2010年12月18日
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物への執着を捨てる「断捨離」という教え

マル激トーク・オン・ディマンド 第505回

 ダンシャリアンが巷に溢れているそうだ。
 欲望を断ち、精神的な執着を手放すためのヨガの哲学「断行・捨行・離行(だんぎょう・しゃぎょう・りぎょう)」の頭文字を取った言葉に、断捨離というものがある。ダンシャリアンとは、不要な物を次々と捨てて、必要最小限の物しか持たず、自ら断捨離を実践する人の通称だという。
 断行・捨行・離行はヨガの世界では古くから使われてきた言葉だが、物も情報も溢れかえるこの時代に、最低限必要な物だけを抱える生き方の教えとして、新たに脚光を浴びているのはなぜか。
 18万部を超えるベストセラーとなった『新・片づけ術 断捨離』の著者でクラター(ガラクタ)・コンサルタントを名乗るやましたひでこ氏は、気がつけば物も情報も何でも抱え込んでしまう現代にあって、今、自分に本当に必要な物だけを取捨選択する力を付けていく必要性を感じ、ヨガの教えを元に新しい片付け術として断捨離を考案したと言う。
 断捨離は基本的には物を捨てることから始まる。まず、今自分に必要な物以外は全て捨てることで(捨)、必要な物と不要な物を見分ける力を養い、不要な物を抱えなくなる(断)。そして、最終的には物への執着を捨て去ることができるようになることで(離)、より自由な人生を勝ち取ることができるというもの。
 ポイントは物の視点から自分の視点に立ち返ることと、それが「今」必要かどうかという時間軸を価値判断に含めることだと、やました氏は話す。いくらその物が使用可能だったり、まだ一定の価値があるとしても、それが今の自分にとって過剰だったり不適だと判断した場合は、潔く手放すのが、やました氏が説く断捨離のルールだ。それができないために、家はガラクタで溢れかえり、息もできないような狭い空間に自らを閉じ込めてしまっている人は、決して少なくないのではないか。
 しかし、現実の世界では「そのうち読まなければと思って買った本」や「使っていないけど壊れていないマグカップ」など、潔く捨てるには決心がつかない物が多い。その時われわれが頭に浮かべるのは、決まって「もったいない」という言葉だ。
 しかし、これに対しやました氏は、そもそも「もったいない」とは物を愛し、愛おしむ気持ちだと説き、たとえば着用していない洋服をまったくケアをせずタンスに押し込んでおくことこそが「もったいない」のではないかと問う。
 低成長時代に入り、豊かさを物に求めることの限界が見えてきた今、物より絆、量より質というように、人々の価値観は変わり始めている。物を所有することへの執着を断つ断捨離が広く人々から注目を集めているのは、時代が一つの変わり目にあることの証なのかもしれない。
 物過剰・情報過多の時代にあって、断捨離の教えは何を意味しているのか。物への執着を捨てることで心の平安を得る教え、断捨離の意義を、やました氏と議論した。

  • ・諫早の上告を断念した菅政権の次の課題
  • ・改正青少年健全育成条例が成立
    健全審の健全化が次の課題
 
やました ひでこ
(クラター・コンサルタント)
1954年東京都生まれ。78年早稲田大学文学部卒業。01年からクラター・コンサルタントとして「断捨離セミナー」を全国各地で開催。著書に『新・片づけ術 断捨離』、『ようこそ断捨離へ』、監修に『断捨離のすすめ』など。 505_yamashita

 

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