この放送はスタンダードプラン(月額1100円)のみ視聴可能です。
会員登録して完全版を視聴
この放送はスタンダードプラン(月額1100円)のみ視聴可能です。
会員登録して完全版を視聴
2023年05月19日公開

「資産選好」から読み解く日本経済

経世済民オイコノミア 経世済民オイコノミア (第8回)

完全版視聴について

この放送はスタンダードプラン(月額1100円)のみ視聴可能です。
会員登録して完全版を視聴
完全版視聴期間 2023年08月19日23時59分
(終了しました)

ゲスト

大阪大学社会経済研究所特任教授

1951年東京都生まれ。73年東京工業大学工学部卒業。75年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。武蔵大学助教授、大阪大学社会経済研究所教授などを経て、2016年より現職。2010~12年、内閣府経済社会総合研究所所長を務める。著書に『資本主義の方程式』、『消費低迷と日本経済』など。

著書

司会

概要

 独自の視点から経済問題を掘り下げる『経世済民オイコノミア』。第8回目の今回は「資産選好」の視点から日本経済の構造的な問題を指摘している大阪大学社会経済研究所特任教授の小野善康氏をゲストに迎え、日本経済低迷の原因と今後の行方について議論した。

 「資産選好」とは物自体ではなく、それを手に入れるためのカネを欲する傾向のことを指す。これと対になるのは「消費選好」と呼ばれる概念で、これはカネよりも物を消費する欲望のことだ。小野氏によると戦後復興から高度経済成長を迎えるまでの日本はまさにこの「消費選好」の社会で、物が不足する一方で生産力がそれに追いつかないため、企業はもっぱら生産設備の増強や生産性の向上に集中する典型的な「成長経済」だった。

 だがその後日本は物質的にはある程度充足されることで新たに物を消費する必要が薄れた「成熟経済」の段階に入る。成熟経済においては、人々は物を消費することではなく金をもつこと自体を目的化する「資産選好」の傾向を持つようになり、生産力に対して総需要が不足する。

 「資産選好」の社会において重要なのは人々が金を使うことで需要を拡大させることだが、民間部門の需要には限界がある。そのため小野氏は、需要はあるのに労働環境や賃金条件が悪いために成り手が少ない介護や医療、教育、保育などの公共部門に政府が資金を配分することが必要だと述べる。また人々の余暇を豊かにする観光などの需要を増やすことも有効だという。

 日本ではこれまで勤勉さや質素倹約が美徳として推奨されてきたが、これは日本が成長経済の状態にあることを前提に、生産力の拡大を意図したものだった。しかし、成熟経済では生産性を上げたり貯蓄に励むだけでは、むしろ不況状態を起こしてしまう。学校教育でも芸術や文化を味わい、人生を豊かにする方法を教えることが必要であり、それが社会の総需要を拡大させることにもつながると語る小野善康氏と、「資産選好」という視点から日本経済の構造的な問題について田内学が議論した。

ディスカッション

コメントの閲覧、投稿は会員限定の機能です

月額1100円で過去全ての放送を視聴。
月額550円で最新放送のみ視聴。

毎週の最新放送の視聴、会員限定放送の視聴、コメントの閲覧と入力が可能になります。>入会について