沖縄返還の日米交渉の際に交わされたとされる密約文書の公開を求める裁判で、12月1日、当時外務省のアメリカ局長を務めていた吉野文六氏が東京地裁に証人として出廷し、これまで一貫して政府が否定し続けてきたいわゆる「沖縄密約」の存在を初めて法廷で証言した。
「過去の歴史を歪曲(わいきょく)するのは、国民のためにならない。」
吉野氏はそう語るとともに、歴史の事実を伝えることが「日本の将来のため有益になると信じるようになった」と、証言をするに至った動機を説明した。
吉野氏は日米間で沖縄返還交渉が行われた当時、外務省のアメリカ局長として、交渉を担当する立場にあったが、72年に密約の存在をすっぱ抜き、国家公務員法違反で有罪となった元毎日新聞記者の西山太吉氏の刑事裁判では検察側証人として密約の存在を否定していた。
一方、吉野氏とは別に記者会見にのぞんだ西山氏は、「(過去に)偽証した本人が、偽証しないと宣誓して発言したのだから、相当な覚悟があってのこと」と語り、吉野氏が法廷で密約の存在を認めたことを高く評価した。西山氏はまた、「不自然なところも多々あったが、サインを認め、局長室で交わしたのも認めた。これで十分だ。」と語り、法廷という場で40年ぶりに再開した吉野氏と固い握手を交わしていた。
参考資料:
吉野文六氏陳述書(PDFファイル)