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2023年03月16日公開

政府内部での意思決定過程の公開を免除している情報公開法は改正が必要だ

ディスクロージャー ディスクロージャー (第6回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2023年06月15日23時59分
(終了しました)

概要

 重要なニュースに情報公開の視点から切り込んでいくディスクロージャー・アンド・ディスカバリー。

 今月は本来であれば情報公開法に基づき一律の基準で公開されるべき行政情報の中に、官僚による恣意的な運用が可能になっている分野があり、それが情報公開法の精神を蔑ろにしている問題を取り上げる。

 その分野とは、行政内部の意思決定に関する情報だ。情報公開法は基本的に安全保障に関わる情報や捜査機関の捜査情報など例外的なものを除き、基本的に行政情報の公開を義務付けている。しかし、同法はその5条5号、6号で、公にすることにより行政の業務に支障を及ぼすおそれがある情報に関しては、公開義務を免除している。そして、どのような情報が業務に支障を及ぼすおそれがあるかの判断は行政府側に委ねられているのだ。

 例えば先の森友学園問題では、財務省から国有地売却に関する決裁文書や交渉記録の一部などが公表されていた。しかし財務省が公開した文書は、森友学園側との交渉や大阪府や豊中市との協議等の記録、国会議員事務所とのやり取りの記録など、財務省からすれば第三者の動向に関するものばかりで、国有地売却について最終的な意思決定をする立場にある財務省や国交省の内部の具体的な検討過程に関わる情報はまったく公開されていない。あれだけ色々な文書が出てきたにもかかわらず、省庁内部で何が検討され、誰がいつどこでどのような意思決定を下したのかは依然として藪の中なのだ。

 情報公開クリアリングハウスがこれらの文書の開示を求めて東京地裁で係争しているが、提訴から6年が経とうとしているにもかかわらず、依然として意思決定の過程を示すメールや文書は不開示のままだ。

 政府は情報公開法5条5号、6号を根拠に、内部の意思決定過程に関わる情報をほとんど開示しないのが通例になっている。しかし、それが財務省や国交省は森友学園など外部とのやり取りは公開する一方で、行政機関内部の協議や検討経過は公開しないという恣意的な運用を可能にしている。

 森友学園とのやりとりは交渉相手となっていた籠池泰典、諄子夫妻の特異なキャラが際立っていたため、メディアもそれに飛びつき、結果的にその情報を公開することによって、財務省や国交省はむしろ自分たちが被害者であるかのような演出が可能となった。一般的には森友学園との交渉記録も、情報公開請求すれば少なくとも一定範囲が不開示になる可能性が高いものだったが、5条5号、6号を恣意的に運用することで、自分たちに都合の悪い情報は「業務に支障をきたすおそれがある」として公開を拒絶し、自分たちに都合のいい情報であれば交渉過程を記録した文書であっても喜んで出しているのだ。

 このような情報公開の恣意的な運用は、リーク情報でも起こりやすい。最近では、放送法の解釈変更に至る総務省文書をめぐり、高市早苗経済安全保障担当相が自身のレク等の記録を捏造と主張したことで、本来の論点とは別に政治問題化しているが、今回立憲民主党の小西洋之参院議員にリークされた総務省文書は総理秘書官や総務省の情報流通行政局とは見解を異にする大臣とのやりとりを記録したものは含まれているが、局内での検討や協議の経緯を記録した文書は含まれていない。放送法の解釈に対して政治介入があったとすれば無論それは重大な問題だが、それを受けて総務省内では何が検討され誰によってどのような決定が下されたのかはまったくわからないままだ。

 今回は森友学園問題と現在進行中の総務省の放送法の解釈を巡るリーク文書を実例として取り上げ、現行の情報公開法が行政府にとって不都合な文書を一方的に非公開としたり、逆に本来は出すべきではない情報をリークすることで、特定の政策を潰したり特定の政治家の追い落としを図ったりすることが可能となっている現状を、情報公開の第一人者で情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。

ディスカッション

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