薬物依存症には刑罰ではなく治療が必要なことを知って欲しい

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長


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日本大学アメリカンフットボール部の部員が乾燥大麻と覚醒剤を所持していたとして逮捕された問題で、同大学の林真理子理事長ら幹部が8月8日、記者会見を行い、大学が事件を隠蔽していたとされる批判に対して反論した。
会見を行ったのは林理事長のほか酒井健夫学長と澤田康広副学長の3人。
林理事長は7月28日には警視庁の鑑定で覚醒剤と大麻が発見されていたにもかかわらず、今月2日のメディア取材で「まだ違法薬物は見つかっていない」と語ったことについては、「その時点では学生寮で発見されたものが違法な薬物かどうかを警察が確認しているところで、結果の連絡を受け取っていないという意味だった」と釈明した。
また、隠蔽の指摘について林氏は、「隠蔽といわれることは非常に遺憾」とした上で、いち早く情報を公表しなかった理由として、状況を把握できていなかったからだと反論した。また、「ぎりぎりまで学生の潔白を信じたい思いだった」とも述べた。
さらに林氏は、大学のスポーツ部門に対しては「遠慮があった。スポーツの組織も分からないし、昔からいるコーチもよく知らず、グラウンドに行く機会もなかった」とした上で、「実は一番重たい問題を抱えていたのはスポーツの分野だったということをこの会見で認識した」と語り、今後はスポーツ部門の改革を進めていく意向を示した。
スポーツ部門を統括する澤田副学長は、6月末に警察からアメフト部の寮で大麻使用の噂があると情報提供を受け、学生の荷物検査をした結果、7月6日に植物片が入ったビニール袋を発見していたことを明らかにした。澤田氏はビニール袋を保管し、その所有者の学生に自首を促したが、結果的に学生は自首をしないまま、2週間後に警察の強制捜査を受けることになったという。
自首を促すためとはいえ2週間、違法薬物を大学が保持していたことについて澤田氏は、教育機関である大学は学生のことを一番に考えるのが当然だと考えたとして、隠蔽の意図を否定した。
更に、昨年来、保護者などから大学の寮内で大麻使用の疑いがあることを指摘されながら、今回の逮捕にまで至ってしまったことについて澤田氏は、大学として独自に調査は行ったが大麻の使用は証明できなかったと説明した。