2013年9月7日
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最高裁、婚外子相続差別に「違憲」の判断・なぜ立法府は自ら動こうとしないのか

ニュース・コメンタリ―

 最高裁大法廷は9月4日、結婚していない男女の間に生まれたいわゆる婚外子(非嫡出子)の相続権を婚内子の半分と定めた民法の規定を「違憲」とする判断を下した。参加した裁判官14人全員による全会一致の決定だった。
 今回の決定は、2001年7月に死亡した東京都の男性と2001年11月に死亡した和歌山県の男性の遺産相続の裁判で、いずれも妻と内縁関係の女性との間にそれぞれ子供をもうけていた。どちらも一、二審は規定を「合憲」としたが、婚外子側が最高裁に特別抗告し、今年2月、最高裁はこの二件を小法廷から大法廷に移す決定をしていた。
 最高裁は決定文のなかで、婚姻・家族の形態や国民の意識の多様化と、国連の委員会から法改正の勧告を繰り返し求められていることを理由に挙げた。
 菅官房長官は最高裁の判断を受けた4日の記者会見で、「立法的手当ては当然」と語っている。
 婚外子の相続差別の問題については、法の前の平等を定めた憲法第14条に違反する疑いが強いことから、司法サイドから立法府に対して民法改正を促す働きかけが繰り返し行われてきた。
 1979年に法制審議会が非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分と同等とする旨の改正条項を含んだ「相続に関する民法改正要綱試案」を発表している。95年に初めて最高裁大法廷で「合憲」判断が下り、2000年から2009年にかけて最高裁で繰り返し合憲の判断が下されてきたが、そのほとんどが賛成3、反対2の僅差の合憲判断であり、反対意見の中に繰り返し「立法府によって可及的速やかに改正を期待する」などの意見が表明されていた。しかし、立法府は民法を改正する動きをまったく見せなかったために、2011年以降、大阪高裁による違憲判決、名古屋高裁での適用違憲判決など高裁レベルではこれを違憲とする判断が下されていた。
 しかし、立法府は一向に民法を改正する動きを見せなかった。2001年から野党によって相続差別を改める民法改正の法案が議員立法で繰り返し提出されてきたが、主に自民党の反対で毎回、審議されないまま廃案になっていた。
 原告弁護団の岡本浩弁護士は4日の記者会見の中で、2年前に大阪高裁が「違憲」判決を出し、上告されず確定していたことに触れ、「裁判所としては、立法府がどうしても対応しないという思いがあり、それが全員一致の結論に至ったのではないか」と語った。
 なぜ立法府は違憲判決を受けるまで自ら動こうとしないのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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