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学術会議の任命拒否問題で菅政権が掘った墓穴とは

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1025回)

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完全版視聴期間 あと41日16時間45分
公開日 2020年11月28日

ゲスト

東京都立大学法学部教授

1980年神奈川県生まれ。2003年東京大学法学部卒。東京大学大学院法学政治学研究科助手、首都大学東京(現東京都立大学)准教授などを経て、16年首都大学東京教授。著書に『憲法の急所──権利論を組み立てる』、『テレビが伝えない憲 法の話』、『自衛隊と憲法』、共著に『憲法問答』、『憲法という希望』など。

著書

概要

政治絡みのニュースでは、巷では桜を見る会での安倍事務所の関与が明らかになったことが大きく注目されているようだが、実はその背後についこの間まで菅政権にとって喉元に突き刺さった棘のような存在になっていた学術会議の任命拒否問題での進展がある。

桜を見る会の問題が表面化する直前の11月5日、参議院予算委員会で今回の学術会議の任命拒否問題をめぐる政府側の主張を根本から打ち崩す証拠が、立憲民主党の小西洋之参院議員から提示された。

それは、政府がこれまで学術会議法7条二項が定める学術会議の会員は、会議側からの「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」とする条文を、首相は推薦された委員を形式的に追認するだけでなく、場合によってはそれを拒絶することもできると主張する根拠のもっとも根幹の部分が、まったく誤りだったことを明確に証明するものだった。

政府はこれまで、教育公務員特例法の10条に謳われている文部大臣が国立大学の学長の任命をめぐり「大学管理機関の申し出に基づいて任命権者が行う」とされている条文について、1969年に当時の高辻正己内閣法制局長官が、憲法第15条を根拠に、文部大臣は例外的に大学側からあがってきた学長候補の任命を拒否することもあり得るとする法解釈を、今回の学術会議の任命拒否の法的根拠の拠り所としてきた。

ところが、今回小西議員が予算委員会に提出した資料の中には、1983年5月12日の参議院文教委員会において、学術会議の会員の選考が選挙から推薦・任命に移行する際に、改正案を提出した内閣官房内閣法制局が綿密な協議を行い、推薦制に移行するにあたり、先述の1969年の高辻内閣法制局長官発言が指摘する政治介入の余地が一切残らないことが繰り返し確認されていたことを裏付ける証拠が、当時の国会の議事録や内閣法制局の法律案審議録に詳細に記録されていることを示すものだった。

1983年5月12日の参議院文教委員会で、社会党の粕屋照美参院議員が、210人のうち、例えば政府がその中から2人だけを拒絶するようなことはあり得ないか、と繰り返し問い質したのに対し、法案作成の担当者だった高岡完治内閣官房参事官は「そういうことはできない。中身が200人であれ一人であれ、形式的な任命行為であることに変わりはない。その点は内閣法制局の担当参事官とも十分に詰めている」とはっきりと答えている。

日本国憲法はその23条で「学問の自由」を保障している。しかし、菅政権はその一方で、学術会議から推薦された会員の候補を内閣総理大臣が無条件で全員任命しなければならないとすれば、公務員の選定が「国民固有の権利」であることを謳った日本国憲法15条に基づいて、国民の権利を護ることができないと主張することで、何とか今回の任命拒否を正当化しようと必死だ。しかし、日本国憲法にはもう一つ73条というものがある。ここには、内閣は「法律の定める基準に従って」公務員に関する事務を行うことが明記されている。つまり、23条の「学問の自由」vs15条の「国民固有の権利」を代行する内閣総理大臣の図式を主張するのは結構だが、結局のところ73条で公務員の人事は法律に則ったものでなければならないことが書いてある以上、最終的には学術会議法7条2項をどう解釈するかが、この問題のカギを握ることに変わりはない。

そして、今回その学術会議法7条2項の「推薦に基づき任命する」の条文が、その法律の立案者や当時の内閣法制局によって、総理の任命権が高辻発言が考慮する特殊な例外さえも認めないほど明確な「形式的行為」に過ぎないことを意味していることが明確になったのだ。

これは菅政権が明確な違法行為を働いていたことを意味し、重大な問題だ。しかし、世の中は今や桜を見る会の進展に目が向き、これほど重要な国会審議や菅政権が違法行為を働いていた可能性が高いという新たな事実にはほとんど気づいていない。この国会審議がちょうどアメリカ大統領選挙で勝者不明のまま開票が進むただ中であり、少々タイミングが悪かったとも言えるかも知れないが、いずれにしても政府が合法だと主張する根拠となっている高辻発言や憲法15条に基づく首相の任命権の解釈はまったく的はずれだったことだけは、われわれも強く認識しておく必要がある。

また、先人達は未来の政権の中に学術会議法の条文の解釈を勝手に変更し、推薦者リストから一部の候補を拒絶するような不届き者政権が出ないとも限らないことを予め予見した上で、その可能性を摘んでおくために、条文の解釈をしつこいくらい繰り返し「形式的なものに過ぎない」ことを確認してくれている。そのおかげで、約40年後の今、われわれはあの法案を簡単に拡大解釈し、政治の学問への介入を容易に許してしまうような状況を避けることが可能になっていることも忘れてはならないだろう。無論、その積み重ねを活かすも殺すも、国民次第であることは言うまでもないが。

今週は憲法学者の木村草太氏をゲストに招き、学術会議の任命拒否問題を憲法的視点から確認した上で、11月5日の参議院予算委員会でも小西議員と菅首相や内閣法制局長官らとの議論を検証しながら、政府側の主張がなぜ根底から崩れてしまったのか、それが何を意味しているのかなどを、ジャーナリスト神保哲生、社会学者の宮台真司と議論した。

 

 

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