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2024年06月28日公開

国会の情報公開制度の不備が法案の本質的な議論を妨げている

ディスクロージャー ディスクロージャー (第21回)

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完全版視聴期間 2024年09月28日23時59分
(あと69日13時間57分)

概要

 政治資金規正法の改正が6月23日に閉会した国会の目玉だったはずだが、結局裏金の温床となったさまざまな抜け穴はほぼ丸ごと温存されたまま終わってしまった。しかし、法案をめぐる議論が的外れになってしまう原因の一つに、国会の情報公開制度の不備があることは、ほとんど知られていないのではないか。

 今回の政治資金規正法の改正案を巡る論議でも、国会の内外を問わず的外れな議論が多かったが、それもそのはずで、実は実際に改正案の内容を確認した人がほとんどいないまま議論が進んでいたのだ。

 国会に提出された法律の改正案というのは、実は条文の形では書かれていない。衆議院・参議院のウェブサイトにそれぞれ改正案が公開されているが、「何条の何項にxxを足す」とか、「何条の何項の○○を削除する」といった形で現行法からの変更点が羅列してあるだけで、それだけ読んでも意味が分からないようになっている。改正された法案が最終的にどのような内容になるかは、各自が現行法に修正内容を独自に反映させることによってのみ確認が可能となる。

 今回は修正箇所だけでも膨大な量にのぼるため(A4紙に修正点を羅列しただけで20ページを超える)、実際に修正された法律の条文を作成するのはかなり手間のかかる作業になる。実際に改正された法律の条文を完成させる手間をかけた人はほとんどいなかったのではないか。また、仮に誰かそのようなものを作成したとしても、あくまでそれは私的なものであり、国会や法案提出者である自民党による公式な法案とはならない。つまり、最終的な修正法案が事実上存在せず、よってそれを見たことがある人がほとんどいない中で、的外れな法改正の議論が進むという、有り得ないことが起きていたのだ。

 問題はなぜこのような形になっているのか、だ。

 まず大前提として情報公開法は行政機関を対象にしたもののため、国会には適用されない。国会には情報公開法に代わる規定として「衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程」、「参議院事務局の保有する事務局文書の開示に関する事務取扱規程」なる取り決めが存在するが、あくまで内規であることに加え、何と立法に関係する文書が公開対象になっていない。実際に公開されているのは議員行政文書と呼ばれるもので、これは人事、予算、設備といった行政庶務に関して事務局職員が作成、入手したものを指している。つまり、いつ誰がどこで休暇を取ったかはわかるが、肝心の法案に関する文書や法案に関連した資料などは一切公開されていないのだ。

 法案が内閣が提出する閣法の場合は、管轄する省庁のウェブサイトに条文、理由、要綱、新旧対照表、参照条文の5点セットと呼ばれるものが公開され、法案の中身がある程度はわかるようになっているが、衆議院や参議院のウェブサイトにはこのうち条文と要綱しか公開されていない。今回の政治資金規正法の改正案は議員立法で、しかも法案提出者の自民党が5点セットを公開していなかったため、条文と要綱しか一般には公開されていなかった。これでは国民的な議論が盛り上がらないのは当然だ。

 ちなみに野党も政治資金規正法の改正案を提出しているが、例えば立憲民主党と国民民主党が共同で提出した改正案については、両党のウェブサイトに新旧対照表が公開されている。法案の中身を広く知られたくない自民党が情報公開をさぼり、国会の公開規定も明らかに不十分なために、政治資金規正法改正案の審議は誰もその実物を見ないまま、空疎な審議や議論が行われる結果となってしまったのだ。

 法律を制定したり改正したりする際には、法案の中身が十分に公開され国民に広く周知されて初めて、意味のある国民的議論が可能になることは論を俟たない。それを妨げている最大の原因は国会自体の情報公開に対する後ろ向きな姿勢にある。言うまでもないが、国会が作った法律が正当性を持つためには、国民の理解と支持が不可欠だ。「国権の最高機関」の称号に胡座をかかず、国会はせめて行政機関並の情報公開制度を自ら作ることが急務ではないか。

 情報公開法を作った国会が、最も情報公開に後ろ向きというブラックジョークのような現状は一刻も早く変えなければならない。今回は国会の法案に対する情報公開請求について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。

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