2012年6月23日
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放射性廃棄物の処理に戸惑う地元自治体の現状

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 福島県内では原発事故で飛散した放射性物質の除染作業に伴い発生する廃棄物を一時保管するための仮置き場問題が深刻になっている。市町村は、除染に伴って出された廃棄物を搬出・保管する「中間貯蔵施設」が決まっていないため、「苦肉の策」として、市内の行政区の単位ごとに一時保管する「仮置き場」を、住民の話し合いなどを経て決定、暫定的に保管する方針を打ち出しているが、これがなかなか決まらず、とくに福島市や郡山市など放射線量が高い都市部では、除染作業はモデル地区等を除いて、あまり進んでいないのが実情だ。
 例えば、福島市大波地区は、市内でも特に放射線量が高い場所の一つで、市は業者やボランティア、住民らによる住宅、公共施設、道路などの除染を行ってきたが、昨年10月から、排出された廃棄物の仮置き場を地域内に設置した。
 仮置き場にはL字型のコンクリート側壁を建築し、底部と側面を遮水シートで覆い、除染で出た放射性物質を含んだ土砂や落ち葉などを入れたフレキシブルコンテナバッグを搬入する。地区内418世帯から出た廃棄物はバッグ約8500個で、今後は約2倍の16000個まで増える予定。
 ところが、福島市は現在、仮置き場の場所を公表していない。「大波地区の住民に不安を与えない」「地区外から除染に伴う廃棄物が不法投棄されるのを防ぐため」というのがその理由だが、仮置き場をどこにするかという議論が各地域で進んでいるため、そうした議論に影響を与えたり、住民に動揺を与えたくないとの思惑がある。国や県は、仮置き場に国有地や県有地を利用することなどを検討し、一部は確保できたと発表しているが、居住地域から離れ、住民が安心できる場所に、十分な広さを確保することは難しい。NIMBY(ノット・イン・マイ・バック・ヤード=自分の身近なところに迷惑施設を置きたくない)という住民感情と、「出口のない放射性物質を含む除染廃棄物問題」が絡まり、難航しているというのが実態だ。
 先行して除染作業が進められた各学校も頭を悩ませている。郡山市や二本松市の小中学校では、校舎周辺や側溝の除染、屋外プールの除染工事が進められている。昨年は全県的に中止された屋外プールの使用も、今年はプールシーズンを迎えて、国、県は基本的に「使用OK」とした。ただし最終的な可否はそれぞれの市町村、学校の判断に任された。二本松市は基本的にプール使用解禁の方針だが、放射線を計測すると、特にプールサイドのコンクリートブロックの線量が高いことが分かり、現在、線量の高い部分のコンクリートをはがして新たに敷設するといった土木工事を行っている。
 ここでもやはり、除染で排出された廃棄物問題に直面している。中間貯蔵施設が決定して搬出されるまで、学校の校庭に一時的に埋設することになったが、子どもたちが走り回る校庭の下を「仮・仮置き場」として使わざるを得ない状況になっている。
 除染に伴う廃棄物処分場問題について、神保哲生と医療ジャーナリストの藍原寛子氏が議論する。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
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