2011年12月17日
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将来の健康被害に備えて毛髪と歯の保存運動が始まる

報告:藍原寛子氏(医療ジャーナリスト)
スペシャルリポート

 将来、放射線の内部被ばくの影響で健康被害が出た場合の治療や補償などに備えるため、福島県で毛髪を保存する運動が始まった。千葉県松戸市では乳歯から被ばくを解明しようという試みが検討されている。
 福島県や周辺の地域では3月の福島第一原子力発電所の事故以降、多くの住民が放射線に被ばくをした可能性が高い。しかし、放射線被曝による健康被害の症状が顕れるまでに5年以上の年月を要する場合が多いため、いざ病気が発症した時にその原因を証明できない恐れがある。
 そこで、内部被ばくの状況を解明するためには、毛髪や歯の保存が有効というのだ。専門家によると、毛髪は血液や尿などと同様にバイオアッセイ(生物検定)法で被ばくの状況を測定できるという。骨と同じカルシウムでできている歯はストロンチウムが蓄積されやすい性質を持つ。
 福島県内にある1,600の理容店が加盟する福島県理容生活衛生同業組合(中野竹治理事長、郡山市)は9月から「毛髪保存運動」をスタートさせた。店内の待合コーナーやカットスペースの鏡に「毛髪保存運動」というお知らせを掲示して、要望があればカットした髪を袋に入れて持ち帰ってもらう。
 同組合の話では、内部被ばくの不安解消のため「組合としてできることは何か」を考えた結果、毛髪を保存するのが有効という学説を知った。理事会に諮ったところ、賛同が得られた。利用客からも好評という。
 千葉県松戸市内では、生え変わりで抜けた子どもの乳歯(脱落乳歯)の保存運動に向けて議論が始まった。同市の藤野健正歯科医師や地域の住民、福島県から避難してきた人たちが参加する勉強会で、乳歯の保管法や専門機関に分析を依頼する方法、内部被ばくの予防法などについて意見交換している。
 毛髪と歯の保存運動の現状を医療ジャーナリストの藍原寛子氏がレポートした。

藍原 寛子あいはら ひろこ
(医療ジャーナリスト)

1967年福島県生まれ。1990年千葉大学文学部行動科学科卒業。同年福島民友新聞社入社。マイアミ大学医学部移植外科、フィリピン大学哲学科などの客員研究員、国会議員公設秘書を経て、2011年よりフリー。
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