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マル激トーク・オン・ディマンドDVD特別版 「これでいいのか裁判員制度」

マル激トーク・オン・ディマンド(第332回)
2007年08月10日(PART1:56分 PART2:46分)
見えてきた裁判員制度の危うい実態

ゲスト:保坂 展人氏(衆議院議員)

 市民が刑事裁判に参加する裁判員制度の開始を2年後に控え、その具体的な運用内容がようやく明らかになってきた。裁判員の導入を謳った裁判員法は04年の国会で、全会一致で可決されているが、その具体的な内容は、施行までの5年間に最高裁判所諮問委員会で審議されることとされていた。しかし、裁判員の日当から、裁判員選任の方法や評議の進め方など具体的な運用が決定されるにつれて、裁判員制度の新たな問題点が顕わになってきている。
 司法の問題を国会で追及してきた衆議院議員の保坂展人氏は、裁判員候補となった人の思想信条にまで踏み込むような憲法違反をうかがわせる決定が、裁判所と検察庁、弁護士会の法曹三者のごく一部の手で次々と進められていると憤る。
 例えば、裁判員の選任の際に、検察側も弁護側も裁判長を通じて候補者に質問をすることが認められている。もともとは公正な裁判を期するために、原告や被告の知人や利害関係者などを排除することを想定しての制度だが、そこでの質問には、「警察を信用するか、しないか」や「死刑制度に賛成か、反対か」などの、実質的に裁判員となる人の思想信条にまで踏み込むような質問も含まれることが、最高裁が作成した想定問答集で明らかになっている。その結果、「不公平な裁判をする恐れがある」と判断されれば、その人は裁判員から除外される。保坂氏は、「裁判の公平性を担保する」という大義名分のもと、「国家権力の前で、市民の信条や内面を告白させられる」ばかりか、警察を信じ、死刑に賛成の人だけが裁判員として裁判に参加できるような仕組みになっていると指摘する。
 そもそも司法制度改革の議論が始まった当初は、欧米の陪審員制度の導入が想定されていた。しかし、評決権を死守したい司法当局の意向で、市民の権限は裁判員制度という形で大幅に縮小された。そして今、裁判員制度の具体的な運用が明らかになるにつれて、鳴り物入りで始まる裁判員制度が、実際は現状維持色がさらに強いものであることがより鮮明になってきている。
 更に、05年に始まった公判前整理手続きや、裁判員制度の決定の時点では想定されていなかった被害者参加制度などと組み合わさった時、裁判員制度にどのような問題が生じるかについては、まだ未知数の部分が多い。
 泣いても笑っても2年後にはスタートする裁判員制度について、新たに明らかになった問題点とその対策を、保坂氏とともに考えた。
インタビューズ
2008年11月11日(43分)
人が人を裁くとはどういうことか
作家・高村薫氏インタビュー

 半年後に開始が迫る裁判員制度について、死刑制度などで積極的な発言を行っている作家の高村薫氏は、一般人が人を裁くことを意味する裁判員制度には反対の立場を取る。高村氏は、人が人を裁く「裁判」という制度は、法律という一般市民が承認した共同体での約束事に基づいて、法律の専門家が行うことを根拠に成立しているのだと説き、市民感情を根拠に裁判を行うということは理解ができないと語る。また、神の存在がその前提にある欧米の陪審員制度とは、制度の前提が大きく異なることも指摘する。
 人が人を裁くことの意味を問う高村氏に、半年後に施行が迫った裁判員制度の問題点を聞いた。
インタビューズ
2008年11月13日(53分)
今の裁判制度のままでは市民の信頼を得られない

一橋大学大学院後藤昭教授インタビュー

 来年5月21日に開始される裁判員制度について、一橋大学大学院法学研究科教授の後藤昭氏は、必ずしも完璧な制度ではないが、市民が権力の行使に自ら参加し、司法の透明度が上がらなければ、司法への信頼を得られないという理由から、推進の立場をとる。
 なぜ今裁判員制度を行うべきなのか、後藤氏が裁判員制度を推進する理由を聞いた。
インタビューズ
2008年11月14日(41分)
裁判員制度は現行司法制度の問題を解決できない

梓澤和幸弁護士インタビュー
 施行まで半年となる裁判員制度について、表現の自由や報道被害事件を多く担当してきた弁護士の梓澤和幸氏は、裁判員制度とセットで行われる公判前整理手続と、裁判員に課される厳しい守秘義務に大きな問題があると指摘する。
 密室で証拠が「一般市民でも理解できるような形で」選別、整理される公判前整理手続きも、裁判官と裁判員が密室で評決や量刑を話し合う評議も、その内容を一切公表できないことから、その中で問題のある運営が行われていても、メディアも市民社会もこれを知る機会すら与えられていないのが現行の裁判員制度であると、梓澤氏は警鐘を鳴らす。
 このまま裁判員制度が始まれば、日本の刑事裁判にどのような影響が及ぶことが考えられるのか、梓澤氏に、裁判員制度の問題点とその弊害を聞いた。
マル激トーク・オン・ディマンド(第398回)
2008年11月15日(PART1:56分 PART2:59分)
今あらためて問う、この裁判員制度で本当にいいのか

ゲスト:西野喜一氏(新潟大学大学院教授)

 市民が重大な刑事裁判に参加することを義務づける裁判員制度の実施が、いよいよ半年後に迫った。今月に入ってからテレビCMも流れはじめ、月末には裁判員候補者に選ばれた人に対する告知の郵送も始まる。もはや引き返せないところまできているかのようにも見える。
 しかし、これまでマル激で何度となく報じてきたように、現行の裁判員制度は大きな問題点を残しており、人を死刑や無期懲役に処する可能性の高い重大な司法制度の変更がこのまま実施されれば、深刻な問題が起きるとの懸念は根強く残っている。また、この制度だけは、とりあえずまず始めてみて、問題があれば直していきましょう、では済まされない面もある。その間、不当な刑罰を受けたり、場合によっては命を奪われてしまう被告が出てしまう可能性があるからだ。
 そこでマル激トーク・オン・ディマンドでは、2回シリーズで裁判員制度をとりあげ、まず裁判員の問題点を指摘する反対派の論客とともに、その問題点を洗い出した上で、後日推進派にそうした問題をどのように考えているのか、また、それでも裁判員制度を導入するメリットとは何なのかをぶつけるシリーズ企画をお送りする。
 まず2回シリーズの前半となる今回は、裁判員にのしかかる過度の負担、公判前整理手続と裁判の簡略化によって失われる精密司法の伝統や、その結果冤罪や誤判の可能性が高まる危険性、厳格な守秘義務規定によって制度の問題点をチェックできない問題などを洗いざらい議論した。
 また、インタビューで登場する作家の高村薫氏による「そもそも人が人を裁くことの意味」やゲストの西野喜一氏による「裁判員制度違憲論」など、この制度の持つ哲学的な矛盾点や憲法上の疑義も取り上げた。
 議論を通じて浮き彫りになってきた裁判員制度の最大の疑問点は、「市民参加」「開かれた司法」などの一見美名の元に、実は全く正反対の効果を生む危険性が高いことにある。
 市民参加と言っても、それを口実に公判前整理手続で論点が大幅に絞り込まれてしまうことで、弁護側は検察のシナリオに対して疑義を差し挟む機会を奪われることになる。
 また、裁判員になった市民はそこでの経験を一切口外してはいけないことになっているため、実際に裁判に参加した裁判員と市民社会全体が、経験則や参加意識を共有することはまず難しいことも問題だ。
 さらに、実際の判決や量刑を議論する評議の過程で、裁判官が裁判員にどのような説明を行うかによって、法律の知識が限られる市民は容易に説得や操作が可能になると思われるが、そこでのやりとりは表には一切出てこない。それを裁判員が明らかにすれば罪になるからだ。評議が割れた場合は多数決で評決や量刑が決まるのだが、それが割れたかどうかも、公表はされないし、裁判員はそれを口外してはならないのだ。
 無論法律の知識も限られ、人を裁いた経験も無い一般市民は、特に凶悪な犯罪に対しては情緒的な反応をしてしまう可能性が高い。被害者の司法参加によって、さらに感情的な判断をしてしまうリスクも高い。これもまた、裁判員の参加が被告人の利益となる蓋然性は低いと言わざるを得ない。
 中には、「開かれた司法を装いながら、実は統治権力側によって、より重罰化への流れを正当化するための道具に使われる」、「裁判員に結果責任の一部を押しつけることで、司法が責任を逃れるための口実になる」など、本来の制度の趣旨とは正反対の影響を懸念する向きもある。そして更に根本的な問題として、「いろいろな問題が起きていても、それが守秘義務などによって表には出てこないようになっているため、問題があってもそれが直らない制度設計になっている」など、根本的な欠陥も指摘された。
 元判事で、裁判員制度に強く反対の意を表明している西野氏とともに、半年後に迫った裁判員制度の実施を前に、今あらためてその問題点を見直すと同時に、仮にこのまま制度が施行された場合、どのようなリスクが内在されているかを考えた。
マル激トーク・オン・ディマンド(第408回)
2009年01月31日(PART1:88分 PART2:23分)
それでも裁判員制度は必要だ

ゲスト:河合幹雄氏(桐蔭横浜大学教授)

 賛成、反対の双方のゲストをそれぞれ招き、2回シリーズでお送りしている裁判員制度の再検証企画。裁判員制度に反対する新潟大学大学院教授の西野喜一氏を招いての第1回目(第398回・08年11月15日放送)に続き、2回目となる今回は、裁判員制度の導入を支持する法社会学者の河合幹雄氏を招いて、なぜ氏がさまざまな問題点が指摘される裁判員制度の導入を支持しているのかを中心に議論した。
 河合氏は、刑事司法という狭い範囲ではなく、日本の民主主義全体のメリットを考えたときに、裁判員制度は必要との考えを示す。氏は、現在の日本の最大の問題は、市民一人一人が社会を支えているという自覚に欠けていることであるとの考えを示した上で、裁判員制度の導入によって、市民が否が応でも社会参加を強いられれば、それはひいては日本の民主主義の成長に寄与するだろうという考え方を示す。 
 指摘されている裁判員制度の様々な問題点について河合氏は、かなりの部分が運用次第のため、それほど懸念には値しないとの考えを示す。例えば、裁判員制度を導入すると、情緒に流された判決が出やすくなるため、これまでの判例を無視した重罰化の流れが進むのではないかとの懸念については、日本人の気質として、普段はいい加減そうに見える人でも、裁判員に選ばれれば非常に真面目に取り組むので心配はないだろうと言う。そのため、とんでもない判決が出るよりも、むしろ旧来の制度よりも無罪が多くなる「弊害」を懸念すべきだと言う。
 また、透明性を欠いた公判前整理手続や、厳しい守秘義務については、裁判員制度の対象となる殺人事件などは年間で約3000件あるが、被告人が犯行を否認し事実が争われる事件は少ないことを指摘した上で、事実が争われない裁判では、公判前整理手続は重要とならないとの見方を示す。また、裁判員に課せられた厳しい守秘義務についても、詳細が決められていないため、これも運用次第では問題になり得るが、それほど懸念には値しないとの立場を取る。しかし、もしも本当に問題があれば、裁判員は守秘義務を破ってでも民主主義のために声をあげるべきと河合氏は語る。
 河合氏は、裁判員の感情に影響を与える可能性のある被害者の裁判への参加制度には問題があるとの考えを示す。総論で導入に賛成の河合氏から見ても、各論レベルでは裁判員制度にはまだかなり改善の余地は残されているようだ。また、運用次第でやってみなければわからないという部分がかなり多いことも見えてきた。
 それでも裁判員制度は必要との立場を取る河合氏に、制度導入の経緯も含め、ここまで明らかになった裁判員制度の問題点をぶつけた。
 
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