赤木雅子さんに開示された文書から安倍昭恵さんに関する部分が抜け落ちていた理由



大阪の学校法人に国有地が格安で払い下げられた、いわゆる森友学園問題で、真相に迫るかもしれない新しい情報が公開される可能性が出てきた。
大阪高裁が1月30日、これまで情報の公開を拒否していた政府の立場に変更を命じる決定を下したのに続き、2月14日には国が上告を断念。その後、石破茂首相が加藤勝信財務相に情報公開法第7条の定める「公益上の理由による裁量的開示」を行うよう指示を出したことで、これまで非公開とされてきた17万ページにも上る森友学園問題に関連したファイルが公開されることになった。
これは森友問題の真相解明に向けた大きな前進ではあるが、公開される17万ページの文書がどの程度マスキング(黒塗り)されずに公開されるかは、依然として未知数だ。しかし、首相の指示で本来は公開されない文書が公開されることになった以上、首相の決断次第では新たな情報が大量に公開される可能性がでてきた。
森友学園問題は安倍政権下で、政治家の介入によって森友学園に小学校設立のための国有地が不当に安い金額で払い下げられた可能性が2017年に報道され、政治問題化した。特に当時の安倍首相の妻の安倍昭恵氏が、新たに設立される小学校の名誉校長に就任していたほか、首相自身が国会答弁で自分や妻が払い下げに関わっていた場合は議員辞職をすると発言した後は、大阪のいち学校法人への土地払い下げをめぐる疑惑が政権の命運を左右しかねない大きな問題となった。
その後、改ざん作業に関わった近畿財務局職員の赤木俊夫氏が、心労を苦に自殺に追い込まれたため、妻の雅子氏が夫を死に追いやったものが何かを知りたいとして、政府の森友問題関連の文書、とりわけ財務省や近畿財務局が事件の捜査に乗り出した検察に任意提出した文書の公開を求めて、情報公開訴訟に訴えていた。政府は一貫して情報開示を拒否するばかりか、そのような情報の存否すら認めない立場を取ってきたが、大阪高裁は1月30日、存否拒否を違法と断じた上で公開を命じる判決を下していた。2月14日には国が上告を断念したことで、高裁判決が確定していた。
1年以内を目途に公開されることになる17万ページの文書の公開によって、森友学園問題はどこまで究明されるのか。今回石破政権が決定した情報公開法第7条に基づく「公益上の理由による裁量的開示」とはどのような性質のものなのか。政権の決断次第で、森友問題の全貌が明らかになる可能性はどのくらいあるのかなどについて、情報クリアリングハウス理事長の三木由希子氏とジャーナリストの神保哲生が議論した。