2007年7月6日
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ミートホープが氷山の一角であるこれだけの理由

垣田達哉氏(食品表示アドバイザー)
マル激トーク・オン・ディマンド 第328回

 「ミートホープ」の食肉偽装事件が、多くの消費者を不安に陥れている。
 牛挽肉に豚肉を混入させているとの内部告発に始まった偽装事件は、その後「家畜の血液で偽装したひき肉」や「賞味期限切れの冷凍食品のラベルの付け替え」など新たな事実が次々と露わになり、ついには「雨水で肉を解凍していた」などという俄には信じがたいような杜撰な食肉管理の実態が報じられるまでに至っている。食肉の卸段階での汚染は、無数の末端商品に影響を及ぼす上、消費者は目の前の商品にそのような問題の食材が使われていたとしても、それを知る術を持たない。
 しかし、食肉の偽装表示は本当にミートホープ一社の問題なのだろうか。食品業界の内情に詳しい垣田達哉氏は、確かにミートホープは極めて悪質な事例ではあるが、食品業界、とりわけ食肉の表示には、多かれ少なかれミートホープに見られるような杜撰な体質が根強く残っていると指摘する。ミートホープは、氷山の一角に過ぎないというのだ。
 垣田氏によると、元々食品の偽装表示は簡単には見抜けないものだが、特に挽肉は一旦ミンチになってしまえば、DNA鑑定でもしない限り中に何が入っているかを確認することは非常に難しいという。そのため、ミンチには元々精肉として販売できないような部位が混ざっている場合が多いが、その中身が正確に表示されることはほとんど無いのが実情だと言うのだ。
 その理由として垣田氏は、食品の安全を守るために消費者の立場に立った法律が事実上存在しないことをあげる。食品表示については、農林水産省管轄下のJAS法を含め、厚生労働省下の食品衛生法、公正取引委員会が管轄する景品表示法、経済産業省の不正競争禁止法など4つの法律が存在するが、いずれも業界寄りであったり、食中毒などの被害が起きるまで発動されないなど、消費者の安全を守るという観点から見ると、明らかにザル法と言わねばならないものばかりなのが実情なのだ。
 垣田氏はまた、店頭でパッケージに詰める惣菜や弁当、外食にはまったく内容の表示義務が無いことも問題視する。同じ加工食品でも、工場で包装されたものには一定の表示義務があるが、店頭でパッケージされる商品には基本的に表示義務は無い。そのため、実は中国産の「静岡産うなぎ」や、オーストラリア産「和牛」などがいたるところで売られているのが実情だと言う。
 食品表示問題の第一人者である垣田氏と、ミートホープ問題で火を噴いた食品偽装問題の本質と、その背後にある利権構造の実態、そして消費者が自分たちの食の安全を守るために何ができるかを考えた。

垣田 達哉かきた たつや
(食品表示アドバイザー)
1953年岐阜県生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。テック電子(現東芝テック)などを経て97年、消費者問題研究所を設立し、代表に就任。著書に『テレビじゃ絶対放送できない「食」の裏話』、『デタラメ食品表示このラベルが危ない!』など。 328_kakita
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