赤木雅子さんに開示された文書から安倍昭恵さんに関する部分が抜け落ちていた理由



物価高、コメ不足にトランプ関税に追い打ちをかけられ、もはや国民生活は青息吐息。いろいろな問題が山積しているところに、2ヶ月後には国政選挙が控えているとなれば、普通なら政治は政策論争で蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていないとおかしいはず。
ところが石破政権は消費減税もしないことを決め、補正予算も秋まで組まない方針だという。政権がこの「国難」に対してここまで無策ぶりを露呈しているにもかかわらず、政界は不思議な「凪(なぎ)」の状態が続いているというから、かえすがえすも永田町というのは不思議なところだ。
しかし、この凪状態は日本の政治が完全に国民を置いてけぼりにしたまま、永田町の論理だけで動いていることの証左に他ならない。われわれはもっと怒らなければならないのではないか。
野党は不人気な石破政権が続いてくれた方が選挙は戦いやすい。しかも、少数与党となった石破政権は法案を通すためには野党の協力が必要なため、野党は交換条件によって自分たちが主張する政策を次々と実現できる。下手に政権に加わるよりも、現在のハングパーラメント(宙づり議会)が続いてくれた方が、うまみがあったりする。だから、どんなに石破政権が無策ぶりを晒しても、政権を退陣に追い込むところまで徹底的にその責任を追及しようとはしない。
一方、与党の方も、参院選では総議席の半分ずつしか改選を迎えないため、今回多少議席を減らしても過半数を割り込むまで負けることはないだろうと高を括っているのか、思い切った経済対策を打ち出す気配も、またその気概も持ち合わせていないようだ。それに、そもそも石破政権を構成している自民党のリベラル勢力と、野田佳彦代表が率いる立憲民主党の穏健右派、前原誠司共同代表が率いる日本維新の会と玉木雄一郎代表率いる国民民主党では、基本政策に大きな違いがない。だから、現在の政界の主要プレーヤーにとって、今の政治状況が続いても何の問題もないというのが各党の本音なのだろう。
しかし、そんな永田町の論理だけで、いつまでも馴れ合いの政治を続けられては、国民は堪らない。
それを変えさせるためには、まず与党が、このままでは政権維持どころか壊滅的な敗北を喫しかねないと恐れるようになるところまで、国民が怒る必要がある。
しかし、心配なのは、もはや国民が諦めムードになっているように見えるところだ。それを象徴する出来事があった。週刊文春が先週報じた総理のヤミ献金報道に対する世の中の反応だ。現職の総理の違法献金疑惑、しかもそれが文春砲となれば、本来は政界は大騒ぎになっていないとおかしい。しかし、他のメディアの反応も、ひいては国民全般も、「別に」という冷めた反応が大勢を占めているように見える。もはや総理のヤミ献金疑惑すら怒りの対象から外れてしまうほど、国民の政治への関心レベルは下がっているのだろうか。
これまで何度も政治に裏切られ、政治が自分たちに何かしてくれることを一度は諦めた人たちの中には、党内で非主流派の立場から歯に衣着せぬ厳しい意見を発してきた石破さんなら、永田町のための政治を国民のための政治に変えてくれるかもしれないと、一縷の期待を抱いた人も少なからずいただろう。その期待が裏切られれば、もはや政治には何の期待も持てなくなるのは当然だ。
石破政権に残された時間はそう長くはない。
問題山積ながら、なぜか飄々と低空飛行を続ける石破政権とそれを容認している現在の政治状況の背景を、政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が議論した。