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■マル激トーク・オン・ディマンドDVD特別版 環境編 政治編 米大統領選編

マル激トーク・オン・ディマンド 第35巻(第351〜360回収録)詳細
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放送日 2007年12月22日(PART1:59分 PART2:79分)
誰のための教育改革なのか?

ゲスト:藤田英典氏(国際基督教大学教授)

 12月5日、06年に行われた各国の15歳の学習到達度を測るPISA(Programme for International Student Assessment)の結果が発表され、日本は03年に引き続き、順位を落としたことが大きく報じられた。PISAには「科学的リテラシー」、「数学的リテラシー」、「読解力」の3科目があるが、確かに日本はいずれの分野でも順位を落としている。その結果を受けて「国際的にも、日本の学力は低下し続けている」との危機感から、早速「教育再生会議」は、理数系教育の充実をうたう内容を12月末発表の第3次報告案に盛り込むという。
 しかし、各国の教育制度に詳しい教育社会学者の藤田英典氏は、PISAの結果への日本の反応を過剰と指摘する一方で、メディアも教育再生会議も、今回のPISAの結果が示す日本の教育の重大な問題点を見落としていることに懸念を表する。
 例えば、全科目で1位、2位を占めたフィンランドと日本のレベル別の成績を比べると、成績最上位者の割合はほとんど変わらない。少なくとも15歳の段階では、日本にも世界の中でもトップクラスの優秀な子供が多いのだ。しかし、日本が全体としてフィンランドよりも低くランクされている最大の理由は、日本の成績最下位者の割合がフィンランドの倍以上あることだ。つまり、フィンランドの成績の高さは、成績下位者のかさ上げがうまくなされ、全体として成績が高いことであるのに対し、日本はできる子とできない子の差が開いているため、結果的に全体の評価が悪くなっていると藤田氏は指摘する。
 これは、まず日本の教育が直面する課題は、できる子を更に鍛えることよりも、「落ちこぼれ」の手当にあることを示唆している と、藤田氏は言う。
 藤田氏によると、フィンランドは、88年に義務教育課程での習熟度別学習を廃止し、少人数によるグループ学習へと教育政策を転換している。さらに教師の質を向上させ、生徒個々に合わせた細かい指導を行い、落ちこぼれをつくらない体制作りを進めてきたという。一方、日本では、4分の3以上の小中学校でできる子を伸ばすことに力点が置かれた習熟度学習が導入されている。つまり、現在日本が行っている「教育改革」の方向性は、義務教育段階から教育機会を差別化するような内容であり、その意味でもフィンランドなどが行ってきた改革の成功例とは逆の方向に向かっていると藤田氏は語る。
 その他にも、世界の多くの国が日本の教育制度をお手本として改革を進める中、日本は「改革」の名のもとに過去20年の間、むしろその財産を捨てる方向へ邁進していると藤田氏は言う。70年代の受験競争の過熱から「教育の危機」が叫ばれ、臨時教育審議会から、教育改革国民会議、教育再生会議と、次々と日本では「教育改革」が行われてきたが、藤田氏によると、そのかなりの部分が、教育に対する専門的な知識も持たない「識者」とおぼしき人々が、場当たり的な施策を打ち出してきたに過ぎない。
 こうなるとそもそも日本の教育改革が一体誰のためのものだったのかさえ、怪しくなってくる。なぜ日本の教育改革はこのような惨状を続けているのか。日本の教育が必要としている真の改革とは何なのか。
 事ここに至ってもまだ次々と新たな改革案が出される中、「日本は改革のための改革を続けてきた」と憤る藤田氏とともに、教育改革のあり方を根本から考えた。
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放送日 2007年12月29日(PART1:88分 PART2:84分)
2007年総集編 ネタとベタの2007年を振り返って


 今回は、年末スペシャルとして、東京・新宿のライブハウス『ロフトプラスワン』での公開収録をお送りする。
 クリスマスの夜に、神保・宮台がゲストなしで、今年のマル激をVTRで振り返りつつ、再度語るべき問題と、語りつくせなかった問題を改めて取り上げ、語り合った。
 京都の清水寺で今年を象徴する漢字が「偽」と発表されたが、偽計に問われたライブドア事件から相次ぐ食品偽装事件と、確かに今年は偽装事件が多かった。しかし、今年起きた出来事の中で本当に重要なことは、果たして偽装事件だったのか。誰にも分かり易いが故にメディアが喜んで飛びつく偽装事件の水面下で、もっと大きな変化が起きていたのではないか。
 今年を締めくくるマル激では、「もしや「偽」すらが「偽装」だったのでは」との目線から、1年を振り返り、今年起きた様々な出来事の背後や水面下で起きている、より重要な変化を読み取ってみた。果たして今年の何がネタで、何がベタだったのか。
 終盤は、満席となった会場から寄せられた質問にふたりが答えた。
今回、VTRで紹介したのは以下の番組。
□第311回「ライブドア事件にみる検察資本主義の到来」
 村山治氏(朝日新聞編集委員)
□第328回「ミートホープが氷山の一角であるこれだけの理由」
 垣田 達哉氏(食品表示アドバイザー)
□第331回「データから見えてくる やっぱり自民党は終わっていた」
 森 裕城氏(同志社大学法学部准教授)
□第326回「5金スペシャル 右翼も左翼も束になってかかってこい」
 小林よしのり氏(漫画家)、萱野稔人氏(津田塾大学准教授)
□第343回「私がデブをやめた理由」
 岡田斗司夫氏(作家・評論家)
□第348回「5金スペシャル 史上最強のアイドル論」
 中森明夫氏(作家・評論家)
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放送日 2008年01月05日(PART1:81分 PART2:57分)
生命について

ゲスト:福岡伸一氏(青山学院大学理工学部教授)

 2008年最初のマル激は、ベストセラー『生物と無生物のあいだ』の著者・福岡伸一氏をゲストに迎え、生物とは何かという視点から、現在の人類のあり方や科学との接し方を考えた。
 昨年5月に出版された『生物と無生物のあいだ』は、30万部突破という、科学書としては異例の売り上げを記録し、2007年の年間ベストセラー(東販調べ)で18位にランクインした。
 なぜこの本がそこまで売れたかについては、著者の福岡氏の文才に依るところも多いが、同時にこの本が、『生命とは何か』という人類にとっての根源的なテーマを正面から扱っている点が、多くの人々の関心を集めたとみられている。本書の中で福岡氏は、自身が辿ってきた分子生物学者としての道のりを振り返りながら、“生命とはなにか”との問いかけを繰り返し行っている。
 そもそもこの本を書き上げた動機は、“機械的生命観”へのアンチテーゼだったと福岡氏は語る。機械的生命観とは、生物と
は、ロボットのように各パーツごとに構成され、そのパーツを正確に組み上げられさえすれば、全体として機能するという考え方
だ。機械的生命観に基けば、例えば、機能低下した臓器に対しては、代替となる臓器を移植すればいいという考え方が出てくるし、遺伝子操作なども、各パーツさえきちんと動けば問題ないことになる。
 しかし、福岡氏は、研究を続けるうちに、生命とは、単純にパーツの寄せ集めで成り立っているわけではなく、互いの細胞の関係性で成り立っていることに気がついたと言う。例えば、遺伝子操作によって生まれながらにして特定の機能を持たない「ノックアウトマウス」を作り出しても、別の何かが失われているはずの機能を補い、全体としては平衡をとって、正常なマウスのように生き続けることがよくあるという。現在、遺伝子工学が進み、遺伝子レベルで生命をデザインすることが可能になったと言われているが、その一方で、逆にそれは、生命とは簡単に操作得るものではないことを日々明らかにしていると福岡氏は言う。
 遺伝子組み換え食品や狂牛病は、まだ人類が理解できていない未知のリスクを多く含んでいる可能性があると警告する福岡氏とともに、そもそも生物とは何なのか、命とは何なのかといった根源的な問いかけから、昨年大ニュースとなった万能細胞(iPS細胞)研究のリスクと可能性についてまで、幅広く「命」を議論した。
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放送日 2008年01月12日(PART1:38分 PART2:42分)
2008年日本経済の課題

ゲスト:熊野英生氏(第一生命経済研究所主席エコノミスト)

 08年株式市場は全面安の幕開けとなった。1月4日の大発会で日経平均は一時616円安を記録し、昨年の最安値1万4837円を更新して引けた。円ドル相場も円高が進み、昨年末より4円以上円高ドル安の1ドル108円台に突入している。また、一方で、原油価格は史上初の100ドルを突破している。
 このような波乱含みの中、今年の日本経済はどうなるのか。この株安と円高の原因を読み解きつつ、08年の日本経済が抱える課題と展望を、気鋭のエコノミスト・熊野英生氏に聞いた。
 昨年金融市場を襲ったサプブライム問題は、世界的株安の引き金をひき、米国の大手金融機関を軒並み危機的な状況に追い込む深刻な事態にまで発展した。しかし、サブプライム問題の震源地だった米国でさえも、07年通年のNY市場のダウ平均は、前年比でマイナスにはなっていない。にもかかわらずサブプライム問題の被害が比較的少なかったと言われる日本だけが、昨年は大きく値を下げている。どうやら日本市場の株安は、サブプライム問題だけに起因するものではなさそうだ。
 熊野氏は、日本の株安の原因を外国人投資家の売りと、国内投資家の消極性にあると分析する。現在の日本の株式市場は、外国人投資家への依存率が高いが、外国人投資家は自国の市場が下がった場合、海外市場の株を売り利益を補填する傾向がある。
 これに対して、通常は外国人投資家が売った後に国内の投資家が入ってくるものだが、日本では国内の投資家の足腰が弱いため、外国人投資家の穴を国内の投資家が埋められるまでに至っていない。熊野氏は、これまで日本政府が、企業優先で金融市場の整備を進め、個人投資家を育てこなかったことのツケが、今になって回ってきていると指摘する。
 また、現在の日本の市場に魅力がない最大の理由は、政治が安定せず、しかも政権が政策の方向性を示せていないことにあると熊野氏は言う。小泉構造改革を市場は歓迎したが、その後安倍政権を経て現在の福田政権は、どこに向かっているのかが一向に見えてこないことを、市場が嫌気しているというのだ。
 いずれにしても、今年前半は、サブプライム問題の影響が尾を引き、第一四半期は米国と連動する形で、日本の市場も厳しい状況が続くと予想する熊野氏だが、夏以降、北京五輪、洞爺湖サミットそして米大統領選と大きな政治イベントが続く中、日本経済浮沈の鍵を握るのはやはり政治をおいて他に考えられないと断言する。
 この1年、日本経済を待ち受ける課題とその展望を議論した。
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放送日 2008年01月19日(PART1:80分 PART2:82分)
格差社会を生き抜くために知っておくべきこと

ゲスト:本田由紀氏(東京大学大学院教育学研究科准教授)

 07年は、流行語大賞に「ネットカフェ難民」が選ばれ、働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」にも注目が集まるなど、日本の格差社会化がさらに進んだことを実感させられる1年だった。
 確かに格差や貧困の問題がメディアで取り上げられることが多くなっている。しかし、その取り上げ方は得てして表層的で、そうした社会の中で日々格差や不公正さを実感し、将来に不安を抱きながら生きる若者にとって、どのような防衛策をとることが可能であるかについての情報は少ない。
 そこで今回は、若者と労働、教育の現状に詳しい本田由紀氏をゲストに迎え、格差が固定されつつある社会で、若者が陥っている困難な状況の根底にある、「社会や学校の評価基準の変化」を明らかにした上で、そのような社会で生き抜くための戦略について考えた。
 本田氏は現代の日本の社会が、どのような学歴や能力をつけ、どのような職業を選択すべきかといった、「人生の戦略」が立て難い社会になっていると分析している。本田氏はこの状況を「ハイパーメリトクラシー(超業績主義)社会」と名づけ、欧米の「メリトクラシー(業績主義)社会」がさらに日本独自の進化をとげた状態と説明する。
 90年代までは、日本も学校卒業までの「業績」で就職先が決定し、最終学歴によって自分の社会での地位を確かめることができた。学歴主義自体はそれはそれで弊害もあったが、少なくとも努力をして学校での成績をあげることが、社会的地位の上昇につながるという、わかりやすい社会構造があったため、社会的な不公平感も抑えられていた。
 しかし、90年代後半頃から、日本では学校や企業が、目に見える“テストの結果”や“学歴”に加え、意欲やネットワーク力など定義があいまいで、個人の人格にまで関わるような能力が、評価の対象となりはじめたと本田氏は言う。95年の「EQ力」ブームや、96年の文科省が「生きる力」の育成を答申として出したころから、求人広告にも、「生きる力」「多様性」「能動性」「ネットワーク力」の文字が踊るようになり、その人の全人格が評価される社会が現出した。それが本田氏の言う「ハイパーメリトクラシー社会」だ。
 「ハイパーメリトクラシー社会」の問題点は、そこで重視される能力の多くは定義があいまいで、数値化するのが難しく、判断する側の判断基準にも個人差があり、不公平感が出やすい。その結果、評価される側が「なにをどう努力していいのかわからない」状況を招き、若者の無気力や諦め、社会に出ることへの不安を助長することだと言う。また、その能力の多くは、多分に生得的なもので、教育や努力を通じていかに身につけるかが解明されていないため、それが格差を固定する要因ともなってると本田氏は言う。
 今回は、アメリカの貧困問題に関する著作「ルポ貧困大国アメリカ」(岩波新書)を上梓して間もない堤未果を司会に迎え、本田氏とともに、固定化が進む格差社会を生き抜くためには、現状をどのように捉え、どう行動すべきかを議論した。
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放送日 2008年01月26日(PART1:63分 PART2:56分)
これで薬害の連鎖に終止符が打てるのか

ゲスト:鈴木利廣氏(弁護士・薬害肝炎全国弁護団代表)

 1月15日、薬害C型肝炎訴訟は国と被害者原告団の間で和解が成立し、それと前後して「薬害肝炎救済法」も議員立法の形で可決した。
 和解合意書には、被害者の一律救済の他、国が責任を認め謝罪した上で、今後の薬害防止のために第三機関を設置し原因究明を行うことなど、被害側の要望が反映された。和解合意書の署名に際し被害者たちが福田首相から謝罪を受ける場面がメディアで大きく報じられたため、世間的にはこれで薬害問題も一件落着というムードが漂っている。
 しかし、和解合意書を読むと、第三者機関の中身や再発防止策などについて、具体的な内容はほとんど何も記載されておら
ず、また今回の薬害肝炎の責任問題もあやふやなままだ。
 全国薬害肝炎訴訟団の代表を務めた鈴木利廣氏が、「ここからがはじまり。むしろこれからを見守るべき」と、この合意が長い道のりの第一歩に過ぎないことを強調するように、これで一件落着とせずに、これから出てくる具体的な救済策や再発防止策を厳しく見守っていくことこそが、市民社会の責務となる。
 戦後の日本はスモン、サリドマイド、薬害ヤコブ、薬害HIVなど、一連の薬害連鎖を断ち切ることができないでいる。薬害が告発されるたびに、裁判で国や製薬会社の責任が追及され、過酷な裁判を戦い抜いた被害者たちが、辛うじて謝罪といくばくかの補償、そして再発防止への誓いを勝ち取ってきたが、それでも薬害は一向に無くならない。薬害や医療過誤を多く扱う弁護士である鈴木氏は、「戦後の日本では、国が薬害事件の被告席に座っていない時が一度もない」と言うほど、日本は薬害大国となっているのが現実だ。
 なぜ日本は薬害を根絶できないのか。言うまでもないが、効果のある薬に一定の副作用はつきものだ。重病や難病への対応では、副作用を覚悟の上で、投薬を余儀なくされることもある。しかし、日本の薬害問題をつぶさに見ていくと、そうした薬の有用性議論(効果とリスクの比較考量)を遙かに超えた深刻な「癒着問題」が姿を現す。
 たびたび指摘されてきたことだが、薬に認可を出す厚生官僚の多くが、製薬会社や製薬会社が後援する独立行政法人などに天下っている。また、官僚達は現役時代から講演やアルバイト原稿など「あの手この手で業界に飼い慣らされている」(鈴木氏)ケースも多いと言う。そもそも現役官僚にしてみれば、製薬会社は自分たちの先輩たちが役員の座にあり、しかも将来自分たちがお世話になる可能性が高い再就職先の候補なのだ。そのような中で、政府が製薬会社に中立かつ厳正な立場で安全性を要求し、また責任を追求することが期待できるはずもない。
 同じような理由で、薬害の発生の疑いが明らかになった時、官僚達は直ちに対応を取れず、問題が長年放置された結果、薬害被害が必要以上に広がることが多い。しかし、官僚の立場に立てば、一度認可を出した薬の認可を取り消すことは、自らが所属する役所が、そしてそこの先輩官僚が下した決定が間違っていたことを認めることを意味する。2年程度で役職を転々とするキャリア官僚にとって、任期を無難に済ますことが出世の条件である以上、この問題も今の国家公務員の人事制度のもとでは、改善は期待できそうもない。
 官僚は保身に走り、製薬会社は責任追求を恐れずに利益を追求でき、製薬会社に飼い慣らされた学者たちがメーカー寄りの立場から医薬品を評価して政府に答申をする。このような多重癒着構造の中で、薬害の温床を一掃することなどできるはずがない。
 更に鈴木氏は、近年製薬業界にはもっと深刻な問題が持ち上がっているという。それは、M&Aで巨大化したビックファーマ(巨大多国籍製薬企業)が、研究者や医療機関などに広範な便宜供与や資金援助を行った上で、薬の効能のPRに莫大な広告費をかけて世界中の市場を支配し始めていることだ。例えばタミフルのように、副作用が指摘されても、それを評価する専門家たち
が、根こそぎ製薬会社の影響下にあるという事例も、もはや当たり前になってきている。
 また、仮にそうした流れから一線を画して、日本だけが薬の認可基準を厳しくすれば、一時的に薬害は減るかもしれないが、日本の製薬会社が国際市場で競争力を失い、気がついたらタミフルの中外製薬がロッシュ傘下に組み込まれているように、軒並みビッグファーマのM&Aの餌食となりかねない。日本が、官僚と業界、学会の癒着などという初歩的な問題でつまずいてるうちに、製薬業界はグローバル化の大きなうねりに飲み込まれようとしているようだ。
 薬害HIV訴訟でも弁護団長を務めるなど、法律家としては薬害問題の第一人者である鈴木氏に、そのような状況の下で、いかにして薬害肝炎問題から教訓を導き出し、それを将来の薬害の再発防止に役立てていくか、そのために私たちは何を注視すべきなのかを聞いた。
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放送日 2008年02月02日(PART1:54分 PART2:27分)
サブプライム問題が露にしたグローバル経済の実相

ゲスト:水野和夫氏(三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト)

 サブプライムローン問題の出口が見えない。大手金融機関の損失はさらに膨らみ、その後モノライン保険大手の格付け引き下げが発表されるなど、サブプライム問題の影響は未だ全貌さえつかめない状況だ。先月、FRBが0.75%の緊急利下げに続いて0.5%の追加利下げを行った他、ブッシュ大統領が一般教書演説で、米国の景気の失速を認めた上で総額1460億ドル(約15兆6000億円)の景気刺激策を発表するなど、サブプライム問題の震源地となった米国も、あれこれ対策は取っている。しかし依然として、金融機関に新たな損失が出ることへの懸念と、景気の先行きへの不安は、市場関係者から払拭できたとは言い難い。
 エコノミストの水野和夫氏は、サブプライム問題は、90年代から続いていた米国の過剰債務問題の最後の帰結と見るべきで、米国の過剰債務は総額で400兆円にのぼると見られるため、その損失処理には少なくとも数年はかかるだろうと予想する。しか
も、日本がバブル期の不良債権を、高い貯蓄率とゼロ金利政策に頼ることでようやく処理できたのに対し、貯蓄率ゼロの米国では、同じような手法をとることはできないことが、米国にとっては問題解決をより困難にしている。
 しかし、サブプライム問題に伴う不良債権の発生は、米国だけに留まらず、いずれは世界十数カ国へ飛び火する可能性が高いと、水野氏は指摘する。世界各国で米国と似たような不動産バブルが発生しており、そこへ世界中から資金が集まり、その金余りを受けて株式市場の高騰が起こっていた。遅かれ早かれ、世界各地でバブル崩壊がはじまり、『日本ひとり負け』から『みんな負け』状態に落ち込むことは避けられないと水野氏は語る。
 グローバル経済を考察する著書を近年上梓している水野氏は、サブプライム問題は、もはや一国だけで経済政策を決めることはできないグローバル経済の必然を如実に表しているとも言う。80年代の日本のバブル期は、国家による経済政策が有効に働いていた。しかし今や、一国の経済政策でバブルを抑えようとしても、バブルを求める余剰資金が、世界中から流入してしまい、一国の力でこれを食い止めることはできなくなっている。この状態は今後更に加速し、結果として格差は拡大し、世界の二極化は進み、その影響を止める有効な手はない。
 司会に経済ジャーナリストの町田徹を加え、サブプライム問題が露にするグローバル経済の実相の検証を通じて、現在の世界経済の進む方向が、人々の真の幸福につながるのかどうかを、水野氏とともに考えた。
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放送日 2008年02月09日(PART1:46分 PART2:69分)
大学がおかしい

ゲスト:石渡嶺司氏(大学ジャーナリスト)

 大学全入時代の到来が取り沙汰される一方で、大学生の半数以上が1ヶ月に本を一冊以下しか読んでいないことが世論調査で明らかになるなど、どうも大学がおかしい。この番組では昨年来「教育」を重点的に取り上げてきたが、そこでも毎回のように「大学問題」が指摘されている。そこで、受験シーズン真っ只中の今、現行教育制度の矛盾の頂点として「今大学で何が起きているのか」を、全国270に及ぶ大学を取材してきた大学ジャーナリストの石渡嶺司氏をゲストに迎えて考えた。
 石渡氏は、どの大学にも共通する問題として、「とにかく学生たちに勉強する意欲がない」ことをあげる。世間的には一流と評される大学であっても、確実に勉強への意欲は落ちていると言う。例えば、授業には出ても授業時間中教室内でずっと携帯メールに没頭している学生が大勢いるかと思えば、学級崩壊よろしく、授業中の私語のひどさも小学生並の状態にあるそうだ。また、何か課題を出しても、軽くインターネットを叩いて答えが見つからなければ、「グーグルで探したけれど出ていませんでした」と当たり前のように回答してくる生徒がいる等々、一昔前に大学を卒業した世代には想像もつかないような事態が大学内で起きているようなのだ。
 学ぶ意欲がない学生が増えた理由は多岐にわたるが、石渡氏は大きな理由として、誰もが大学に入学しやすくなったことで、もともと大学に行くべきではなかった人や、そもそも何のために大学に行くのかを全く考えていないような人までが大学に行くようになったことをあげる。要するに、希望さえすれば誰でも入れる大学が見つかる「大学全入時代」が到来しているということだ。
 大学入学志願者は、1992年にピークを迎え、それ以降は、少子化の影響で毎年減少している。しかし、文部科学省が、90年代になってから大学の設置規準を緩め、大学の新設や学部の増設を柔軟に認めるようになったために、大学の数は増加の一途を辿り、既存の大学も新学部の新設などで学生数を軒並み増やしている。大学という市場では、明らかに市場原理に反したことが起きているのだ。
 その結果、難関校と言われる有名大学は軒並み生徒を増やしマンモス化の道をひた走る一方で、全国の私立短大や地方大学で定員割れが続出し、06年度には実に40%超の大学が定員割れに陥っているという。「大学全入時代」の裏で、経営的には大学間の勝ち組と負け組の両極化が進んでいるのだ。更に、経営的にはうまく回っているかもしれない有名校や難関校でも、上記の「大学問題」とは決して無縁ではないという。
 そうした状況の中、大学側も、あの手この手を講じて、生徒確保に奔走している。従来からの一般試験やセンター試験、推薦入学に数々のバリエーションを加え、何か一科目でも得意科目があれば合格しやすい制度を作り上げた上で、更にAO入試という新たな枠を設け、学力を問わず誰もが大学に入れる状況を作っている。特にAO入試は1990年に慶応大学が最初に導入した当初は、学力テストでは測れない才能を発掘する画期的なシステムとして評価も高かったが、次々と他大学が導入するうちに、評価基準の曖昧さが災いし、文科省が制限を加えている推薦枠の抜け穴として多用されるようになっているのが実情と石渡氏は語る。
 大学には、国公立、私立を合わせると文科省の全予算の約3割が投入されている。要するに税金である。しかし、大学の実情については、情報公開も十分進んでいないため、大学の中で一体何が起きているかについては、一般社会はもとより、受験者や親でさえ正確にうかがい知ることが難しい。
 最高学府として日本の教育制度の矛盾が凝縮されているとも言える大学について、まずはその第一弾として、入試制度と学生の質を中心に議論した。
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放送日 2008年02月16日(PART1:59分)
官僚の思い通りにはさせない

ゲスト:渡辺喜美氏(金融担当大臣)

 改革路線は完全に頓挫したのだろうか。
 2月6日に最終答申が提出され、いよいよ国会提出が待たれる「公務員制度改革法案」だが、成立への道のりがここに来てますます厳しくなってきている。小泉改革の流れを継承した安倍政権が、華々しくぶちあげた「公務員制度改革」だったが、官僚との協調路線をうたう福田政権には本気で取り組む姿勢が見えず、渡辺喜美大臣の独り相撲の様相を呈し始めている。
 今回提出が予定されている「公務員制度改革法案」は、昨年7月に成立した天下り規制法に続く第2弾として、キャリア制度や人材登用などまで制度設計を大きく変更しようとしている。しかし、それだけに官僚の抵抗も激しく、一部の閣僚に、官僚側の抵抗に手を貸すような動きさえある。今回は、そんな四面楚歌状態で奮闘する渡辺喜美内閣府特命担当大臣を招き、天下り規制や独立行政法人の統廃合などの行政改革路線に今何が起きているかを聞いた。
 渡辺氏は、あらゆる省庁が公務員制度改革には抵抗している上、官邸内からもたびたび牽制を受け、骨抜きが着々と進んでいることを認める。
 例えば、天下り規制法で新設された「新人材バンク」についての答申では、天下りを厳しく規制する文言を、町村信孝官房長官の指示で削る結果に終わった。昨年8月に、各省庁に所管の独立行政法人の見直しリストを要求すると、「廃止すべき法人はなし」とゼロ回答をよこし、再度の催促にもゼロ回答を続ける始末だった。業を煮やした大臣側が統廃合すべき11の独立行政法人名を記者会見で発表しようとすると、直前に官邸からストップがかかる事態まで発生した。今回の『公務員制度改革法案』の最終答申も、昨年11月に発表予定だったものを、官邸の意向で2ヶ月先に先延ばしになり、その間にも官僚の意向が次々と反映されるように働きかけがあったという。
 しかし、渡辺氏は公務員制度改革は、日本が真の議院内閣制を確立するためには、必要不可欠であると自信を持って主張する。日本は、国会が内閣を組織し、内閣が行政をコントロールする議院内閣制度をとっているため、本来ならば、政治家が最も大きな権限を持たなければならない。しかし、現状は官僚が政治家以上に力を持ち、政治家を従属させた官僚機構が国政を運営する状況が続いている。選挙の無い官僚では、監視の目が十分に届かず、官僚の専横が容易となる。その結果、天下りの弊害
や、外郭団体の腐敗、行政の非効率化などが、「日本問題」の代名詞と言われるまでになっている。
 渡辺氏は、官僚制度は根本的な制度設計からやり直さなければならないと主張する。今回の改革は、硬直した人事制度を解体し、民間や省庁間での人事交流を進める一方、公務員に対しても国会答弁書の作成などの負担を減らし、本来の政策立案業務に専念できるような体制作りが謳われている。
 しかし、今回の公務員改革ではマスコミも、「政治家と官僚の接触禁止」のようなセンセーショナルな部分だけを取り上げ、本質を避けた報道を繰り返しているため、一般市民にも改革の趣旨が十分に理解されず、官僚の抵抗を打ち破るまでに世論が盛り上がっていない。
 行革担当大臣として、渡辺氏と国会を含めた公務員改革を大いに議論した。また、冒頭では金融担当大臣として、年明け以
降、揺れ動く金融市場に対しての見解も聞いた。
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放送日 2008年02月24日(PART1:67分 PART2:39分)
このままでは道路の暴走は止まらない

ゲスト:加藤秀樹氏(シンクタンク構想日本代表)

 いい加減食傷気味の向きも多かろうが、またまた道路論争が喧しい。
 国会では、3月末に延長期限を迎えるガソリン税の暫定税率廃止を求める野党・民主党と政府与党の攻防が連日繰り広げら
れ、マスメディアも山奥の無駄な道路などをこぞって紹介している。
 しかし、そもそも無駄な道路建設をやめることは、小泉構造改革の目玉の一つだったはず。それがなぜ今また「無駄な道路」論争なのか。
 道路建設の財源は、揮発油税や石油ガス税などの道路特定財源という形で、毎年別枠で確保されている。今回の道路論争
は、この特定財源の元となる税金本来の税率の上に、更に上乗せ分として暫定的に課せられている上乗せ税率が、この3月に延長の期限を迎えることから、その存否をめぐり、論争が再燃した形となっている。暫定税率の期限が切れると、ガソリン料金などがリッターあたり20円以上も下がり、原油価格の高騰で燃料費の負担にあえぐ一般市民が恩恵を受けるが、その分道路財源も減少するため、道路建設を進めたい国土交通省と与党のいわゆる「道路族」が、暫定税率廃止に激しく抵抗しているからだ。
 しかし、道路問題を長年調査し、数々の提言を行っている構想日本の加藤氏は、暫定税率やガソリン代値下げをめぐる議論
は、道路問題の本質ではないと指摘する。道路問題の本質は、特定財源という形で道路予算だけがあらかじめ別枠で確保されている上に、道路計画が全て中央で決定され、しかもその決定過程が不透明な点にあると加藤氏は言う。
 まず直視しなければならないことは、小泉構造改革で「無駄な道路を作らない」ために強行された特定財源の一般財源化と道路4公団の民営化は、いずれも骨抜きにされ、有名無実化していたという事実だ。道路特定財源は維持され、形ばかりの道路公団民営化は行われたが、無駄な道路が作られ続ける構造は丸ごと温存された。
 既に世界一の道路大国となっている日本で、これ以上無駄な道路を作らないようにするためには、道路特定財源を廃止し、道路計画の決定過程を透明化した上で、何が本当に必要な道路かを判断するために、地域の声を道路計画に反映させるしかな
い。しかし、この、小学生でも分かるようなごくごく当たり前の対応が、なぜかできない。しかし、もし日本がこのまま、戦後復興期に作った「まず何よりも道路建設を優先する」システムを変えるだけの政治的意思も、それを後押しする民度も持ち合わせていないならば、いよいよ財政が破綻するまで道路の暴走は止まることはないだろう。
 しかしそうばかりも言ってはいられない。予定通り向こう10年間で60兆円分もの道路が作られれば、既に危機的状況にある財政の破綻が早まるばかりか、バイパスや高速道路建設による地域コミュニティの空洞化も進むことになる。バイパスや高速が建設されれば、地域の経済活動の中心がバイパスや高速インターチェンジ沿いの大型ショッピングセンターに移動し、旧市街地のシャッター街化が更に進むからだ。中央政府の机上で進められている道路建設計画は、そうした地域的な視点を無視して行われていることも問題だと、加藤氏は指摘する。
 道路公団民営化委員会の委員長代理・田中一昭氏や、道路建設を独自に行っている長野県栄村村長・高橋彦芳氏の発言も交え、国会で参考人として証言する直前の加藤氏と、道路の暴走が止まらない理由と、その対策を議論した。
 
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