2015年9月12日
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安保法案はなぜ危ないのか

ニュース・コメンタリー (2015年09月12日)

 安倍晋三首相は早ければ来週にも安全保障関連法案の採決を行う予定だという。参議院でも自公合わせて過半数を握り、万が一参議院が採決しない場合でも、衆議院では再議決による法案可決が可能な3分の2の議席を持つ以上、与党がその気であれば法案の成立は確実な情勢となっている。

 憲法が禁じると解されてきた集団的自衛権を認めるこの法案が、憲法違反の疑いが濃いことは論を待たない。ほとんどの憲法学者や歴代の内閣法制局長官、ひいては元最高裁の長官までがこぞって「違憲」と呼ぶこの法案を、与党が数の論理が強行可決することによって、日本の立憲主義が蔑ろになることの日本の政治文化への影響がどれほど大きなものになるかは、現時点では予想することすら難しい。

 7月18日にマル激に出演した憲法学者の石川健治東大教授が指摘するように、日本が少なくとも戦後、これまで失ったことがない何か大きなものを失うことだけは間違いないだろうが、それが何であるかは大きすぎてわからないといったところが、多くの人の正直な感覚だろう。

 しかし、この法案には合憲性以外にも問題が多い。法案が通った場合、違憲訴訟も提起されるだろうが、そうしている間にも法律の運用が始まれば、問題点が噴出する可能性がある。

 合憲性に疑義があることに加え、この法案は1. 武力行使の行使基準が政府の「総合的な判断」などという抽象的なものに委ねられることにより、行政権限が無限に拡大してしまう恐れがあること、2. その一方で政府が主張する抑止など日本にとってメリットをもたらす効果が期待できないこと、3. そのような問題を抱えた法律が実際に施行・運用された結果、中国やテロリストがどのような対抗措置に出てくるか、あるいは行政府の暴走を誰も止められなくなる可能性を含め、その影響を事前に想定することが困難なこと、の3点に重大な問題がある。

 つまり、憲法違反の危険を冒してまで無理やり法案を強行可決し、法律が成立したしても、政府が喧伝するような効果は期待できず、その一方で、日本は数々の大きなリスクを抱えることになってしまうのではないか、ということだ。

 法案が成立し、実際に運用が始まることで日本が抱えることになるリスクを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

 その他、総裁権限による対立候補の抑え込みは許されるのか、ユンケル委員長演説に見る、大量の難民を受け入れた欧州の考え方など。

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