兵庫県知事のパワハラなどの内部告発に端を発する一連の問題を受けて、公務員の懲戒処分のあり方とその情報公開の現状を考えた。
この問題は兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラや地元企業からの贈答品の受領などを告発する文書を関係者に配布した県の職員に対し、県がこれを公益通報と認めず懲戒処分を科したことが県議会などで問題視され、知事の失職と出直し選挙での再選という大きな政治問題に発展したというもの。告発した職員は2024年3月末で定年退職が予定されていたが、懲戒処分を受けたうえで退職となった。その後、この職員が死亡したことで、この問題への関心が更に高まる結果となった。
斎藤県知事は議会の不信任を受け9月30日をもって失職し、11月17日の出直し選挙で再選されたが、なぜこの職員の告発が公益通報とは認められなかったのか、なぜ懲戒処分を受けなければならなかったのかなどについての情報が十分に公開されないことによって様々な憶測が駆け巡り、それが県政の混乱に拍車をかけたことは否めない。
公務員に対する懲戒処分はさまざまな問題に対して行われ、その中には職務遂行に関するものも含まれる。しかし、情報公開制度の下では公務員の懲戒処分は公務の内外を問わず、公務遂行に関する情報ではないと解釈され、基本的には情報公開されていない。
また、処分の内容や処分に至った経過なども、一部の例外を除き基本的には公開されていない。
しかし、これでは公共に奉仕する公務員の不祥事が表沙汰にならず、市民社会は問題の存在やその組織に自浄機能が働いているのかどうかなどを確認することができない。不祥事に対して適切な対応が取られていることが確認できなければ、結果的に公共サービスの低下や行政そのものに対する信頼の低下を生むことになってしまうため、プライバシーには配慮しつつも情報公開は必要だ。
なぜ公務員の懲戒処分が適切に情報公開されることが重要なのか、それが現状ではどのように扱われているのか、その結果、行政サービスにどのような影響を与えていると考えられているのかなどについて、情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長とジャーナリストの神保哲生が議論した。