、京都議定書以降の国際的な枠組みが作られようとしている。ポスト京都では日本に何ができるのか、何をすべきなのか、小西氏とともに考えた。
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収録日 2007年12月02日(PART1:92分 PART2:72分 PART3:41分)
5金スペシャル 史上最強のアイドル論

ゲスト:中森明夫氏(コラムニスト)

 5回目の金曜日がある月はマル激が普段扱わないような異色のテーマを意欲的に取り上げる5金スペシャル。今年4度目にして最後の5金となる今回は、ゲストにコラムニストの中森明夫氏を迎え、かつてなく軟派なテーマ、「アイドル」をマル激なりの流儀でとりあげてみた。
 稀代のアイドル評論家として80年代からアイドルとそれを取り巻くユースカルチャーと深く関わってきた中森氏は、70年代の南沙織から山口百恵、キャンディーズ、ピンクレディー、80年代の松田聖子から、中森明菜、岡田有希子、おにゃん子クラブ、そして、90年代の宮沢りえから小室ファミリーにいたるまで、アイドルたちがその時代時代をリードする様をつぶさに観察してきた。
 その中森氏は「アイドルは時代の反映ではない。時代こそがアイドルを模倣するのだ」を持論とするが、さりとて、その時代時代の政治、経済、社会情勢が、アイドルたちの中に色濃く見て取れる点も鋭く指摘してきた。
 例えば、中森氏が「日本人アイドル第一号」の称号を与えている南沙織のデビューは1971年。オイルショックとドルショックで戦後の日本を引っ張ってきた高度成長神話が壊れる一方で、日本は公害や労働争議、政界汚職など高度成長の陰で進行していたさまざまな問題に喘いでいた。翌年の浅間山荘事件では、左翼イデオロギーの成れの果てがあらわになった年でもあった。この成長神話と左翼イデオロギーの2つの神話が終焉した年に、日本人は沖縄から南の風に乗って颯爽と登場した南沙織という偶像に熱狂せずにはいられなかったと、中森氏は言う。
 もちろん南沙織の前にもアイドルはいた。しかし、そもそも中森氏は、南沙織以前のアイドルは「スター」であってアイドルではないと言う。「日本がまだ貧乏な頃、日本の夜は暗かった。暗い日本の夜空にはスター(星)が必要だった」と、それまでの時代の要請は、歌もうまく演技もできるきら星のようなスターだった。しかし、南沙織以降、日本人は歌がうまいわけでもなく演技ができるわけでもないアイドルという名の偶像を求めるようになったと中森氏は指摘している。
 そして、時代の鏡としてのアイドルの系譜は、70年代後半の低成長時代の混沌の中を駆け抜けた暗い目をした山口百恵、そして空疎に明るいバブル期の松田聖子らへと引き継がれていく。
 しかし、2000年に入り、突如としてアイドルが消える。冷戦が崩壊し、テレビがお茶の間から消え、携帯電話の浸透などによって、生活様式が過度に多様化し蛸壺化、島宇宙化する中、日本人全体を束ねる共通前提が消滅したことが直接の原因だと中森氏は言う。
 また、その一方で中森氏は、2000年代の最大のアイドルは小泉純一郎かもしれないと、アイドル不在の時代に空席となったアイドルの座が政治利用される危険性にも警鐘を鳴らす。
 共通前提が無くなり、多くの日本人が同じものを可愛い、格好いいと思えなくなったアイドル不在の時代とは、一体どういう時代なのか。逆に、ヒラヒラの衣装に身を包んだティーネージャーの、作られた偶像に国中が熱狂するアイドル全盛の時代とは、一体何なのか。そして次はどのような時代がわれわれを待ち受けているのか。
 懐かしいアイドルグッズとともに、70年代から現在までのアイドルの系譜とその時代の深い関係を、元祖「新人類」のカリスマ評論家中森氏ととことん語り合った。
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収録日 2007年12月08日(PART1:60分 PART2:54分)
カネさえ出せば資源が買える時代は終わった?!

ゲスト:柴田明夫氏(丸紅経済研究所所長)

 資源価格が異常な高騰を続けている。原油は11月20日に99ドル29セントと最高値を更新し、金、鉄鉱石、銅、プラチナ、レアメタルなど鉱物資源や、小麦、とうもろこし、大豆など穀物まで、資源価格が軒並み史上最高値を更新する勢いだ。今のところ企業努力とデフレ圧力のおかげで、資源高騰の物価への影響は限定的だが、資源の輸入依存度が高い日本では、今後さらに深刻な影響が出ることは避けられそうにない。
 石油を中心に様々な資源市場の動向を30年以上ウォッチしてきた柴田明夫氏は、こうした一連の資源高騰は一過性の現象ではないとの見方を示し、楽観論に対して警鐘を鳴らす。確かに、巷間指摘されるような、資源市場へのファンドや投機マネーの流入という一面はある。また、核開発疑惑が取りざたされるイランに対する米国の軍事行動の可能性や、不安定なナイジェリアやベネズエラ情勢など産油国周辺の地政学的な不安定要因も価格高騰に一役買っていることはまちがいないだろう。しかし、昨今の資源価格高騰の本質的な要因は、中国やその他の新興工業諸国の急速な経済成長により資源需要が急増したため、需給関係が00年代に入ってから慢性的な供給不足の状態に陥ったことにあると柴田氏は言う。今後もその状況が緩和される可能性が低い以上、資源高が反転する可能性は期待できないというわけだ。
 74年の石油ショック以降、先進国は強力に省エネを推し進めると同時に、中東以外の地域の油田開発にも務めた。また、80年代以降は先進国の経済成長も重工業を中心としたものではなかったため、その後20年あまり石油は供給過剰の状態が続き、原油価格も低迷していた。しかし、原油価格の低迷は、油田開発など新たな設備投資へのインセンティブをも低下させたため、世界の石油生産力も低下し続けた。ところが00年代に入って、中国や他の新興工業国の急激な経済発展が始まり、それに伴う資源需要の急増という事態に、資源は慢性的な供給不足の状態に陥っていると柴田氏は指摘する。
 同様の構造は、石油以外にも鉄鉱石、レアメタル、穀物などにも共通している。中国や他のBRICs諸国など新興工業諸国の経済発展が続く限り、資源の慢性的な供給不足は続くと見られることから、柴田氏は、既に世界は各国が限られた資源を奪い合う「資源争奪戦争」の時代に突入していると言う。
 このような状況に瀕して、既に米国やEC、そして中国は着々と手を打ってきている。しかし、資源貧国の日本は、政府も国民も、金さえ出せば欲しいだけ資源が手に入る幸せな時代が終わりつつあることを、まだ十分に理解できていないのではないかと、柴田氏は懸念を表す。
 最近の資源高騰の背景と日本の選択肢を柴田氏と考えた。
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収録日 2007年12月15日(PART1:84分 PART2:44分 PART3:39分)
なぜネット上の言論を規制するのか

ゲスト:堀部政男氏(一橋大学名誉教授・通信・放送の総合的な法体系に関する研究会座長)

 インターネット上の言論や表現に法的規制がかけられる可能性が、現実のものとなりつつある!  総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」が12月6日に発表した最終報告書に関する報道では、そのような文言がメディアの見出しを飾った。
 実際、同研究会の最終報告書は、現在、10本以上ある、放送と通信に関する法律を「情報通信法」(仮)に一本化し、放送から携帯電話、インターネットにいたる通信と放送全体をプラットフォーム、伝送インフラ、コンテンツの3つの階層に分けた上で、階層ごとに適切な規制を設けることを提言している。そして、階層の最上段に位置するコンテンツについては、影響力に応じた段階的な規制を提唱している。これは、政府によって影響力が大きいとみなされれば、インターネット上のコンテンツでも放送並の規制を受ける可能性があることを意味していると受けとめることが可能だ。総務省はこの報告書をもとに具体的な検討をはじめ、2010年をめどに、法案を国会へ提出する予定だという。
 通信と放送の融合については、新たなIT技術の登場とともに、これまで現状を追認する形で新たな法律が次々と作られるパッチワーク的状況が、1980年代以降続いてきた。しかし、1990年代後半以降のインターネットの普及によって、いよいよ通信と放送の識別が困難になってきた。NHKを含む各地上波放送局がネット上でも動画配信を行うようになる一方で、インターネット上での個人情報の流出やプライバシーの侵害が社会問題となるなど、旧来の電波法と放送法を中心とする法体系の枠組みの中で、消費者や視聴者保護の観点から必要となる規制を実施することが、困難になってきていることは間違いない。
 そうした状況を受けて、今回の報告書では、これまで事業体別に個別に規制されてきた縦割りの法体制を見直し、コンテンツ、伝送インフラ、プラットフォームの3階層ごと横ぐしの法規制を行うとしている。例えば、コンテンツには、地上波テレビ番組、CATVの番組、SNS、2ちゃんねる、個人のブログが一律に含まれるが、これまでインターネットのコンテンツには新聞や出版と同様に、一切規制がなかった。しかし、この提言通りに法制化が進めば、インターネット上のコンテンツも、影響力に応じて「地上波テレビ」並みの規制がかかる可能性がでてきたわけだ。少なくとも、報告書発表直後の報道では、そのように解釈されていた。
 しかし、同研究会の座長を務める堀部政男氏は、この法律で「ネットの自由が侵される」という一連のマスコミの報道を言下に否定する。個人情報保護法の生みの親としても知られ、個人情報やプライバシー保護に造詣が深い堀部氏は、匿名掲示板を舞台とする犯罪行為やプライバシーの流出、個人ブログなどでの事実無根の情報の流布など、インターネットが多くの問題をはらんでいることは指摘しつつも、今回の研究会の報告書でインターネットのコンテンツに規制を掛ける意図は無かったことを明言する。
 同報告書ではむしろ、インターネットそのものは原則自由であることを堅持する姿勢を明確に打ち出し、むしろ、既存の放送メディアがインターネット上でコンテンツを配信する場合に、現在は何の規制も受けていない状態を改め、現存の放送法並みの規制を設けることを提言しているに過ぎないと説明する。つまり、SNSや掲示板、個人ブログなど従来からあるインターネットのコンテンツは「オープンメディアコンテンツ」として今後も自由が堅持され、地上波テレビやCS放送、CATVなど既存の放送メディアが、「特別・一般メディアサービス」として、社会的な影響力に応じた段階的な規制が設けられるべきと考えたに過ぎないと言うのだ。
 研究会の座長が直々にそう説明していることの意味は重いが、とは言え、あたかも報告書が「ネットの言論にも規制が必要」と提言したかのように一部で報じられ、それが一人歩きし始めている兆しも散見される。また、影響力を誰がどのような基準で測るかなど、一歩間違えば言論への政治介入となり得るような懸念も少なからず残る。
 今回は、そのような誤解を解く意味でも、研究会座長の堀部氏に報告書の真意を質すと同時に、ネットの言論規制に対する考え方と、ネット上で発生している個人情報の流失やプライバシーの侵害などの諸問題にどう対応すべきかを考えた。また、ジャーナリストの佐々木俊尚氏にも、今回の報告書の評価を聞いた。
 
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