最高裁判決が問う機能性表示食品の実効性と情報公開の必要性



「知らしむべからず由らしむべし」の言葉を地で行くように、日本政府は得てして情報公開には後ろ向きだが、しかしその一方で日本には情報公開法や情報公開制度があり、法律に則って開示請求をすれば、ある程度までは政府が情報を出さざるを得ない状況を作ることは可能だ。
しかし、これがこと在日米軍に関する情報となると、政府は日米地位協定を理由に一切の情報開示を拒絶する。これはまるで日米地位協定の方が日本の法律よりも上位の法規であると言わんばかりの姿勢だ。
今年3月に発生したオスプレイの松本空港への緊急着陸では、正にその実態が如実に現れた。
2025年3月25日、長野県の松本空港に2機のオスプレイが緊急着陸した。その後修理用の部品を運んだとみられる3機目のオスプレイが松本空港への着陸を要請したが、長野県はこれを拒否しようとした。長野県と松本市の間で松本空港を軍事利用しないことを取り決めた協定があったからだ。しかし、外務省が「日米地位協定に抵触する恐れがある」として受け入れを求め、結果的に長野県は着陸を認めざるを得なかった。この経緯は後に信濃毎日新聞社による情報公開請求で明らかになったが、その中で長野県側が外務省に対し、「日米地位協定の方が(地元の協定よりも)上位にあるということか」と尋ねるやりとりがあったことを同紙は報じている。
日米地位協定は、日本に駐留する米軍関係者の法的地位や権限を定める協定で、法律上は他国との条約と同等の地位を持つ。その中には、事故や事件が起きた場合や航空管制などで日本の主権行使に制約を課す内容が含まれている。そして、日本政府と在日米軍との間で地位協定の運用を話し合う場となっている日米合同委員会は、基本的にその内容は完全に非公開となっており、日本の情報公開法も日米合同委員会には一切力が及んでいない。
番組では具体例として、沖縄北部訓練場をめぐる情報公開訴訟や普天間基地の周辺で行われていた飛行経路の情報公開訴訟、横田基地における燃料流出事故などを取り上げ、日本の自治体が情報開示を決定しても、外務省が日米合同委員会での「非公開合意」を盾に公開決定の差し止めを求める訴訟を起こし、結果的に情報開示が取り消されるという事例が相次いでいることを紹介した。
日米安全保障条約や日米地位協定がある以上、安全保障上の配慮は必要だろう。しかし、地域住民の安全や環境保護に関わる情報の中には安全保障に直接関係がない情報も多く、これは過度に公開を制限されるべきではない。しかも、日本政府が頑として非公開を譲らない情報の多くが、アメリカの情報自由法を元にアメリカ側で公開を求めると、簡単に出てきたりする。日本政府が地位協定を盾に、極端に情報公開に後ろ向きな態度を取っているのは明らかだ。同盟の重要性を認めつつも、国民の知る権利を守ることこそが日本政府の本来の役割であり、民主主義の基盤であることを政府はあらためて確認すべきだろう。
情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が、日本政府の米軍関係の情報公開に対する極端に否定的な姿勢の実態とその背後にある官僚側のマインドセットなどについて議論した。