一人も取り残さない災害復興をめざして
NPO法人さくらネット代表理事
1961年大阪府生まれ。85年京都教育大学理学科卒業。厚生労働省「医療安全対策検討ワーキンググループ」、「中央社会保険医療協議会」、「産科医療補償制度再発防止委員会(日本医療機能評価機構)」、群馬大学附属病院医療事故調査委員などの委員を歴任。著書に『ぼくの星の王子さまへ』、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』。
出産の際に重大な事故が相次いで起きていたことが、今年になって次々と明らかになっている。
大阪、神戸、京都で合わせて6例、そのうちの3例は、同じ産婦人科診療所で起きていた。そのうち5例はお産の痛みを和らげる「無痛分娩」の際の事故だったため、日本産婦人科医会が無痛分娩の実態について調査を始めている。
実は、産科医療については、2009年にできた産科医療補償制度があり、ほとんどの医療機関が入っている。お産の事故で子どもが脳性まひになった場合、3000万円の補償が出る。合わせて原因分析を行い、再発防止につなげる、という制度だ。脳性まひの子どもの数は減少し、合わせて訴訟の数も減ってきている。
産科医療補償制度の再発防止委員会の委員で、自らも陣痛促進剤(子宮収縮薬)の被害で産まれた子どもを亡くした経験を持つ勝村久司さんは、制度について一定の評価をしたうえで、まだ不十分なところがあると指摘する。母親が重度障害になった場合や出産後6カ月までの子どもが死亡した場合などは、補償の対象になっていないからだ。
もう一つ、大きな課題は、基準から逸脱している医療を行っている医療機関に対して改善を促すことが十分にできていないことだ。原因分析を行っても当該医療機関に結果を返すだけで、指導がされているわけではない。
産科事故で子どもを亡くした経験をもつからこそ、二度と繰り返してほしくないと再発防止のために活動をつづける勝村久司氏に、ジャーナリストの迫田朋子が聞いた。