2016年3月19日
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民進党は「引き受ける政治」を旗印に

ニュース・コメンタリー (2016年3月19日)

 民進党は新党の旗印を、単なる理念や政策論にとどめずに、政策や政府の意思決定の在り方にまで踏み込んで表明するべきだ。そして、民進党が真に民主的な政治を目指すのであれば、それは従来型の「任せる政治」から「引き受ける政治」への転換でなければならない。

 合併後の新党名を民進党とすることで合意している民主党と維新の党は3月18日、新党の英語表記をThe Democratic Partyとすることで合意したが、この党名からは新党がどのような理念を持ち、どのような政策を推し進めようとしている政党なのかは伝わってこない。

 民主党の岡田克也代表は3月18日の記者会見で、「民進党の進は何を意味しているのか」を聞かれ、「国民と一緒に進むということ」と説明した。この答えは一見、抽象論に聞こえるが、国民を広く意思決定に参加させ、任せる政治から国民が引き受ける政治を目指す意思表明だとすれば、大きな意味を持つ。

 自民党が大勝した過去2回の衆院選挙では、野党陣営が得た得票の総数は、自民党と公明党の得票数を上回っていた。しかし、現行の選挙制度の下では、野党が多くの政党に分かれているため、より得票数の少ない自公が、議席数では衆院の3分の2を獲得する結果となっている。

 そのため今回の民維の合併は、安倍政権に対抗するためには野党の力を結集する必要があるとの判断が背景にある。しかし、単なる数合わせでは仮に政権を取ったとしても、今の日本の諸問題が解決できるとはとても思えない。

 民進党は「安倍政権の対立軸」が何を意味するのかを、党の内外に対して明確にする必要がある。その際に重要なのが、単に理念を謳ったり政策のメニューを発表するのではなく、国民を政治的な意思決定に関与させる意思を明確に打ち出すことだ。

 安倍政権の下では、選挙に勝って政権を獲得した以上、次の選挙までは日本の意思決定は与党が完全に任されていると言わんばかりの政権運営が続いている。しかし、市民の政治参加は何も選挙の投票行動だけではない。選挙結果がすべてだとすれば、過半数を得た勢力は次の選挙までは好き勝手ができることになり、国会の審議も不要になってしまう。

 日本は今、多くの困難な選択に直面している。国民の利害が複雑に絡む重要な政策決定を行う際に、一度の選挙の結果で白紙委任状を得たと考えるのは間違いだ。タウンミーティングや住民投票など、市民を巻き込んだ意思決定は、これまでも多くの国が実施してきた。そうした場で熟議を尽くしてこそ、困難な意思決定は正統性を得ることが可能となる。

 これまでのような「任せてブー垂れる政治」では、この難局を乗り切ることはできない。大きな経済成長が期待できない時代に入り、誰もを満足させることができる政治的な選択肢は日に日に狭まっているからだ。

 民進党には、民主党が志半ばにして実現できなかった、「引き受ける政治」の実現を目指して欲しい。

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