2015年6月25日
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盗聴権限の大幅拡大で盗聴捜査が日常化する
盗聴法改正案の問題点を山下幸夫弁護士に聞く

インタビューズ (2015年6月25日)

 安全保障法案の審議の陰であまり注目をされていないが、今国会では警察の盗聴権限を大幅に拡大する盗聴法の改正案が審議されている。盗聴法の問題に長年取り組んでいる山下幸夫弁護士はこの法案が可決すれば、刑事捜査において盗聴が日常的に行われるようになる恐れがあるとして、法案の危険性に警鐘を鳴らす。

 今回の改正案のポイントは盗聴の対象となる犯罪の種類の大幅な拡大と、警察署内からの盗聴を可能にする技術面での制限の緩和の2点だ。

 対象犯罪としては、これまでの「薬物犯罪」「銃器犯罪」「集団密航」「組織的殺人」の4類型に加え、窃盗、詐欺、恐喝、強盗などの財産犯や、障害、障害致死、普通殺人など新たに9つの犯罪が追加されることになる。

 これによって「盗聴の対象が普通の犯罪にまで広がり、刑事捜査において盗聴が日常的に行われる恐れがある」と山下氏は言う。

 盗聴は盗聴している事わからないからこそ、盗聴の意味がある。しかし、同時にそれが濫用の危険性を孕む。外部からチェックを受けないのであれば、法に触れる盗聴を行ったところで、罪に問われる心配をする必要がないからだ。

 その意味で今回の法改正では、技術面での制限の緩和が大きな意味を持つ。この法改正によってパソコンを使って警察署にいながらにして盗聴が可能になる「特定電子計算機」が導入されるが、これによって盗聴権限の濫用の危険性が大幅に高まると山下氏は指摘する。

 これまで警察が盗聴を行う場合、捜査官が通信事業者に出向き、通信事業者の職員の立ち会いの下で、盗聴が行われる必要があった。しかし、特定電子計算機が導入されると、捜査官はパソコンを通じて、警察署に居ながらにして、日本全国どこの電話も盗聴することが可能になる。そこには立ち会い人も要求されていない。

 法案では盗聴した通話はすべてブルーレイなどの記録媒体に記録され、媒体ごと裁判所に提出されることになっている。しかし、警察書の密室の中で、立ち会い人もいないまま行われる盗聴では、録音しないまま盗み聞きが行われたり、録音したメディア媒体が複数あった場合、そのすべてが裁判所に提出される保証はない。事実上、外部監査がまったく存在しない状態の下で行われた盗聴が、法に則ったものになると考えるのは、警察性善説に立った見方と言わねばならないだろう。

 法案の成立が確実視される盗聴法の改正案の問題点について、ジャーナリストの神保哲生が山下幸夫弁護士に聞いた。

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