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2025年06月19日公開

給付金と進次郎人気だけで自民党は選挙に勝てるつもりなのか

ポリティコ ポリティコ (第39回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2025年09月19日23時59分
(あと90日18時間37分)

概要

 最終盤を迎えた国会は、野党第一党の立憲民主党が内閣不信任決議案を提出するかどうかを巡り、ぎりぎりの攻防が続いている。実際に不信任案が提出されれば、野党の賛成多数で可決する可能性があるからだ。

 一方、石破首相は、もし不信任案が提出されれば採決を待たずに衆議院を解散するとの意向を周囲に伝えているとされる。そうなると不信任決議案が出されれば、7月20日に予定される参院選は衆参ダブル選挙となり、一気に政権選択選挙の様相を呈してくる。

 石破政権の低支持率に喘ぐ自民党としては、今はダブル選挙はおろかできるだけ選挙などしたくないのかと思いきや、実際には立憲民主党の野田代表が不信任案の提出を見送る方針を決めた後も、自民党の方から不信任案を出すような煽りや引き合いが引きも切らないというのだから、政治は本当にわからない。

 確かに、依然として石破政権の支持率は低いものの、備蓄米の放出をめぐる小泉進次郎農相のパフォーマンスよろしく、自民党の支持率が回復基調にあることは間違いなさそうだ。その一方で、これまで飛ぶ鳥を落とす勢いで自民党から一部の保守票を奪っていた国民民主党が、山尾志桜里氏の公認を巡るドタバタで一気に支持を落としている。立憲民主党は野党第一党ながら一向に存在感を示せず、大阪万博でミソを付けた維新の支持率も低迷するなど、野党は明らかに総選挙への備えができていない。自民党としてはこの際ダブル選挙に打って出るのもアリだと考え始めているのかもしれない。

 しかし、備蓄米放出で株を上げることで一躍政治の表舞台へのカムバックに成功した小泉農相と、当初斎藤健元経産相で決まりかけていた江藤拓農相の後任に小泉氏を押し込んだとされる自民党農水族のドン森山裕幹事長、そしてなんとしても参院選の大敗は避けたい石破首相は、備蓄米の放出では息の合ったところを見せているが、実際に農政を巡る考え方については同床異夢の可能性が高い。

 石破首相の本音は、自身が農相の時に実現できなかった農政の抜本改革、具体的には減反制度の廃止と農家への直接支払いだろう。他の日本の様々な問題と同様、このままの農業政策を続けていては日本の農業がじり貧であることは目に見えているし、それは日本の食料安全保障がおぼつかなくなることを意味する。しかし、様々な補助金で利権漬けになっているのがコメをめぐる農政の特徴でもある。これを抜本的に改革する動きは、既存の農政の恩恵を受けるJAや小規模な兼業農家が黙って見ているはずがない。もちろん農水族のドンで陰の総理とまで呼ばれる実力者の森山幹事長が、利権の根本的な解体につながりかねない政策転換を簡単に許すとはとても思えない。森山氏の後ろ盾で表舞台に復帰できた小泉氏も、今のところ農政のタブーの本丸に切り込むかのような威勢のいいところを見せているが、最後の最後は森山氏の意向に反したところまで思い切った改革ができるかと言えば、大きな疑問符が付く。

 有権者としては、単に備蓄された古米を安く吐き出しただけで、メディアでは自民党の救世主のように囃され、早くも次の総理候補ナンバーワンの呼び声さえ聞こえてくる小泉氏の小気味良いパフォーマンスにのせられていると、令和の米騒動は結局、農政を巡る本質的な問題は何一つ解決されないまま、備蓄米の安売りショーだけで終わってしまう可能性が高い。

 今回のコメ問題の帰結が、結局日本は何があっても変われないかどうかの大きな試金石となる。ダブル選の如何にかかわらず、日本は夏の到来とともに選挙の季節に突入するが、果たして今回のコメ騒動で露呈した日本の農業政策の構造的な問題を選挙で問うことができるかどうかは、日本の民主主義の質を判断する上でも重要な問いになるだろう。

 コメ問題に加え、一人2万円の給付金の舞台裏、与野党ともに財務省には逆らえない今の政治の実態、参政党とれいわが支持を広げる背景などについて、政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が永田町の今を議論した。

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