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2025年12月20日公開

AIが子どもの考える力を奪うことを教育現場は理解できているか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1289回)

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ゲスト

東京大学大学院総合文化研究科教授
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1964年東京都生まれ。87年東京大学理学部卒業。92年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は言語脳科学、脳機能イメージング。ハーバード大学リサーチフェロー、マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学大学院総合文化研究科助教授・准教授などを経て2012年より現職。著書に『デジタル脳クライシス』、『人間とは何だろうか』(近日刊行予定)など。

著書

概要

 AIの利活用が加速度的に広がっている。

 2022年に運用が始まったOpenAIChatGPTをはじめ、GoogleGemini、中国で開発されたDeepSeekなど、ここ数年で生成AIがあっという間に普及し人々の生活の中に入り込んでいる。

 政府の人工知能戦略本部は19日、「『信頼できるAI』による『日本再起』」という副題のついた人工知能基本計画案を決定した。世界で最もAIを開発・活用しやすい国を目指すとして、本部長を務める高市首相は「今こそ官民連携で反転攻勢をかけるとき」と強調した。

 しかし、このままAIの活用を無制限に進めてしまって本当にいいのだろうか。もう少しその影響を、とりわけ子どもや教育への影響をしっかりと検証する必要があるのではないか。

 『デジタル脳クライシス』の著者で言語脳科学者の酒井邦嘉氏は、生成AIがあたかも信頼できる装置であるかのような幻想が、とりわけ教育現場で独り歩きし始めていることに懸念を露わにし、これまでAIの「利用」という言葉を使っていた文科省が「利活用」という言い方に変わり積極的に利用を進める立場になっていることを問題視する。リスク管理が不十分なまま教育への導入が進んだ結果、取り返しがつかない事態を招く恐れがあるからだ。

 アメリカでChatGPTが原因で自殺したとして遺族がOpenAIを提訴したことが報道されるなど、今、特に若い世代に急激にAI活用が広がることへの懸念が指摘されている。対話型AIと言われているChatGPTなどの生成AIは、対話を装っているだけで、実際には何かを考えてくれているわけではない。にもかかわらずそれが自己肯定感を増幅するための手軽な装置となって人間の心に入り込んでしまい、気づいたときには取り除くことができない依存症のような状態に陥る事例が多発しているという。

 脳科学の研究者として長年、言語と脳の関係を研究してきた酒井氏は、思考力、創造力といった人間の脳内で起こる重要な作業は、それ自体が人間の成長にとって重要なものだが、思考をAIに頼ることでその力が奪われると指摘する。AIを使うことに慣れ、自分の脳を使って考える能力を失ってしまう、というような事態が起こり得るというのだ。そもそも生成AIは何かを生み出しているのではなく大量のデータの中から言葉を選んで組み合わせているだけなので、「生成AI」ではなく「合成AI」と言うべきだと酒井氏は指摘する。また、生成AIには入力と出力があるだけで、考える、疑う、想像する、創造するといった脳内での人間らしい働きはしないことを強調する。

 それと同時に、読む、書くといった文字を使い自ら言葉を生み出す作業が、デジタル教科書の導入などで失われていくことも懸念材料だ。人間の記憶はいくつもの情報が重なりあって紐づけられているのであって、「コスパ」「タイパ」が良いといった効率だけで語られて良いはずはない。

 あたかもそれが時代の最先端であるかのように生成AIの活用が進む中、人間軽視に対する警鐘を鳴らし続ける酒井氏と、社会学者の宮台真司、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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