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2007年03月09日公開

オスロ・プロセスと日本の選択

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第310回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

ジャパン・プラットフォーム共同代表理事
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1963年茨城県出身。90年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。外資系企業勤務を経て、91年より「難民を助ける会」事務局勤務。同会専務理事・事務局長、「地雷廃絶国際キャンペーン(ICBL)」調整委員などを歴任。06年より現職。著書に『地雷問題ハンドブック』など。

著書

概要

 クラスター爆弾は親爆弾の中から無数の子爆弾が飛び出し、一発でサッカー場3面分を攻撃することが可能な新しいタイプの爆弾だ。しかし、元々無差別攻撃を前提としている上に、不発率が高く、紛争終結後の民間人への被害が重大な人道上の問題となって浮上している。クラスター爆弾が「第二の対人地雷」といわれる所以だ。
 このクラスター爆弾の全面禁止を目指した国際会議が、2月22日、23日にノルウェーの首都オスロで開かれ、49ヶ国が08年中の条約制定を目指す「オスロ宣言」に署名をした。しかし、会議に最大規模の代表団を送っていた日本は、クラスター爆弾の軍事的有効性などを理由に宣言への参加を留保している。会議に参加しながら宣言に加わらなかった国は参加49ヶ国のうち、日本とポーランド、ルーマニアの3カ国だけだった。
 NGOで長年難民救済活動を続けてきた長氏は、今回の日本政府のオスロでの選択について、「日本らしい生真面目さの現れ」と、これに一定の理解をしつつも、日本政府の戦略性の欠如を指摘する。まだ宣言に乗れないのであれば、アメリカや中国のように最初から会議に参加しなければいいはずだが、人道的に好ましいことを目指す会議である以上、一応参加はしておく。しかし、いざ宣言の採択の段階になると、二の足を踏むことになる。クラスター爆弾の有効性と人道的な立場をどう均衡させるかについて、日本国内でも政府内でも、まだ合意が形成されているわけではないからだ。
 しかし、それにしても日本は、対人地雷を全面禁止した97年のオタワプロセスでも、条約制定の直前まで、地雷の有用性と人道的立場との折り合いを付けることができず、平和国家としてのイニシアチブを発揮することができなかた。今度のオスロプロセスでも、アメリカ、ロシア、中国などの軍事大国が軒並み禁止条約に後ろ向きな姿勢を見せる中、ノルウェー、カナダ、デンマーク、ベルギー、メキシコなどの「中堅国」が主導となって、条約の制定作業を進めている。日本もクラスター爆弾を保有してはいるが、日本の防衛上クラスター爆弾がそれほど致命的に不可欠なものとは思えない。なぜ平和憲法を持ち、平和国家として国際的な尊敬を希求するはずの日本が、これらの場で指導的な役割を果たすことができないのだろうか。
 長氏はその理由として、「政治家の指導力の無さと、それを支える市民ひとりひとりの気概の欠如」をあげる。もともと外務省や防衛省の官僚機構には、政治判断を下す能力も無ければ権限もない。人道的見地や国際秩序形成の中で指導力を発揮するという理由で軍事的には一定の有用性を持つ兵器を廃棄するという選択などが、官僚にできるはずもないし、逆に官僚がそのような選択を勝手にやり始めたら危険だと言うのだ。
 一方、今回のオスロ会議でも、オタワ会議同様、NGOの活躍が際だった。長氏はオタワプロセスの成功で21世紀はNGOの世紀になるのではとまで言われたものの、2001年の同時テロで、世界が政治的、軍事的志向を強め、一時的にNGOの役割は弱まったと言う。しかし、その後もNGOは地道な活動を続け、9・11後の一時的な萎縮状態も今はようやく収束しつつあるとの見方を示す。21世紀が本当に国境を越えたNGOの世紀になるかどうか、NGOにとっての正念場はこれからだが、NGOセクターでも日本は必ずしも世界の主要な地位を占めることができていない。長氏はここでも、政治意思の欠如と市民の関心の低さを理由にあげるが、ではなぜ日本だけが政治も市民も意識が低いのだろうか。
 人道支援NGOのコミュニティに長年身を置いてきた長氏とともに、オスロプロセスにおける日本の選択とその背後にある日本の市民社会にとっての課題について考えた。

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