2014年11月1日
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オバマが涙したエボラ隔離政策論争

ニュース・コメンタリー

 「彼らはヒーローではないのか」と、オバマ大統領が涙ながらに訴えている。
 オバマ大統領は10月29日、西アフリカのエボラ出血熱流行国に赴任する医療従事者たちを招いて記者会見を行い、いくつかの州政府が西アフリカからの帰国者を強制隔離する方針を表明したことを批判した。
 「西アフリカで多大な犠牲を払って帰国してきた医療従事者を、われわれは英雄として迎えなければならない。ニュースを見てエボラを恐れる気持ちはわかるが、世界のリーダーを自任するアメリカが問題に背を向けるような政策を推進してはならない。」オバマ大統領はこのように語り、症状の現れていない場合でも西アフリカ地域からの帰国者を一様に隔離するとした州政府の決定を牽制した。
 オバマ大統領はまた、西アフリカ地域からの帰国者が一様に強制的隔離されるようなことを許せば、医療関係者がエボラの拡大を防ぐために感染地域に赴く意欲を削ぐことになると、懸念を表明している。
 強制隔離は人権侵害であるとの批判がある一方で、来週の中間選挙を控え、多くの州知事らは州民を保護する必要性を主張し、強制隔離の方針を崩していない。その背後には、アメリカ国民の大多数が強制隔離を支持しているという現実がある。CBSの世論調査でも80%が強制隔離を支持すると答えている。
 国際医療支援NGO「国境なき医師団」の一員として、シエラレオネでエボラ熱患者の治療に5週間携わり、10月24日に帰国した看護師のカチ・ヒコックスさんは、彼女を乗せた便が到着したニュージャージーのニューアークの病院内で強制隔離された事に対し、強い抗議の意志を表明していた。
 しかし、ニュージャージー州のクリスティ州知事を始め、ニューヨーク、コネチカット州なども相次いで強制隔離の方針を打ち出していた。
 エボラ発祥国からの帰国者に対してアメリカ政府は、米疾病対策センター(CDC)が指針を発表している。ヒコックスさんもそれに基づき体温測定を行い、感染の兆候もなかったために隔離は必要ないと主張していた。しかし、ニュージャージー州政府の方針で、ヒコックスさんは防護服姿の警備員に連行され、ニューアーク空港内に設置された簡易トイレしかないテントに隔離されていた。
 その後、検査の結果、ヒコックスさんはエボラウイルスに感染していないことがわかり、27日には解放されたが、自宅のあるメイン州に戻ったところ、メイン州知事の方針で、自宅待機を言い渡されていた。しかし、そのような通告に正当性はないとの声明を発表した上で、ヒコックスさんは10月29日には友人とサイクリングに出かけ、その後を州警察の車両と数十台のメディア車両が追いかけるという、異常な状態が続いている。
 メディア報道などによって恐怖心が煽られた結果、世論が大きく一方向に傾いた時、政治に何が期待できるのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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