2012年03月24日公開

チェルノブイリ事故から26年・今も活動を続けるフランス市民放射能測定所

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ゲスト

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。

司会

概要

 東京電力福島第一原発事故による放射性物質の拡散は、食や健康に対する不安を全国的に広げ、福島県をはじめ全国各地に市民放射能測定所が開設された。こうした放射性物質を可視化する動きは、1986年ソ連のチェルノブイリ原発事故でもヨーロッパ各国に広がった。原発や核関連施設を多数持つフランスも同様で、チェルノブイリ事故から数か月のうちに、市民放射能測定所が市民の力で各地にオープンし、活動を始めた。
 当時から活動を続けるNGOのうち、福島原発の事故直後に来日して、福島県民の支援活動を行った2団体、フランス南東部ヴァランスにある「クリラッド」(CRIIRAD)と西部ノルマンディ地方カンにある「アクロ」(ACRO)を、現地を訪れた医療ジャーナリストの藍原寛子氏が取材した。
 「クリラッド」は、 “原発銀座”と言われるローヌ川沿い、ヴァランス地方を拠点に、環境測定と監視活動を続けている。6か所の空気の自動モニタリングポイントを24時間稼働させ、職員の携帯電話に自動で数値が入るシステムを運用している。同時にこのポイントのエアフィルター分析も行い、両方の結果をチェックしながら、行政や原発が発表している数値が正しいものか、数値の急増が起きていないかを確認している。
 「アクロ」は、フランスの西海岸、ノルマンディ地方に研究所を構え、ラ・アーグ再処理工場、シェルブールの核軍事施設、フラマンヴィル原発周辺の土壌や、600キロにわたる沿岸の環境汚染を継続的に調査・監視している。3月8日には、2年に1度行われる海岸調査がグランヴィル海岸で行われ、アクロの職員と地元のボランティアが岩場の貝やコンブ、海水などを採取した。
 チェルノブイリから間もなく26年。フランス国民も事故当時の状況を忘れがちで、若い人たちの中には、事故当時を知らない人も増えており、一般市民の関心も低くなっていた。しかし予算の確保や中立性の担保などで苦労と工夫を重ねながら、四半世紀の間、活動を続けてきた。
 「クリラッド」は福島市の「CRMS市民放射能測定室」と連携して、測定方法を市民に普及させるワークショップを開催した。「アクロ」は「福島老朽原発を考える会(フクロウの会)」と連携して、福島県を中心とした子どもの尿検査を実施。日本側の測定とクロスチェックして、結果を公表している。3月11日で震災から丸1年を迎えたが、被災地の復興はまだまだ進まず、福島県内外の原発事故の被災者に対しては、長期的に継続した支援が望まれる。フランスのこれら2団体の活動から、今後の支援についての工夫や課題が見えてくる。

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