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マル激トーク・オン・ディマンド 第44巻(第441〜450回収録)詳細
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放送日 2009年09月19日(PART1:66分/PART2:40分)
空腹力が人類を救う

ゲスト:石原結實氏(医師・イシハラクリニック院長)

 食欲の秋というが、今週の丸激のテーマは「空腹力」。  「空腹力」とは、文字通り空腹状態に耐える力のこと。その名づけ親である医師の石原結實氏は、今日先進国に住むわれわれを悩ませているあらゆる病気の原因に、単純な「食べ過ぎ問題」があるとの前提に立ち、われわれが健康な生活を取り戻すためには、食べないことに耐える力、すなわち空腹力を鍛えることが不可欠であると主張している、実は知る人ぞ知る断食界のカリスマだ。
 そもそも300万年前に発祥したと言われる人類の歴史は、そのほとんどが飢餓との戦いに費やされてきた。人間は飢餓を乗り越えて生き延びるために、飢餓に対応するありとあらゆる防衛機能を備えるようになった。それがあったからこそ、恐竜を始めとする多くの動物が滅亡する中、今なおわれわれ人類は地球上で生き延びていると言っていい。
 飢餓防衛能力の一つが、例えば皮下脂肪だ。摂取した栄養は人体の機能を維持するために代謝に回されるが、余った分は将来の飢餓に備えて、皮下脂肪そして体内に蓄えられる。
 また、血糖値が下がると人はすぐに空腹を感じ、万難を排してでも何とか食べ物を口に入れようとするが、食べ物を口に入れてからそれが消化されて満腹を感じるまでに1時間ほどのタイムラグがあるために、放っておけば人間は必ず食べ過ぎるように作られている。
 しかも、余分に食べたものはすぐに脂肪になって貯蔵されるが、一方この脂肪が、簡単には燃焼されないようになっている。ダイエットが苦しいのも、それが原因だ。
 いずれも、将来の飢餓に備えるために人間が300万年かけて身につけてきた高度な飢餓防衛能力なのだから、こればかりはしかたがない。
 飢餓にはこれだけ高度な防衛能力を持つ人間なのだが、その一方で、過食に対しては、何ら防衛機能を持っていない。いや、むしろ人間の本能は過食を促す方向に作用するようになっていると言っても過言ではないのだ。
 今日の先進国のように、飢餓の脅威がなくなり、その気になればいくらでも食糧が手に入るようになった今、皮肉にも飢餓ではなく過食が人類の命を脅かすまでになっている。石原氏によれば、現在予備軍も含めて日本に2200万人もいるという糖尿病をはじめ、高血圧、心筋梗塞、脳疾患、ガンに至るまで、全てが食べ過ぎに少なくともその原因の一端があると言う。
 「恐竜もマンモスも皆、大きくなりすぎて滅びた。人間もこのままでは大きくなり続け、最後には滅びる運命にある」と石原氏は言う。
 そこで石原氏が言うように、空腹力を鍛えよ、となる。
 石原氏の提唱する空腹力とは、端的に言えば空腹を我慢する力のことだが、それは何も空腹の苦しみに耐える力をつけろと言っているわけではない。人間は血糖値が下がった時に分泌されるホルモンによって空腹を感じるため、血糖値が上がれば本来は空腹は収まる。しかし、われわれの多くが、幼少時からきちんと食事を摂らなければならないときつく教え込まれているため、実際に食事で胃袋を満たさないと空腹は収まらないものと信じ込んでいる。つまり、空腹力とは、そうした呪縛から自らを解放し、血糖値を正常にコントロールすることで、例えば1日1食か2食で苦痛を感じずに十分やっていけるような力を付けることを意味する。
 空腹力を鍛えれば、例えば、石原氏が提唱するニンジンとリンゴを混ぜたジュースやショウガ入り紅茶で血糖値を上げておくだけで、まったく空腹を感じずいられるようになるのだと石原氏は言う。
 石原氏自身が、朝、昼はニンジン・リンゴジュースを3杯ずつ飲み、合間にショウガ紅茶を飲む他は、1日1食だけで、しかも毎日ジョギングやウエイトリフティングに勤しむ生活を、30年以上続けているそうだ。
 石原氏自身は医師ではあるが、氏のこうした考え方は、東洋医学の発想に基づいている。解剖学を基礎とし、腫瘍や潰瘍など器質的な変化などの目に見える症状を治療の対象とする西洋医学に対し、気の流れなど目に見えないものに働きかけることで生命の本質に迫ろうとするのが東洋医学だと、石原氏は言う。しかし、理論的な裏付けのない東洋医学は医学の世界において主流とは成り得ず、ともすればオカルト扱いを受けたりする。目に見える形で説明できないものは科学ではないと否定されてきたのだ。
 しかし、「空腹力」は、西洋医学的にも証明できると石原氏は言う。また、実際に西洋でも先端医療の世界では、西洋医学の限界を知った医師たちが、東洋医学的な治療を行っているところは多いと言う。
 食欲の秋、現代の過食社会に警鐘を鳴らす「空腹力」について、石原氏とともに考えた。
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放送日 2009年09月26日(PART1:100分 PART2:46分)
シリーズ・民主党政権の課題3 温室効果ガスの25%削減は十分可能だ

ゲスト:飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)

 「温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減する」。
 鳩山首相が国連気候変動サミットで表明した国際公約は、世界各国から称賛された。国際舞台で日本の政治家の発言がこれほど高い評価を受けるのは、一体いつ以来のことだろうか。
 長年地球温暖化問題に取り組んできたNPO環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、環境分野に限らず、日本が国際政治を前に動かす原動力となったのはおそらく初めてのことであり、日本国民にとっても有意義な出来事だと、これを高く評価する。
 しかし、こうした国際舞台での歓迎ムードとは裏腹に、国内では「現実的でない」「不可能だ」「負担が重過ぎる」と、25%削減目標に対する否定的な発言ばかりが報道されている。なかでも批判の論拠となっているのが、90年比25%削減が実行された場合、「国民負担が一世帯当たり年36万円増加する」という、「経産省試算」なるデータだ。
 しかし、飯田氏はこの数字には悪意に満ちた巧妙なトリックが隠されていると言う。ここで言う「36万円の負担増」とは、この先日本が地球温暖化対策を何も行わなかった場合と25%削減した場合を比べたとき、2020年の時点で家計負担に36万円の差額が出るという話であり、何も各家庭が実際に36万円を負担しなければならないという話ではない。実は、90年比25%減を実現した場合でも、現在(2005年時点)より家計所得は76万円増えるのだ。それを、あたかも今より家計負担が36万円も増えるかのようにメディアを使って印象操作をするのは、温暖化対策をしたくない勢力によるたちの悪い脅迫だと飯田氏は批判する。
 このようなネガティブキャンペーンが横行する中、飯田氏は、25%削減は決して無理な数字でもなければ、過度な負担を国民に強いるようなものではないと説く。むしろ、既に先進国が約束している最低基準でもある25%の削減が、国民にとって重い負担にならないようにするためには、今から様々な対策を行っておく方が賢明ではないかと言うのだ。
 では、25%削減をいかに実現するか。
 そもそも日本のCO2排出量を増加させた最大の原因は石炭火力発電の増加にあると、飯田氏は指摘する。しかも、日本は2023年まで石炭発電所を増やす計画だという。飯田氏は、まずはこれを凍結した上で、短期的には石油や石炭よりCO2の排出が少ない天然ガスにエネルギー源をシフトさせ、中長期的に太陽光や風力などの再生可能エネルギーに転換していくことが、25%削減を実現するための必須条件になるという。
 そして、それを可能にするツールが、環境税(温暖化対策税)、排出量取引、固定価格買取制度の3点セットだが、民主党は先の衆院選のマニフェストでこの3つの実現を公約しているのだ。
 事業者のCO2排出量に応じて課税をする環境税は、削減努力に経済的メリットが生じるため、既に温暖化対策としての有効性が欧州で証明されている。
 新たな金融商品を生むだけと批判されることの多い排出量取引は、最初にキャップ(総量規制)をかけて、総量を抑えることに主眼がある。現在日本が試験運用しているような総量規制を設けないキャップレス・トレードではCO2は減らないことは当然のことと飯田氏は言う。
 そして、25%削減の決定打となることが期待される再生可能エネルギーについては、電力会社に対して全ての再生可能エネルギーを固定価格で買い取ることを義務づける「フィード・イン・タリフ」と呼ばれる制度を実現できるかどうかが、成否を握っていると言っても過言ではない。これは事業者や家庭が風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電を独自に行ったとき、その全量を一定の価格で買い取ることを電力会社に義務づける制度で、この価格設定を8年程度で採算があう水準に合わせれば、発電事業に乗り出す事業者や個人が爆発的に増えることが期待できる。ドイツやスペイン、中国など再生可能エネルギー先進国はすべて、この固定価格買取制度によって飛躍的に自然エネルギー市場を拡大させているが、日本では電力会社と経産省の抵抗が強く、未だに固定価格買取制度は実現していない。
 実はこの11月から、政権交代直前に経産省が滑り込みで導入した擬似固定価格買取制度が始まるが、飯田氏はこれもまた「民主党政権が本物のフィード・イン・タリフを導入するのを阻止するために、経産省が投げたくせ玉」に過ぎないと、これを一蹴する。実はこの制度は、太陽光以外の再生可能エネルギーは一切除外した上に、個人のみを対象にした制度となっていて、一旦この制度が導入されてしまうと、対象を他のエネルギーに広げたり、事業者を買い取り対象に含めることが難しくなるように、意図的に設計されていると言うのだ。民主党政権は、まず本物のフィード・イン・タリフ導入の邪魔になるこの制度をストップすべきだと、飯田氏は言う。
 いずれにしても、25%削減を実現するには、この3本柱のうちの一つでも欠けると、実現は難しいだろうと飯田氏は言う。逆に言えば、ドイツなどの成功例を見ても、この3点セットをしっかりと導入することができれば、国民生活に大きな負担を与えることなく、25%削減は十分に可能になると、飯田氏は言い切る。
 25%削減の処方箋と、その実現の前に立ちはだかる抵抗勢力をいかに打ち破るかを、飯田氏と考えた。
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放送日 2009年10月03日(PART1:85分 PART2:73分)
シリーズ・民主党政権の課題4 子どもを生みたくなる国に変わるための処方箋

ゲスト:渥美由喜氏(東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)

 少子化が今日の日本が直面する最も深刻な問題の一つであることは言を俟たない。国立社会保障・人口問題研究所の見通しでは、現在の出生率がこのまま続けば、日本の人口は中位推計で2050年には9,515万人に、2100年には4,771万人にまで減少するという。
 その間も高齢化が確実に進むことを考えると、現役世代の社会保障負担がどれほど重いものになるかは想像に難くない。そればかりか、天然資源に乏しい日本にとって、人的資源の減少が国力そのものの低下に直結するのも避けられないだろう。
 しかし、日本とほぼ同時期に出生率の低下に見舞われた欧米諸国の多くが、子育て支援など様々な少子化対策によって出生率の回復に成功しているのに対し、日本は依然として先進国中最低水準の出生率に喘いでいる。
 少子化問題に詳しい渥美由喜氏は、自民党政権下では社会保障政策が高齢者対策に著しく偏っていたため、少子化対策に十分な財源が回ってこなかったが、子どもは社会で育てるという考え方を前面に打ち出した民主党が政権についたことで、少子化対策も改善に向かうことが期待できるのではないかと語る。
 民主党はかねてより「チルドレン・ファースト(子ども第一)」を謳い、子育て支援を重視してきた。マニフェストや政策集にも、子ども手当のほか、出産一時金の助成、保育サービスの充実、ワークライフバランスの実現等々、子育て子援や家族支援に関する政策メニューが多く並んでいる。
 なかでも、子ども一人当たり月額2万6千円を中学卒業まで支給する「子ども手当」には、子どもを持つことの最大の不安要因であった経済的負担を軽減する上、これまでの片働き(専業主婦)世帯優遇から共働き世帯支援への明確な政策転換が感じられると、渥美氏はこれを肯定的に評価する。
 しかし、民主党が子ども手当を始めとする子育て支援策を実施したとしても、日本の子育て支援はまだOECD加盟国の平均程度に過ぎない。むしろ、これまでの日本の子育て支援が、先進国としては余りに貧弱すぎたというのが実情なのだ。
 経済的支援についてはある程度必要なメニューが出そろった感があるが、まだまだ日本が抱える課題は多い。特に、保育所の増設や保育サービスの充実、育児休暇の取得率やその延長にあるワークライフバランスの充実など、子育てや仕事、家庭の役割分担といった家族のあり方そのものを、市民一人ひとりがどう捉えるかに課題があると、渥美氏は指摘する。
 実際、日本ではまだ公的な保育サービスが貧弱なため、共働きをしようとすると、無認可の保育所に高いお金を払って子どもを預けなければならない。また、日本はサービス残業を含めるとEU諸国と比べて年間労働時間が突出して長い上、育児休暇の取得率も男性にいたっては1パーセント台だ。制度としては欧米並みに整備された労働基準法や育児休業制度がありながら、その権利を行使できない「空気」の問題にどう対処していくかは、大きな課題として残る。いくら経済的な子育て支援を充実させても、これではワークライフバランスなど画に描いた餅になってしまう。
 渥美氏と、子育て支援からワークライフバランス、そして、一見少子化とは無関係に見える婚外子差別の撤廃や選択的夫婦別姓にいたるまで、民主党の少子化対策の中身を徹底的に検証し、その課題を考えた。
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放送日 2009年10月10日(PART1:73分 PART2:36分)
河野太郎の自民党復活計画

ゲスト:河野太郎氏(衆議院議員)

 先の総選挙で壊滅的な敗北を喫した自民党は、果たして復活できるのか。そして、それを可能にするためには、自民党はどのような理念を持った政党に生まれ変わる必要があるのか。  総選挙後に実施された自民党総裁選は、谷垣禎一元財務大臣が大差で勝利した。今回のマル激ゲストの河野太郎氏は世代交代と脱派閥を訴え、党を舞台裏から支配する長老達に容赦の無い批判を浴びせたものの、結果的に党の長老の支持を受けた谷垣氏に大敗した。
 その河野氏は、「小さな政府」こそが自民党の採るべき路線であり、日本復活の路線だと自信を持って言い切る。小泉改革についても、構造改革路線そのものは間違っていなかったが、セーフティネットが不十分なまま再配分を廃止したことで、その負の側面が一気に吹き出したと位置づけている。
 河野氏の主張は明確だが、小泉改革の痛みを記憶する人々、特に地域の疲弊に苦しむ人々にとっては、なかなか受け入れがたいことかもしれない。しかし、河野氏はあえて厳しいことを言わなければ、日本はこのまま衰退の道を辿るだけだという。現実を直視せず、従来の図式で乗り切ろうという選択肢は今の日本にはもうない。いずれ民主党政権で「大きな政府」の歪みが生じてきたとき、自民党の出番がやってくる。それまでに党改革を断行し、自民党を全く新しい政党に作り変えるのだと河野氏は意気込む。
 冷戦下の高度成長期には、自由主義と資本主義、そして日米同盟の3つを堅持するだけで自民党のアイデンティティは十分維持が可能だった。ところが、20世紀後半になると、冷戦や高度成長といった前提条件が崩れたために、自明だった自民党の路線が見えにくくなってしまった。そして最後に残った自民党のアイデンティティが、「政権与党であることだけになってしまった」ことが、今回の総選挙での自民党の歴史的な敗北につながったと河野氏は分析する。
 野党に落ち、唯一のアイデンティティだった「政権与党」の地位も失った今、自民党はアイデンティティ・クライシスに陥っているかに見える。依然として、従来の公共事業による再分配を主張する議員も、自民党に少なからず残っている。しかし、河野氏は、小さく無駄のない政府を作り、経済成長を促すために規制緩和を進めなければ、この先日本は、借金に頼らずに国民を養っていけるような国にはなれないと主張する。そして、いずれ民主党政権の「大きな政府」の歪みが生じてきたとき、再び自民党の出番がやってくるというのが、河野氏の見立てだ。
 「リベラル再分配」路線を採る民主党が政権の座に就いた今、「保守政党」の果たすべき役割とは何なのか。次の総裁選に向けて全国行脚を始めたという河野氏をゲストに迎え、「健全な保守」とは何か、そして自民党再生のための処方箋とは何なのかなどを議論した。
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放送日 2009年10月17日(PART1:62分 PART2:28分)
「物言う知事」はなぜ抹殺されたのか

ゲスト:佐藤栄佐久氏(前福島県知事)

 佐藤栄佐久氏はクリーンさを売りものに福島県知事を5期も務めた名物知事だった。しかし、それと同時に佐藤氏は、国が推進する原子力発電のプルサーマル計画に反対し事実上これを止めてみたり、地方主権を主張してことごとく中央政府に反旗を翻すなど、中央政界や電力、ゼネコンなどの有力企業にとっては、まったくもって邪魔な存在だった。
 その佐藤知事に収賄疑惑が浮上し、5期目の任期半ばで辞職に追い込まれた後、逮捕・起訴された。ダム工事発注をめぐる収賄罪だった。知事は無罪を主張したが、一審は執行猶予付きの有罪判決だった。そして、その控訴審判決が14日、東京高裁で下された。
 今回は一審からやや減刑されたが、依然として懲役2年、執行猶予4年の有罪判決だった。主要メディアもほぼ例外なく「前福島県知事、二審も有罪」の見出しでこのニュースを報じていたので、最近は知事の不祥事が頻発していたこともあり、必ずしも世間の耳目を引く大きなニュースとはならなかったかもしれない。
 しかし、この判決の中身を詳細に見た時に、その内容の異常さに驚かされる人は多いはずだ。判決文からは「無形の賄賂」や「換金の利益」などの驚くような言葉が次々飛び出してくるからだ。判決文は、佐藤前知事が一体何の罪で有罪になったのかが、全くわからないような内容になっているのだ。
 もっとも驚かされるのは、二審では一審で佐藤前知事が弟の土地取引を通じて得ていたと認定されていた賄賂の存在が否定されたにもかかわらず、「無形の賄賂」があったとして、裁判所が有罪判決に踏み切ったことだ。
 元々その賄賂の根拠というのは、佐藤氏の弟が経営する会社が水谷建設に土地を売却した際、その売却額が市価よりも1割ほど高かったので、その差額が佐藤氏に対する賄賂に当たるというものだった。ところが、その建設会社はその後更に高い値段で土地を売却していることがわかり、「市価より高い値段による賄賂」の大前提が崩れてしまったのだ。
 そこで検察は「換金の利益」つまり、仮に正当な値段であったとしても、土地を買い取ってあげたことが「無形の賄賂」の供与にあたると主張し、裁判所もそれを認めた。つまり、取引が正当な価格でなされていたとしても、土地取引そのものが賄賂にあたると認定されたわけだ。
 「セミの抜け殻のような判決」。二審判決についてそう話す佐藤氏は、そもそも事件そのものが検察によってでっち上げられた作り話だと主張し、一審から徹底して無罪を争ってきた。
 他にもこの事件は、そもそもこのダム事業が一般競争入札案件であるにもかかわらず、佐藤氏の「天の声」を認定していたり、弟の土地取引から得た利益を佐藤氏自身が受け取ったわけではないことを認定しながら、佐藤氏を収賄で有罪としているなど、不可解な点は多い。
 にもかかわらず、「換金の利益」だの「無形の賄賂」だのといった不可思議な論理まで弄して裁判所が佐藤氏を二審でも佐藤氏を有罪としなければならなかった最大の理由は、佐藤氏自身が取り調べ段階で、自白調書に署名をしていることだったにちがいない。
 今回宮台氏のピンチヒッターとしてマル激の司会初登場となった元検事で名城大学教授の郷原信郎氏は、「佐藤氏のような高い地位にあった方が、罪を認めていることの意味はとても重い。自白があるなかで裁判所が無罪を言い渡すことがどれほど難しいか」と、とかく自白偏重主義が指摘される日本の司法の問題点を強調する。
 しかし、佐藤氏はこの点については、苛酷な取り調べによって自白に追い込まれたのではなく、自分を応援してきてくれた人達が検察の厳しい取り調べに苦しめられていることを知り、それをやめさせるために自白調書にサインをしたと言う。また、早い段階で自白をしたおかげで、真実を求めて戦う気力を残したまま、拘置所から出てくることができたと、自白調書に署名をしたこと自体は悔やんでいないと言い切る。
 佐藤氏が原発に反対し、原発銀座とまで呼ばれ10基もの原発を有する福島県で原発が止まってしまったことが、日本の原発政策全体に多大な影響を与えていたことも、今回の事件と関係があるのではないかと疑う声がある。しかし、これについても郷原氏は、「今検察はそれほど高級な論理で動いてはいない」と一笑に付す。
 恐らく、東京地検特捜部はある見込みに基づいて、かなりの予算と時間と人員をかけて捜査に着手したのはよかったが、見込み違いがあったのか、なかなか大物が捕まえられずにいたところを、敵が多く、恐らくたれ込みネタも豊富であろう佐藤氏に白羽の矢がたったのだろうと、郷原氏は見る。「見込み違い」「幹部の保身」「筋の悪いたれ込み情報に振り回された結果」といったところが実情だったのではないかと言うのだ。
 佐藤氏自身は、自分が検察に狙われなければならない理由はわからないとしながらも、1年以上もの長期にわたり、佐藤氏の周辺を検察が捜査しているとの情報はあったと言い、最初から佐藤氏を狙った捜査であった可能性を排除はしていない。しかし、いずれにしても佐藤氏は最後まで無罪を主張して闘う意向を明らかにしている。
 今週はマル激特別版として、郷原信郎氏を司会陣に迎え、今回の判決が露わにした数多くの「なぜ?」とその背後にある日本の刑事司法の病理を佐藤栄佐久前福島県知事と議論した。
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放送日 2009年10月24日(PART1:44分 PART2:45分)
シリーズ・民主党政権の課題5 今、自殺対策は政治の出番だ

ゲスト:清水康之氏(自殺対策NPO法人ライフリンク代表)

 シリーズでお送りしている民主党政権の課題。5回目となる今回は自殺問題を取り上げた。
 日本の自殺者数は1998年に3万人を超えて以来、11年連続で3万人を超え、自殺率で見るとOECD諸国の中ではハンガリーに次いで2番目に高い。今年は景気低迷の煽りを受け、自殺者の数が上半期だけで1万7千人を超えるなど、このままいけば過去最悪となりかねない。
 政府も決して手をこまねいているわけではない。07年に策定された自殺対策大綱に基づき、政府はさまざまな自殺対策を講じてきてはいる。にもかかわらず、自殺者の数は一向に減る兆しが見えないのだ。
 内閣府の「自殺対策推進会議」のメンバーで04年以来自殺問題に取り組んできたNPO・ライフリンク代表の清水康之氏は、現在の政府の自殺対策は縦割り行政が邪魔になり、ほとんど機能していないと指摘する。
 自殺に至る過程には複数の要因があり、自殺者は平均でも4つの要因を抱えているという。例えば、「事業不振」→「生活苦」→「多重債務」→「うつ病」などを経て自殺に至るという具合だ。しかし、現在の政府の対策は縦割り行政のために、関係機関の間で横の連携が取れていない。そのため、人を自殺に追いやる複数の原因に同時に働きかけることができないでいるというのだ。実際、自殺者の72%は、亡くなる前に専門機関に相談している。にもかかわらず、それを救うことができていないのが、現在の自殺対策の実情だ。
 清水氏は政権交代によって政権の座についた民主党が掲げる「政治主導」が、自殺対策を有効に機能させるきっかけになることに期待を寄せる。政治が主導権を握れば、行政の縦割りの壁を乗り越えた戦略的かつ柔軟な自殺対策が可能になるというのだ。
 また、民主党が政府系金融機関の個人保証の撤廃や連帯保証人制度の廃止をマニフェストで明示したことも、清水氏は高く評価する。個人保証や連帯保証人制度は、中小企業経営者や自営業者の自殺の大きな要因として以前から批判されてきたが、にもかかわらず、この問題は自民党政権下では放置されてきたからだ。
 しかし、民主党のマニフェストや政策集を見る限り、民主党政権の自殺対策は必ずしも明確になっていない。自殺を減らすために現場で奔走する清水氏とともに、民主党政権が「政治主導」で実施すべき自殺対策とは何かを議論した。
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放送日 2009年10月31日(PART1:72分 PART2:57分 PART3:88分 PART2:44分)
ビデオニュース・ドットコム開局10周年記念特別企画
生コールイン これだけは言わせろ!民主党政権への注文

ゲスト:福山哲郎氏(外務副大臣)、大塚耕平氏(内閣府副大臣)、細野豪志氏(民主党副幹事長)

 恒例となった5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする「5金スペシャル」。今回は、ビデオニュース・ドットコム開局10周年を記念して、民主党政権のキーパーソンたちをスタジオに招いて、視聴者参加のコールインをニコニコ動画とのコラボレーションによる生放送でお送りした。
 民主党政権が誕生してから約2ヶ月。民主党は「市民の手に政治を取り戻す」と宣言をして政権の座についた。しかし、ここまで民主党はその約束をきちんと果たしているだろうか。民主党が向かっている方向は間違っていないか。民主党政権の中枢を担う3人の議員は、普段のマル激の視聴者に加え、ニコニコ動画の視聴者という新しい参加者からの厳しい突っ込みに耐えられるか。
 番組最後には神保・宮台の両キャスターが、ビデオニュース・ドットコムの10年を振り返りながら、次の10年に向けた課題や要望を視聴者とともに考えた。
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放送日 2009年11月07日(PART1:50分 PART2:42分)
アフガニスタンで日本がすべきこと、やってはいけないこと

ゲスト:伊勢崎賢治氏(東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授)

 来週のオバマ大統領の初来日を前に、鳩山政権は2つの安全保障政策上の懸案を抱えている。海上給油活動のためにインド洋に派遣されている海上自衛隊の撤退問題とそれに代わるアフガニスタン支援策が一つ。もう一つが、普天間基地の県外移設問題だ。いずれも民主党が総選挙前に公約に掲げて政権の座についたため、簡単に旗を降ろすわけにはいかないが、相手のある問題であるため、大統領の来日までに結論は出せそうにない。
 特にインド洋の給油活動からの撤退は、日本側が考えている以上にアメリカにとっては大きな影響があるとの指摘が根強い。NATO軍を中心に編成されているアフガニスタンの対テロ作戦で、NATOに属さない日本が末席ながら作戦に参加していることで、アメリカはNATO諸国に対してより大きな貢献を求める口実を得ることができているという側面があるからだ。
 とは言え、給油活動からの撤退は、民主党が選挙公約としてきた以上、今更撤回することも難しい。となると、給油に代わる新たなアフガニスタンへの貢献策として、果たして日本は何をすべきで、日本に何ができるかが問題となる。
 しかし、アフガニスタンの現状はそれほど容易ではない。日本政府の代表としてアフガニスタンの武装解除に取り組んだ経験を持ち、つい最近もアフガニスタンを訪問してきた伊勢崎賢治・東京外国語大学大学院教授は、国内治安の悪化によってもはやアフガニスタンでは、ほとんどの民生支援は事実上不可能に近い状態になっているという。
 全土に広がる汚職や麻薬資金の流入など、「歴史上類を見ないほどひどい」(伊勢崎氏)腐敗政治が横行する中で、2001年に一度は掃討されたはずのタリバンが息を吹き返し、再び人心を掌握し始めている。既に国土の6〜7割を実効支配しているとの情報もある。しかも、火力では圧倒的優位に立つはずの米・NATO軍は市民の間に紛れ込んだタリバンによって長期の消耗戦に引きずり込まれ、外国人兵士の死者数は年を追うごとに急増している状態だ。
 アフガニスタン国内では最近は国連までがテロの対象になる有様で、国連の威信が低下する一方、腐敗政治に嫌気がさした民衆は、他に選択肢がないために、日々タリバン支持へと傾いていると伊勢崎氏は指摘する。  そもそも今日の状況を招いた原因は、民兵を合法化して警察に取りたてた結果、本来は治安を守らなければならないはずの警察が腐敗してしまったことにあると指摘する伊勢崎氏は、現在オバマ政権がこれを同じことをやろうとしていることに懸念を隠さない。
 そうした中で鳩山政権は現在のところ、アフガニスタン支援策として、向こう5年間で約3600億円の資金援助、電力や道路のインフラ整備、警察官の訓練支援に8万人の給与の約半額の負担、ISAF司令部への連絡調整官の派遣などを打ち出している。しかし、資金援助やインフラ整備は日本が以前からやってきたことでもあり、給油活動の代わりになるものではないと伊勢崎氏は言う。
 そして、伊勢崎氏が一番やってはいけないと指摘するのが、現在日本が計画しているアフガン警察への支援だ。訓練目的で8万人の警察官の給与の半分を日本が肩代わりするというものだが、日本の資金が本当にそのような目的で使われることを責任を持って最後まで日本が確認しない限り、その資金は警察の腐敗構造の中に消えていってしまうことは必至だと伊勢崎氏は言う。
 むしろ日本が一番貢献できる分野は、テロとの戦いの名目でアフガンに侵攻したまま抜けられなくなっている米軍と米軍に支えられたカルザイ政権、そしてタリバンとの間の和解の推進ではないかと、伊勢崎氏は言う。依然としてアフガニスタン人の日本に対する国民感情は良好で、日本は欧米諸国に比べてアフガニスタンにいろいろ提案できる立場にある。実際今月末には、ノーベル平和賞受賞者のアハティサーリ・前フィンランド大統領を議長とするアフガン和平会議が東京で開催され、アフガン情勢の打開策が模索される予定だ。
 オバマ大統領の来日を前に、アフガニスタン情勢の最新情報と、そこで日本ができる貢献とは何なのかを、伊勢崎氏と議論した。
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放送日 2009年11月14日(PART1:47分 PART2:34分)
政府のタバコ規制は必要か

ゲスト:松沢成文氏(神奈川県知事)

 「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。」  これは現在日本で販売されているタバコのラベルに記された警告文だが、タバコによる健康への悪影響が常識となる中、職場や公共交通機関の禁煙が進み、路上喫煙を禁止する条例が全国各地の自治体で施行されるなど、タバコを吸う人の肩身は日々狭くなってきている。全館禁煙のビルの入り口付近には、常にタバコを吸う人の姿が絶えないし、喫煙者をガラス張りの部屋に閉じ込めて、タバコを吸わせている事業所や公共施設も増えてきている。
 そうした中、全国で初めて屋内での喫煙規制にまで踏み込んだ「受動喫煙防止条例」が今年3月、神奈川県で成立した。この条例は、歩きタバコによる事故防止や環境美化などを目的としたこれまでの路上喫煙禁止条例から更に一歩規制を強化するもので、受動喫煙の被害を防ぐ目的で、「公共的施設」内での喫煙にまで規制をかけるというもの。
 ここで言う公共的施設とは、不特定多数の人が集まる場所を指し、公営施設だけでなく民間の施設も含まれる。官公庁や学校、病院や映画館など公共性の高い施設は禁煙、一定規模以上の飲食店や娯楽施設、宿泊施設などは禁煙か完全分煙の措置を講じなければならなくなるため、基本的には神奈川県では、人が多く集まるところではほとんどタバコは吸えなくなったと言ってよさそうだ。しかもこの条例に違反すると、施設の管理者には5万円以下、個人には2万円以下の過料が科せられるという罰則までついた厳しいものだ。
 公共の場での喫煙規制を選挙公約に掲げ、本条例の導入を主導した神奈川県知事の松沢成文氏は、タバコによる健康被害が明らかになった今、タバコを吸わない人が吸う人の煙によって健康を害するのは理不尽であり、受動喫煙から県民の健康を守ることが行政の責務だと主張する。また、日本はたばこ規制枠組み条約に批准しているにもかかわらず、条約で定められた屋内での受動喫煙対策に消極的で、すでに公共空間での喫煙規制が進む海外の大都市と比べても、日本のタバコ対策は遅れているので、国がやらないなら地方から全国的に広げていきたいと抱負を語る。
 タバコは喫煙者自身の健康被害に加え、副流煙や歩行中の事故を含め他人にも被害が及ぶ以上、その是非は全面的に個人の自由に委ねられるべきではなく、政治が一定の役割を演じる責任があるというのが、松沢氏の立場だ。
 嫌煙家にとっては、今回の神奈川県の受動喫煙防止条例は確かにありがたいものかもしれない。なぜなら、これまで個人の判断に任されていたものを、行政が上から規制してくれるからだ。もはや煙を我慢したり、喧嘩になるのを覚悟で、吸うのをやめて欲しいと訴える必要もなくなる。
 しかし、ジャーナリストの斎藤貴男氏は、行政が個人の行動にまで干渉することに対して、公権力による個人の監視・管理の強化につながるだけでなく、それ以上に問題なのは、個人が公権力への依存度を強め、ますます主体性を失っていく風潮を加速しかねないと警鐘を鳴らす。本来ならばコミュニケーションを通じて社会の中で解決すべき問題を安易に行政に委ねてしまえば、ますます我々は自分たちで問題を解決する能力を失ってしまうからだ。
 公共の場での喫煙に対して、政府が規制を加えることは是なのか非なのか。今回はマル激としてはやや異例のスタイルで、行政による喫煙規制の是非をめぐって、喫煙規制条例を推進した神奈川県の松沢成文知事と、自身は喫煙者ではないにもかかわらず嫌煙ファシズムを批判する斎藤貴男氏との議論から、タバコ規制を通じて見えてくる社会のあるべき姿について考えた。
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放送日 2009年11月21日(PART1:43分 PART2:79分)
保守政党自民党の再生シナリオ

ゲスト(PART1):谷垣禎一氏(第24代自民党総裁) ゲスト(PART2):福永文夫氏(獨協大学法学部教授)

 この9月、自民党の第24代総裁に選出された谷垣禎一衆議院議員は、自民党を保守政党として再生させたいと抱負を述べる。しかし、谷垣氏が掲げる「保守政党」とはどのようなものなのか。それを探るべく、マル激は谷垣氏を自民党本部に訪ねた。また、後半は日本の戦後の保守政治を研究している政治学者の福永文夫氏を招き、谷垣総裁が掲げる自民党の保守政党としての再生の課題を議論した。
 先の総選挙での歴史的な大敗により、16年ぶりに総理大臣ではない自民党総裁となった谷垣氏は、55年体制における自民党が果たしてきた役割は主に3つあると語る。一つは憲法9条と日米安保による平和の構築、二つ目は戦後復興と経済成長による国家の繁栄、そしてもう一つが自由体制の維持だ。
 歴代の自民党政権が、日本を自由主義陣営の一員として経済成長を図ることで、歴史上かつて見ないような経済成長を成し遂げてきたことは、紛れもない事実だろう。また、経済成長の果実を、公共事業などを通じて地方に再配分することで国民生活を豊かにすることに成功し、それを地盤に一貫して政権与党の座に就いてきたのが自民党だった。
 しかし、冷戦も高度成長も過去のものとなり、再配分をしようにも、財政は火の車である。自民党政治の必要条件が総崩れとなる中で、2009年自民党は遂に半世紀に及ぶ政権与党としての地位を民主党に明け渡すこととなった。
 谷垣氏は、党の再生のためには、自民党の原点とも呼ぶべき3つの基本路線を再確認した上で、それに加えて「保守政党としての」新たな原則を打ち立てることが必要だと主張する。
 まず、谷垣氏は、再配分政策に舵を切ったかに見える民主党に対して、保守政党としての自民党は「公助の前に自助・共助を重視」し、個人の自立や自由をより重んじる路線をとる意向を明らかにする。また、自分の国に対する大らかな自信と先人の知恵を尊重する態度を重視するのも、保守としての責務になると、谷垣氏は言う。
 更に、「小さな政府」だけでは、地方の疲弊や格差を手当できないとして、小泉構造改革とは一線を画する姿勢を打ち出す。
 果たして自民党は、谷垣氏の考える「保守」の旗の下に、民主党に対抗しうる勢力を糾合することができるのだろうか。
 戦後保守を研究してきた政治学者の福永文夫獨協大学法学部教授は、谷垣氏が考える「保守」は、谷垣氏の出自でもある宏池会の伝統的な流れを汲むものだが、果たしてそれで民主党に対する対抗軸に成り得るかどうかについては疑問を呈する。
 福永氏は民主党も再配分的な政策を多く持ちながら、鳩山代表、小沢幹事長、岡田外相と、いずれも自民党の旧経世会OBがその中枢を占めているのが実情で、その本質においては保守政党としての性格を強く持つという。そのため、伝統的な宏池会路線だけでは、民主党との差別化は難しいだろうと言う。 福永氏は、歴史上保守勢力とは、何ものかに対する対抗勢力であることが前提となるため、まずは民主党の再配分の行き過ぎをチェックするなどして、同じ保守路線の政党でも、再配分のあり方や国権の及ぶ範囲など「度合いの違い」で差異を打ち出していくしかないだろうと言う。
 番組前半で谷垣氏と自民党再生のシナリオを、後半は谷垣氏との議論を引き取る形で、保守政党としての自民党再生の可能性について福永氏と議論した。
 
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