2006年7月25日
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Winnyは悪くない

金子勇氏(Winny開発者)
マル激トーク・オン・ディマンド 第278回

 あるツールを発明した開発者が、そのツールが犯罪に使われることを知った上で、そのように使われることを意図していたとの理由から、幇助罪の罪に問われようとしている。これでは、銃が犯罪に使われることを知っていながら高性能の拳銃を開発した人も、殺人幇助に問われることになってしまう。
 著作権法違反幇助罪。それがウィニー開発者の金子勇氏が現在問われている罪である。
 匿名でファイルを共有できるソフトWinny(ウィニー)がインストールされたパソコンがウイルスに感染し、個人情報や機密情報が流出する事件が後を絶たない。3月には防衛庁や警察のパソコンから秘密扱いの情報が流出したのを受け、安倍官房長官がウィニーの使用自粛を呼び掛けるまでにいたっている。
 しかし、ウィニーを開発した金子勇氏は、そもそもウィニーは「広く情報を共有するためのツールに過ぎず、情報漏えいはウィニーを入れたパソコンがウィルスに感染したから起きるのであって、ソフトウェアそのものが悪という考え方は間違っている」と指摘する。
 また、検察側の「警察の摘発を免れるために匿名性を高めたソフトを開発し、著作権侵害をまん延させる意図があった」との主張についても、「技術者として、効率のいいファイル共有ソフトというテーマに興味があっただけ。使ってもらうためというより、むしろ議論をわきおこすためにウィニーを作った」と述べ、「思想犯」扱いされることに強く反論する。
 しかし、IT技術の進歩に伴い、従来の著作権法の枠組みでは、ネット上で原著作者の権利を守れなくなっているのは確かだ。ウィニーの特徴でもあるサーバーを介さずにパソコン同士がピア・ツー・ピアで情報のやり取りをするようになれば、従来の中央集権的な情報管理も難しくなるだろう。にもかかわらず、インターネット上のコンテンツの保護や管理について新しい社会的な合意が得られる前に、金子氏のような技術開発者が有罪判決を受ければ「ネットワーク関連だけでなく技術者全体への足かせとなる。極論すれば、ネットなんか無ければいいという結論になってしまう」(金子氏)恐れがある。
 インターネット上の公共性とは何か。著作権保護の今後はどうあるべきか。P2P(ピア・ツー・ピア)はネットをどう変えるのか。金子氏と共に考えた。

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