2022年09月17日公開

電通は内部・外部のチェック機能が働いていないことが問題

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司会

概要

 電通社員の過労自殺事件の遺族代理人を務めた川人博弁護士が、ビデオニュース・ドットコムの取材に応じ、かつて裁判で対峙した電通の体質などについて自らの経験を語った。

 川人氏はそれぞれ1991年と2015年に過労自殺した大嶋一郎さんと高橋まつりさんの遺族代理人を務め、裁判で電通を争った経験を持つ。その川人氏は裁判を通じて、電通は売上第一の体質が強い体育会気質を持った企業で、精神主義がまかり通っていたという印象を強く持ったという。

 1991年の大嶋一郎さんに続き、2015年に高橋まつりさんを自殺に追い込んだ原因の一つとして、川人弁護士は若い社員が人権を無視した苛酷な労働を強いられていたにもかかわらず、労働組合や産業医など社内のチェック機能が働いていなかった問題を指摘する。

 2000年に大嶋さんの裁判で1億6800万円もの賠償責任を命じる判決を受けた後、電通では一時的に社員の待遇に改善が見られたが、しばらくするとまた元の体質に戻ってしまったことが、2015年の高橋まつりさんを自殺に追い込むような事態につながったと川人氏は残念がる。川人氏はまた、2015年以降は電通本社の社員の労務環境には改善がみられるが、その分のしわ寄せがグループ会社や非正規職員にいっていることが懸念されると語る。

 さらに川人氏は、2000年に大嶋一郎さんの過労自殺事件で会社側の責任を全面的に認めた判決が東京地裁で出た時も、メディア、とりわけテレビはほとんどそのニュースを報じなかったことを指摘した上で、電通のメディアに対する支配的な地位が、電通が抱える問題に対する外部からのチェック機能が働かなかった原因の一端となっていると指摘する。

 とは言え、これまで既存のメディアで圧倒的なシェアを持つ電通も、インターネット広告市場では主導権を握ることができておらず、広告売り上げの総額でもネット広告大手のサイバーエージェントなどの激しい追い上げにあっている。メディアに対する支配力に依存した経営がいつまでも続けられるわけではないことは、電通自身が一番よくわかっているはずだ。

 二度にわたり裁判で電通と戦ってきた川人弁護士に、電通とはどんな会社で電通が抱えている問題は何なのかなどを、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。

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