2011年10月22日
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市民団体による被曝手帳の配布始まる

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 福島県内の市民団体など2団体が、震災以降の行動や健康状態などを記録できる「被曝手帳」を独自に作成し、今月から配布を始めている。
 これは福島市の市民放射能測定所が作成した「生活手帳」と、飯舘村の若手村民による「負げねど飯館」の「健康生活手帳」の二種類。子どものいる家庭や住民らに無料で配布している。
 それぞれ名前は「生活手帳」、「健康生活手帳」となっているが、将来、何らかの健康被害等が生じた時の訴訟や賠償請求のために、原発事故以降の自分の行動を詳細に記録できるようになっている。
 いずれも広島、長崎の被爆者団体や医師、専門家などからのアドバイスをもとに作成されたもので、原発事故以降のできごとを詳細に記録した出来事カレンダーを見ながら、その時々の自分の行動を書き入れる行動記録欄や、屋内・外での滞在時間と場所、屋外での作業内容、雨に濡れたかどうか、マスク着用の有無、飲食の内容、健康状態なども詳しく書き入れられる。
 手帳を作成した市民団体「負げねど飯館」の佐藤健太さんは「飯舘村の住民が避難でバラバラになってしまったので、この手帳を手渡しで配布し、配布した後にみんなで持ち寄って話し合って書き入れるような機会を作ってコミュニケーションを図る機会にしてほしい。飯舘村でも非常に線量が高い場所があり、一人ひとりが村のどこにいたのか、自分たちで記録していくことが大事」と話している。
 また、負げねど飯館では、ホームページから誰でも手帳の内容を無料でダウンロードできるようにしたという。市民団体が手帳の作成・配布に踏み切った背景には、約200万人の県民を対象にした福島県の県民健康管理調査の基本調査(問診票の回収)が進んでいないことが理由の一つとしてあげられる。県では行動記録を書き入れる問診票を6月末に川俣、浪江、飯舘村など先行調査区域の29000人に、8月下旬からは、それ以外の地域の202万人に順次発送を開始した。すでに8割以上の県民に発送したものの、回収率は3—47%と低い数字に止まっている。
 また、この問診票では、行動記録を書き込めるのは3月11日から25日までの2週間に限られ、ヨウ素の外部被ばく推定が中心であることや、体調不良や鼻血など体調に関する記入項目がない。最近、県では書き入れ方の映像を作成して県のホームページで紹介したりDVDを配布しているが、県の啓発不足もあり、県民から見るとあまりメリットが実感できない事業になっている。
現地で取材を続ける藍原寛子氏がレポートする。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
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