2012年2月18日
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市民グループによる「サテライト保育」広がる

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 依然として高い放射線量が計測される福島県内の各地域では、子供たちへの放射線の影響を最小限に抑える目的で、市民グループやNPOが、地域を離れて子どもたちを保育したり、レクリエーションを行う「サテライト保育」「サテライト保養」などの活動が始まっている。
 避難や保養を支援している市民グループの担当者によると、「現時点で避難できる家庭はすでに避難してしまった。今残っているのは、避難したくてもできない家庭」だという。親の仕事や子どもの学校、高齢の家族の介護などで「本当は避難したいけれども、できない」という家庭や、「できる限り、子どもの被曝を減らしたい」と考える父母らへの支援のため、次善の策として、「サテライト保育」という取り組みがある。福島県内あるいは県外で、より線量の低い地域に子どもたちを連れて行き、保育をしたり、レクリエーション活動をするもの。
 郡山市の「NPO法人 移動保育プロジェクト」、略称ポッケア(上國料竜太代表)では、週末を中心に活動を実施。郡山市より5分の1程度の線量が低いところにバスや車で移動し、子どもたちや父母らによるスポーツイベント、レクレーション活動など交流事業を行っている。
 先月、猪苗代町のスキー場で行われた移動保育では、子どもたちだけでなく、父母らも一緒に雪遊びを満喫し、楽しいひと時を過ごした。
 県内ではほかにも、福島市から隣の山形県米沢市に拠点を移して「サテライト保育」に取り組む「青空幼稚園たけのこ」(辺見妙子代表、)や、福島市で線量の高い渡利地区の親子を対象に週末だけ放射線量の低い土湯温泉で過ごす「渡利ぽかぽかプロジェクト」なども行われています。それぞれの活動は寄付金で賄われており、報道もされているが、ボランティアなどの人手不足、資金不足などの壁もある。
 こうしたサテライト保育が実施される背景には、住民票のない自主避難先の市町村認可保育所に入所する「広域入所」を認めないという市町村があったことも要因。広域入所とは、児童福祉法第56条の6、第1項で、その市町村に居住する児童を他の市町村の保育所に入所させるという制度だが、そもそもは、里帰り出産家庭の子どもや、親の勤務先と住居の自治体が違う家庭などが対象だったため、今回の震災に伴う自主避難先での入所を認めない自治体があった。
しかし、福島県が各自治体に「広域入所」への協力を求める文書を出したり、自主避難者への行政支援が広がっていること、市民の要望が増えたことなどから、昨年末から今年に入って、福島市、郡山市は自主避難先での広域入所を認める方針を認めた。
 サテライト保育の現状と、自主避難者の認可保育園広域入所への対応などを医療ジャーナリストの藍原寛子氏がレポートした。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
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