2006年6月23日
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W杯のマル激的考察

田崎健太氏 (ノンフィクションライター)
マル激トーク・オン・ディマンド 第273回

 W杯で日本は一次リーグ敗退に終わったが、予選ラウンド第二戦のクロアチア戦は平均視聴率が50%を超すなど、サッカーファンのみならず日本国民全体のW杯への関心の高さをが如実に顕れた形となった。
 しかし、そもそもなぜ我々は俄かに国を挙げてW杯に夢中になっているのだろうか。サッカーそのものが持つ魅力や日本のチーム活躍への期待感も当然その背後にはあるだろう。でも、それにしても少し騒ぎすぎなのではないだろうか。
 この現象を説明する上で、貴重な情報がクロアチア戦後のジーコのインタビューの中にあった。インタビューの中でジーコは、テレビ側の要請で、現地で気温の高い午後3時での試合を2試合連続で強いられたことへの怒りを露にしたのだ。テレビ局がFIFA(国際サッカー連盟)に要請して、日本での放送時間により適した時間帯に試合時間を変更させたというわけだ。
 しかし、スポーツジャーナリストで「W杯ビジネス30年戦争」を書いた田崎健太氏は、そもそ大会を運営するFIFAはその経緯からして中立的な国際組織ではなく、巨大ビジネスとしての性格を多分に持っていることがW杯の大前提にあるという。FIFAに多額の放映権料を支払っているテレビの都合で試合時間が変更になるくらいのことは、FIFAやW杯の常識ではむしろ当たり前のことだというのだ。
 どうやらW杯への関心の高さの一端に、かなり徹底したメディアと電通によるパブリシティ戦略や仕掛けがあったことは否定できないようだ。
 今回のW杯ドイツ大会で、FIFAと組織委員会は直接収入だけで3000億円以上を売り上げているが、そのうち2000億円近くは放送権の収入によるものだ。巨額の放映権料を支払う日本のテレビ局を取りまとめている電通の力を持ってすれば、放送時間の変更などたやすいことだと田崎氏は指摘する。
 しかし他方で、田崎氏は、サッカーの商業主義化が進み、選手が年間を通じて過酷なスケジュールをこなす状態が続くため、多くのスター選手がベストなコンディションを維持することが難しくなっているとも言う。行き過ぎた商業主義がこのまま続けば、サッカーのスポーツとしての魅力も失われていく危険性も出てきているようだ。
 お祭り騒ぎの最中にあれこれ理屈をこねることの野暮ったさを認識しつつ、今週はあえてW杯について、マル激的な視点から考察を加えてみた。なぜわれわれはW杯にこうまで夢中になるのか。それは電通とメディアによって仕組まれたパブリシティにわれわれの多くが踊らされた結果に過ぎないのか。メディアはなぜ電通について報道を自主規制するのか。W杯の商業主義がこのまま進めば、どのような結果が待ち受けているのか。
 オリンピックを上回る一台スポーツビジネスとなったW杯の歴史と現状、そして未来を田崎氏とともに考えた。
 また、後半は、光市母子殺害事件最高裁の差し戻し判決や福井総裁の村上ファンドへの投資問題などを議論した。

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