2012年2月11日
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除染モデル事業に同行してわかったこと

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 国・内閣府が昨年、日本原子力研究開発機構(略称:JAEA)に委託、企画公募で決定した大手建設会社の共同企業体による「除染モデル実証事業」が終盤を迎えている。これは警戒区域や計画的避難区域等で国が行う除染作業において、効果的な方法や作業員の被曝状況、廃棄物の種類や量など、除染の実態を確認するのが狙いとされるもの。2月9日には、除染作業や汚染土壌等の廃棄物の仮置き場、除染後の山林の様子などが報道関係者に公開され、同行取材を行った。
 事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所から約1.5キロにある除染後の山林では、放射線の数値は除染直前で毎時100マイクロシーベルトだったが、除染後は60マイクロシーベルトまで低下。しかし、除染後も依然として高い線量であることには変わらず、森林汚染の深刻さと除染作業の困難さが改めて確認された。JAEAは「これまでに行った下草や土砂の除去だけでなく、枝落としなどにより、木々から降下する放射性物質の除去が必要である」とし、さらなる森林除染対策を検討していることを説明した。
 除染作業が進むにつれて、仮置き場には大量の汚染土壌を入れた「フレキシブルコンテナバッグ」が次々と運び込まれる様子も公開。除染を進めれば汚染土砂が大量に排出され、各地で「どこを仮置き場にするか」という新たな社会問題が起きる可能性を浮き彫りにした。
 それぞれの視察地や通過地点では、放射線量が毎時20マイクロシーベルト以上、場所によっては50〜70マイクロシーベルトのところもあり、マイクロホットスポットと呼ばれるような狭い範囲の高線量地域の存在も確認された。特に地元で議論となっているのはその高額な予算。対象の12自治体ごとに半年弱の事業で、おおよそ各6億円、総額では約100億円がざっと見積もられている。JAEAは、効果的な除染に向けた「研究事業」というが、地元・福島では、「実態として大企業が受注した土木事業と同じ構図」と指摘する事業者もいる。
 この実証実験で、仮に費用の割に効果が上がらなかったり、作業員の健康に影響があるなど、具体的なリスクや論点が明示され、「除染作業の是非」まで議論する余地が出てくるのか。それとも「どんなに予算をかけてでも、とにかく全域で除染を進める」という「実施ありき」の単なるアリバイづくりの事業で終わるのか。近く出される結果が注目される。
 視察に参加した医療ジャーナリストの藍原寛子氏がモデル実証事業からみた除染の現状と課題などをレポートする。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
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