2011年8月13日
  • 文字サイズ
  • 印刷

自主避難者が補償を求めて東電に請求

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 東京電力福島第一原発事故で自主的に避難をしている人やこれからの自主避難を考えている人たち411人が12日、原子力損害賠償法に基づく損害賠償の請求を東電に対して行った。書類提出後に、都内で記者会見し、請求書の内容などを説明した。
 自主避難者は「自主避難は自己責任と認識されてしまい、賠償や行政のサポートが得られないが、自主避難者にも正当な賠償がなされるべき」と、賠償金の支払いを要望。東京電力福島補償相談室の紫藤(しとう)英文部長は「原子力損害賠償紛争審査会の判断を見て対応する」と述べるに止まった。
 記者会見に同席した自主避難者を支援する「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)」の弁護士によると、411人は福島市、郡山市、いわき市など避難指示区域外の人で、請求総額は11億7,000万円以上(詳細は現在集計中)。1人当たりの平均は約300万円(慰謝料含む)で、最高で1,000万円を超えた人もいるという。項目別の平均額をみると(全員が全項目を請求しているわけではない)、慰謝料約173万円、休業損害約140万9千円、引っ越し代約29万7千円、宿泊費約15万5千円、交通費約13万7千円。
 これまで政府の決定によって強制的に避難を強いられた住民に対しては、東京電力は仮払いなどを行ってきているが、自主避難者の補償については現在、原子力損害賠償紛争審査会で議論されているものの、東電からの補償は行われていない。枝野官房長官は、自主避難者にも賠償の必要性を認め、東電を指導していく方針を明らかにしたが、東電側は具体的な対応は取っていない。
 弁護士は「今後、もしも支払いがなされなければ、紛争審査会の下に設けられるADR(裁判外紛争解決組織)に和解仲介を申請することになるだろう」との見通しを示した。
 県内各市町村が把握している避難者は約7万1千人で、県内が9,077人(11日現在、県調査)、県外は48,903人(7月28日現在、総務省調査)。県によると、この差の1万3千人弱が自主避難とみられる。地元または避難先の自治体に届け出ていない人がいたり、一時的な避難もあり、正確な人数は把握できていない。
 同ネットワーク共同代表の河崎健一郎弁護士は「自主避難者は予防原則に立ち、やむにやまれず避難したのであり、合理的とのメッセージを発していきたい」と話した。また、自主避難した杉本渉さんは「自主避難はお金がかかる。経済的に厳しい人は、避難したくても避難できないのではないか。今は都などの支援があるが、自治体が受け入れてくれる状況があっても、手持ち資金がないと厳しい」などと現状を話した。
 このほか、震災後多くの医師が県外に移転したために医師不足が深刻化している福島県内の病院の状態や、前週報告された夏休みを境にした児童・生徒の県外転校の動きについての続報など福島県内の実情を、藍原寛子氏が報告する。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
安全保障関連法
沖縄米軍基地問題
スタッフ募集
  • 登録
  • 解除