苦しむ赤木さんを検察と産業医が追い詰めたことは残念 故赤木俊夫氏の主治医・岩井圭司医師インタビュー

まだまだ本番はこれからだ。
大阪の国有地が学校法人に格安で払い下げされた、いわゆる「森友学園問題」の裁判に大きな進展があった。
この裁判は森友学園への国有地の払い下げをめぐり、その交渉過程を記録した文書の改ざんを命じられた元近畿財務局職員の赤木俊夫さんがその後自殺に追い込まれたことを受けて、妻の雅子さんが夫の自死の真相を知りたいとして、政府に関連文書の開示を求めて争っているというもの。
ここまで財務省及び近畿財務局は関連文書の開示を拒否しており、中でも一連の検察による捜査の中で、財務省側から検察に任意提出されたとされる報告書については、そのような文書が存在するかどうかさえも認めない「存否応答拒否」という厳しい対応を取っていた。しかし、大阪高裁が2024年1月30日に関連文書の不開示決定を取り消す判決を下したため、国側がこれを上告するかが注目されていた。
そして2月6日、政府は上告の断念を表明し、高裁判決が確定した。
しかし、政府の上告断念で赤木氏が求める情報の公開がスムーズに進むことが確定したわけではない。
大阪高裁は1月30日、政府側の「存否応答拒否」の決定を取り消すよう命じている。これによって政府は文書が存在すること自体は認めざるを得なくなる。しかし、その結果、政府がどこまで情報を開示することになるかは、まったく別次元の問題となる。文書の存在は認めたものの、真っ黒にマスキングされた「のり弁文書」しか出てこない可能性が残っているのだ。
国の上告断念を受けた会見で加藤財務大臣は、今後、文書を開示するかどうかについては、「法令にのっとり、国民に対する説明責任の観点から判断したい」と述べているが、これは必ずしも全面的な情報開示を示唆したものではない。
情報公開クリアリングハウス三木由希子理事長は、情報公開法には本来は不開示とされるべき行政情報であっても、高度な政治的裁量でそれを開示させることができることを明記した規定があることを指摘した上で、森友問題は高度な説明責任が要求される事件であり、石破首相がこの規定を適用して担当部署に全面開示を命じることは法的にも認められていると語る。
森友問題における公文書改ざんの経緯をめぐる訴訟の大阪高裁判決の読み方と今後の展望を情報クリアリングハウス理事長の三木由希子氏とジャーナリストの神保哲生が議論した。