2012年12月21日
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IAEA国際会議に福島の住民が反発

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 総選挙まっただ中の12月15日、日本政府とIAEA(国際原子力機関)による国際会議「原子力安全に関する福島閣僚会議」が原発事故の被災地である福島県郡山市で開催された。IAEA加盟120か国が参加した。福島県や福島県立医大、外務省が除染、放射線モニタリング、健康の3分野でIAEAの協力を受けることで合意。今後IAEAは福島県内に拠点を置いて、支援活動を展開する。
この国際会議は2011年5月、当時の菅直人首相が提唱。今年8月に佐藤雄平福島県知事がウィーンのIAEA本部を訪れ、天野之弥事務局長に福島への支援を要請して開催が決まった。表向きは原発震災に遭った福島県民への支援だが、実際には別の側面もあった。
 会議に先立って、来日した各国の出席者は福島第一原発を視察したが、天野事務局長が「防護服は着ずに、マスクと手袋だけで回れるようになった」と話したことが報じられたり、日本産食品の試食会が開かれるなど、海外の出席者に安全性をアピールする内容も盛り込まれた。
 福島県・福島県立医大・外務省とIAEAがそれぞれ取り交わした覚書の内容は、県民健康管理調査に関して、県民の個人情報保護やインフォームド・コンセント(説明と同意)の確認など不明確な点が多い。本来は県民の健康のために分析されるデータについて、どこまで第三者がチェックできるのか具体的な説明は行われていない。
 もう一つの課題は、脱原発を決めた福島県が、「原子力の平和利用」を掲げるIAEAの協力を仰ぐことが、本当に県民の意思に沿っているのか議論の余地がある。原発に関する立場が異なる組織による協力関係は、「利益相反」の可能性もあるからだ。
 会議には、今後、原発事業を導入したいアジアの新興国の代表、各国の電力会社の代表なども参加、新興国で電力不足が顕著になるなかで、「福島の安全が確認できれば、できるだけ早く自国に原発施設を建設したい」と考える出席者もいて、関係者による情報交換やロビー活動が盛んに行われた。
 会場の外では、住民を中心として反原発を訴える人々による抗議活動が展開された。IAEAの活動をウォッチするグループ「フクシマ・アクション・プロジェクト」や、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの代表者らは、「福島原発事故はまだ終わっていない。事故を過小評価しないでほしい」「福島県内の原発を全て廃炉にするよう日本政府に働き掛けてほしい」「子どもや若者の被害の最小化に努めてほしい」などとする要請書をIAEA報道官に手渡した。
 会議の映像を交えながら、神保哲生とジャーナリストの藍原寛子氏がレポートする。

 
藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)
1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。  

 

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