機能不全に陥った日本の政治をどう立て直すか
衆院議員
1971年香川県生まれ。94年東京大学法学部卒業。同年、自治省(現総務省)入省。2003年総務省を退職。05年衆院初当選(比例四国ブロック)。18年より立憲民主党。総務大臣政務官、立憲民主党政調会長などを歴任。衆院6期。著書に『日本改革原案2050』、共著に『本当に君は総理大臣になれないのか』など。
第14回経世済民オイコノミアでは、立憲民主党の小川淳也衆院議員に、パーティ券問題で揺れる自民党や岸田政権への評価のほか、人口減少局面に入った日本が採用すべき経済政策とは何なのかなどについて話を聞いた。
今回の自民党の政治とカネをめぐるスキャンダルについて小川氏は、自民党の本質的な政治体質を露見させる事件だったと語る。しかし同時に小川氏は、岸田政権の支持率が2009年の政権交代時の麻生政権のレベルまで下がっているにもかかわらず、野党がその批判の受け皿になれていないことに対しては責任を感じているという。
現在岸田政権が異次元の少子化対策として打ち出している経済的支援や子育てサービスの拡充などについて小川氏は、当たり前の政策なので迅速に実行して結果を出すべきだと述べる一方で、今後人口が減少していく日本にはかつてのような経済成長は期待できないという現実と向き合う必要性も強調する。
高度経済成長期の日本の人口構成は若者が多く高齢者が少ないピラミッド型をしていた。しかし少子化傾向が続いてきた現在、日本の人口ピラミッドは逆三角形になりつつある。小川氏は増大する相続財産に対する課税を強化することで数十兆円の財源を生み出し、それを若者へと還元していくべきだと語る。
例えば、10兆円があれば国立大学の無償化や私立大学の学費半額化なども可能になると小川氏は言う。また、そこから10兆円を高齢者世代に回せば、全ての高齢者が割安に介護施設を利用できるようになり、加えて介護従事者の賃金の引き上げも可能になる。また、もう10兆円を再エネと農林水産業への投資に充てることで、将来に向けた持続可能な社会の実現が可能になる。それが小川氏が提唱するプランだ。
そもそも一部の高齢者が資産形成に成功してきたのは、現役世代の負担による手厚い社会保障負担のおかげだったことを忘れてはならないとして、そうして形成された資産を自分の子孫だけでなく若者全体に還元することは理に適っているのではないかと語る小川氏と金融教育家の田内学が議論した。