2007年9月19日
  • 文字サイズ
  • 印刷

自衛隊はインド洋で何をしているのか

(part1):田中浩一郎氏(日本エネルギー経済研究所中東研究センター長)
(part2):神浦元彰氏(軍事ジャーナリスト)
マル激トーク・オン・ディマンド 第338回

 安倍首相の辞任の直接の原因ともなったとされるテロ特措法の延長問題が、自民党総裁選後の臨時国会で大きな山場を迎えようとしている。
 参院で第一党となった民主党の小沢代表は国連の議決がないことを理由に、対アフガン戦争をアメリカの個別的自衛権の行使と位置づけ、その後方支援には正当性が無いとして、特措法の延長への反対を明言している。仮に、給油に特化した新法の法案が提出されても、基本的な態度は変わらないと見られる。
 政権与党としては、憲法解釈を曲げてまで9・11直後からアメリカに対して、イギリスと並ぶほどの忠義を果たしてきたこともあり、ここは何とかインド洋での給油活動を継続したいようだが、野党が参院で過半数を握る現状では、見通しは厳しい。
 しかし、自衛隊は本当にインド洋で必要とされているのか。そもそも自衛隊はインド洋で何をやっているのか。政府はこうした基本的な問いには、ほとんどまともに答えていない。野党が繰り返し情報の開示を求めても、軍事機密を理由にほとんどの情報は閉ざされてきた。
 もともとテロ特措法は、2001年の9・11同時テロ直後にアメリカがアフガニスタンに対する軍事行動に出た際に、「テロとの戦い」を大義名分に日本もその後方支援を担うために作られた法律だった。憲法に抵触する恐れがある上、周辺事態法などの既存の法規ではどうにも正当化できない軍事行動をとるために、なし崩し的かつ場当たり的に急ごしらえした法律だった。しかし、そのテロ特措法は、その後6年間、特に議論になることもなく、毎年延長をされてきた。
 今日、米軍の対アフガニスタン軍事行動は、散発的なアルカイダ残党の掃討作戦がある他は、国連決議に基づく治安維持活動にその主眼が移っていて、そもそも日本がインド洋で給油活動を続ける必要性があるのかすら、怪しくなってきている。
 しかも、本来テロ特措法はアフタニスタンでの軍事活動の後方支援に限られているはずだが、日本が給油した艦船がイラクでの作戦に参加している事実も指摘されている。アメリカの第5艦隊は、ウエッブサイトでその事実をごく当然のことのように公表していたが、日本国内でそれが問題になると、すばやくそのページを削除したという。
今週のマル激では、前半はアフガニスタン情勢に詳しい田中氏に、「今、アフガニスタン国内はどうなっているのか」を、後半は軍事の専門家の神浦氏に、「インド洋で自衛隊は何をしているのか」を、詳しく聞いた上で、本当に自衛隊は必要とされているのか、日本がすべきことは給油活動だけなのか、テロ特措法が延長されずに自衛隊が戻ってきた場合、どのような弊害が生じるのか、などを考えた。

田中 浩一郎たなか こういちろう
(日本エネルギー経済研究所中東研究センター長)
1961年東京都生まれ。85年東京外国語大学外国語学部ペルシャ語学科卒業。88年東京外国語大学大学院修士課程修了。在イラン日本大使館専門調査員、外務省中近東アフリカ局中近東第二課課長補佐、国連アフガニスタン特別ミッション政務官、国際開発センター主任研究員などを経て、06年より現職。

 

神浦 元彰かみうら もとあき
(軍事ジャーナリスト)
1949年広島県生まれ。66年陸上自衛隊少年工科学校中退。71年広島県立広島国泰寺高校定時制卒業。報道カメラマン等を経て、軍事ジャーナリストに。著書『北朝鮮消滅』、監修『戦争の科学』など。
  • 登録
  • 解除