2017年10月21日
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最高裁裁判官国民審査のポイント

木村草太氏(首都大学東京教授)
ニュース・コメンタリー (2017年10月21日)

 10月22日は衆議院の総選挙と同時に、最高裁判所の裁判官の国民審査が行われる。

 制度上、最高裁の裁判官は、任官後の最初の選挙で審査にかけられることになっているため、十分な判断材料が揃っていない裁判官も少なくない。

 とは言え、今回は選挙の直前の9月27日に最高裁が参議院の一票の格差で「合憲」の判断を下しており、今回審査対象となっている裁判官はいずれもこの判決に関与しているので、こと一票の格差問題を争点に判断をするのであれば、非常にわかり易い判断材料がある。

 この判決では、今回審査対象となっている裁判官の中では、外務省出身で学者枠の林景一裁判官のみが、「違憲状態」の判決を下している。審査対象となっている他の裁判官はいずれも多数意見に従う「合憲」判断だった。

 もっとも、今回審査対象となっていない山本庸幸裁判官はこれまでの一票の格差訴訟同様に堂々と「違憲・無効」判決を書いているので、それと比べれば林裁判官の「違憲状態」も甘い判決と言えないことはない。とは言え、他の裁判官が3倍を超える投票価値の差を「合憲」とする多数意見に従っているのに比べれば、投票価値の差は2倍を超えるべきではないとの考えを意見書で明確にしている林裁判官の立場は、審査の対象となる裁判官の中では際立っていた。

 その他、今回の番組では「2015年参院選の一票の格差」、「2014年衆院選の一票の格差」、「民法の夫婦同姓規定」、「民法の6か月の再婚禁止期間」、「令状なしのGPS捜査」、「厚木基地騒音飛行差止請求」、「森友学園問題の電子データ保全請求」、「辺野古埋め立て承認取り消し」などの判決を取り上げ、各事件の争点と判決内容を解説するとともに、今回の審査対象となっている裁判官の立場を明らかにした。 

 
木村 草太(きむら そうた)
首都大学東京都市教養学部教授
1980年神奈川県生まれ。2003年東京大学法学部卒業。同年、 東京大学大学院法学政治学研究科助手、06年首都大学東京大学院社会科学研究科法学政治学専攻・都市教養学部都市教養学科法学系准教授を経て16年より現職。著書に「憲法の急所──権利論を組み立てる」、「木村草太の憲法の新手」、共著に「憲法という希望」、「集団的自衛権はなぜ違憲なのか」など。

 

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